9月1日付「しんぶん赤旗」で紹介された、労働者階級の歴史的使命の解明として不破さんが強調した「三つの必然性」について、11日付同紙では、9日に開かれた「第5回『理論活動教室』の講義内容で、「三つの必然性」をより詳細に紹介しています。
「『資本論』第一部の完成稿でマルクスは、労働者を搾取され抑圧される被害者として描くだけでなく、労働者がどういう階級として成長する必然性をもっているのかを追究しました。 不破さんはそれを『三つの必然性』と名付けて解説しました」
「第一は、階級闘争の必然性です。 『資本論』第一部第三篇の『労働日』の章で『資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない』と書いています。 実は、現代日本の会社経営者も、マルクスと同じことを述べていました。 22年前にソニーの盛田昭夫会長(当時)は、日本企業の低賃金・長時間労働や下請けたたきなどの問題を個別企業で解決しようとしても、経営危機に追い込まれてしまう、だから日本の経済・社会のシステム全体を変えていくことが必要だと発言したのです」
「では、その『社会による強制』はどのように実現するのでしょうか。 マルクスは『資本論』で労働日を制限する10時間工場法の制定は、労働者が選挙権を持たない時代に、階級として、団結し、『半世紀にもわたる内乱』で国家を動かして勝ち取った『社会的バリケード』だと評価しました」
「マルクスは、労働時間の短縮について、『賃金、価格および利潤』のなかで、『時間は人間の発達の場である』と指摘しました。 同時期のインターナショナルは8時間労働日を求める決定をしました。 中央評議会は『労働者階級、すなわち各国民中の多数者の健康と体力を回復するためにも、またこの労働者階級に、知的発達をとげ、社交や社会的・政治的活動にたずさわる可能性を保障するためにも、ぜひとも時間短縮が必要である』と決議しました」
「労働時間の短縮は、資本家の心配をよそに大工業の発展をもたらしました。 労働者の活力があってこそ、産業も発展することを証明しましたのです」
「最初の『社会的バリケード』であるイギリスの工場法から160年、今ではそれがより進んだ内容の社会的ルールとして世界中に広がっていると語りました」
「1917年のロシア革命の影響で国際労働期間(ILO)が生まれました。 1936年のフランス人民戦線運動のもとでゼネストがおこなわれ、有給休暇の権利が勝ちとられています。 第2次大戦終結後には国際連合が結成され、ILOが新しい力を持ちました。 世界人権宣言や女子差別撤廃条約なども生まれました」
「第2は、労働者階級が新しい社会を建設する主体に成長する必然性です。 マルクスは『資本論』第4篇で、生産が、協業ーマニュファクチュアー機械制大工業へと発展する中で、労働者が生産の担い手として成長していく過程に目を向けました」
「マルクスは協業することで労働者の集団的な力が発展することを指摘し、『全体労働者』と表現しました。 また、集団で、仕事をするためには指揮者が必要です。 マルクスはその例えにオーケストラをあげています。 指揮者はオーケストラを指揮しますが、支配者ではありません。 共同作業に指揮者は必要ですが、支配者が必要なのは階級社会だけだと解明しました」
「マニュファチュアでは、一人ひとりの労働者は工程の一部だけをおこないます。 マルクスは『多数の部分労働者からの結成された全体労働者そのもの』と表現しました。 機械制大工業では、工場を動かしているのは、機械を運転する人や監督、手伝いで走り回る下働きも含めた『全体労働者』です。 マルクスは、その姿を『結合された全体労働者』が『支配的な主体として現れている』ものとして描写したフランスの経済学者の言葉を引用しています」
「そして、不破さんは、マルクスが『61~63年草稿』で”機械制大工業から資本主義的所有の皮をはいだら、労働者集団が主体の生産体制が現れる”と述べたことも紹介しています」
「同時に、機械制大工業のもとでは、労働者が多面的な能力を持った人間として鍛えられます。 『まさに未来社会で高度な生産を担う主体が資本主義社会の中で、労働者階級の中に生まれる必然性を分析しているのです』と述べました」
第3の、「社会変革の闘士になる」は、次号とします。