私が、日本共産党の綱領(61年綱領)を読み、学習をする中で、最も強く惹きつけられたのが、『統一戦線」論でした。まだ、10代の私には、社会変革の主体など知るよしもなかったのです。子どものころから、地域の古老たちから聞かされていたのは、大原幽学の農政改革(江戸時代後期)の実績です。大原幽学の実績を記念する「大原幽学記念館」が千葉県旭市(旧干潟町)にあります。
大原幽学の農政改革は、困窮する農民の生活、農地の問題を含めた根本的改革でした。あの時代に良くここまで考え、しかも実践できたものだと驚きの思いを、いまも感じています。 幽学の挑戦は、幕府の妨害によって中断され、農民生活は窮状生活に逆戻りし、その後、幽学は自害してしまいます。
いま、統一戦線論を考える時、このことが大変教訓的なように思えます。 改革の提唱者と改革の主体の関係、権力(幕府)と地域の関係=幕府の最大の経済・財政基盤は農業生産であり、生産者は農民階級です。 農業生産の発展は幕府にとっては、必要であったとしても、封建的土地政策の改革は許せないことであったでしょう。
若い時代の私には、漠然とした、こうした”歴史的出来事”が記憶のなかにありました。
さて、党綱領の大方針である統一戦線論について、3中総の1節を紹介します。
「日本共産党は、安保法制=戦争法が強行された2015年9月19日、『戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府』を提唱し、全国規模での野党の選挙協力の追求という新たな道に踏み出しました。それから2年余、私たちは、さまざまな困難や逆流をのりこえて、共闘を一歩一歩前進させてきました」
「日本の政治を変えるには、この道しかありません。思想・信条の違いをこえた統一戦線によって社会変革をすすめるというのは、党綱領の大方針であります。今後も、共闘の前進には、さまざまな困難や曲折が予想されますが、わが党は、いったん踏み出した共闘の道を、多くの方々と手を携えてとことん追求し、安倍政権を打倒し、自民党政治を終わらせ、野党連合政権をつくるために全力をあげる決意であります」(志位委員長の幹部会報告)
市民と野党の共闘という、戦後はじめて生まれた統一戦線運動が、支配勢力の「謀略と奇襲作戦」で崩壊の危機に直面した時、市民が声をあげ、立ちあがりました。 日本共産党は共闘勢力一本化のために、67の小選挙区で予定候補者を降ろすという決断をおこないました。 こうした努力の結果、共闘の再構築ができました。 私は、支配勢力の作戦を基本的に打ち破ることができたと考えています。
この発展の先に、来年の安倍政権による憲法9条改悪に反対する国民的大闘争が展開されることになるでしょう。それが、2019年の統一地方選、参院選につながり、日本の社会変革をめざす運動は、今回の総選挙を第一幕として、はさらに激動していくことになると思われます。
日本共産党の綱領は、統一戦線について、次のようにのべています。
「統一戦線は、反動的党派とたたかいながら、民主的党派、各分野の諸団体、民主的な人びととの共同と団結をかためることによってつくりあげられ、成長・発展する。 当面のさしせまった任務にもとづく共同と団結は、世界観や歴史観、宗教的信条の違いをこえて、推進されなければならない」
今回の総選挙は、2年余の統一戦線運動の経験とこの綱領の規定の真価が問われ、発揮されたたたかいになったと考えています。