志位委員長は、「今度の選挙はどういう選挙だったか。日本共産党はどうたたかったか。それを全体としてつかむことは、選挙結果と今後の展望をとらえるうえで重要であります」と総選挙を総括し、課題を明らかにする観点を述べています。(「第1章ー第2節」)
そして、「結語」のなかで、「『共闘の時代』にふさわしい党づくりにとりくもう」という新し情勢に応える党づくりの意義と方向性を大きく打ち出しました。
日本共産党は、「1922年7月15日、科学的社会主義を理論的な基礎とする政党として、創立」(「綱領」)され、規約で「党は、科学的社会主義を理論的な基礎とする」ことを明らかにして活動しています。
今回の総選挙のように、激しい「逆流」、複雑な選挙戦に対応するためには、この立場が極めて重要でした。その立場は、綱領と第27回大会決定です。もし、そこに少しでも「動揺」があったなら、今回のような結果につながっていなかったことも考えられます。
不破氏は、「古典教室」第7回講義(2011年9月6日)の中で、「党活動における弁証法」について語りました。弁証法の諸法則のなかで「対立ー複眼で見ることが重要だ」という項目のなかで、次のように述べています。
「どんな問題でも、”複眼で見る”ということです。単眼で、ものごとの1面だけ見たのでは、絶対にことの全貌が分かりません。だから、複眼で見る、いま自分がなにかに注目する時には、必ずそれに対立する側面にも目を向ける、ということが重要です」
「たとへば、2年前の総選挙(2009年)がありました。あの時、大いに頑張ったのですが、、当選9議席で現有議席を維持したものの、得票率が7・25%から7・03%に減り、目標とした議席増を実現できませんでした。この結果に党内でもがっかり気分が広がりました」
「今度こそはと思っていたものが、前進できなかったのですから。そして、民主党が圧勝でした」
「ものごとを両面から見るということは、こういう時こそ重要です。われわれは、選挙結果を分析して、党がなぜ前進できなかったかという問題を重視する一方で、民主党の圧勝という事態のなかには、自民党政治の崩壊の始まり、すなわち、国民の多くが自民党政治に愛想が尽きたから、ともかく自民党とは違う政党を選んだ、という側面があることを明らかにしました」
「こういう期待を受けて政権についた民主党が、自民党政治と同じことをやったら、急速に支持を失うだろう。こういう分析をして、私たちは、選挙結果についての常任幹部会声明で、選挙では後退したが、”国民が自民党政治でない新しい政治を探求するあらたなプロセスのはじまり”という評価を、すぐ発表しました」
「あの時、選挙で党が後退した、そのことは重大で、自己分析ももちろん大事なのですが、負けたのはなぜか、どこに理由があったのか、そこだけにとどまっていたら、つまり単眼で選挙結果を受けとめることをしていたら、党の前進への道は開けませんでした」
「選挙戦というのは、日本の政治闘争の一番の結節点です。そこで起こっていることを、複眼で多面的にとらえ、それが日本の政治史のなかでどういう位置づけをもつのか、そこでどんか過程がはじまろうとしているのか、その新たな過程のなかで、われわれはどういう役目をになっているのか、を深くとらえてゆく――政治闘争にはこういう複眼が必要なのです」
3中総の読了、討論そして具体化がはじまっています。すべての党道府県、地区、選挙区、行政区、支部で体験したはじめての「市民と野党の共闘の躍進」と「党の勝利」という2大目標の実現を掲げた文字通りの歴史的選挙戦は、汲みつくせないほどの豊富な教訓を生み出しました。