民族独立を果たした国ぐにが100を超えて、国際政治の舞台に登場したことは、どんな意味があるのでしょうか。今年、2017年7月7日、国連は加盟国(193カ国)の3分の2の122カ国が賛成し、人類史上はじめて核兵器を違法化する「核兵器禁止条約」を採択しました。122カ国の中心は、東南アジアや中東、中南米、アフリカ地域の国ぐにでした。 ロシア革命から100後の年でした。
こうした国々の活躍について、志位和夫委員長が体験を語ったことがあります。 以下、「綱領教室」第2巻から紹介させていただきます。
この体験は、2010年5月に国連本部で開かれたNPT(核不拡散条約)再検討会議に参加した際のものです。
「とくに、私が目を見張ったのは、非同盟諸国が果たしている積極的役割でした。NPT再検討会議が開始された初日に、最初に演説したのは、カバクチュラン議長(フィリピンの国連大使)です。2番目に演説したのは、藩基文国連事務総長です。そして、3番目に演説したのは、非同盟諸国の代表としてのインドネシアのマルティ・ナタレガワ外務大臣でした」
「マルティ外相の演説は、『核抑止力論は平和も国際安全保障ももたらさず、核兵器完全廃絶に向けた前進への妨害になるだけだ』、『核兵器禁止条約の検討は、この会議が採択する行動計画の不可欠の一部になるべきだ』--この会議の確信的な主題を理路整然、格調も重みもある演説でズバリ明らかにして、会場全体を圧する素晴らしいスピーチでした」
「こういう演説を非同盟諸国の代表が行い、会議の大きな流れをつくりだしました。非同盟諸国の存在感の大きさに、私は目を見張る思いでした」
「そして、この会議の焦点になったのは、核兵器禁止条約(NWC)でしたが、それを毎年の国連総会に提案しているのは、コスタリカとマレーシアという非同盟の国なのです」
「いまの世界で大事なのは、国の大小でもなければ、経済力の大小でもなければ、ましてや軍事力の大小でもありません。その国がどういう主張をしているかによって、その国の値打ちが決まります。世界の道理にかなった主張をしている国ならば、コスタリカのような小さな国でも世界を大きく動かす力をもちます。道理にかなっていない国、他国の言いなりになっているような国は、何を言っても相手にされません。21世紀の世界は、そういう世界になっているのです」
核兵器禁止条約の国連会議の議長は、コスタリカ出身の外交官エレン・ホワイト(女性)さんでした。コスタリカは中米の国で、人口は460万人(2011年現在)の国です。
12月17日付「しんぶん赤旗」は1面で、核兵器禁止条約に関して、日本総合研究所会長の寺島 実郎さんの発言を掲載しています。
寺島氏は、「私が注目しているのは、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国中、9カ国が同条約に賛成していることです。『東南アジアの非核化』に強い決意を示しています。彼らは、『北東アジアの非核化』に向け、日本がをどうするのか注視しています」
「北朝鮮の核・ミサイル問題で日本が一番、長期的にこだわるべきは朝鮮半島の非核化です。広島・長崎の悲劇を背負う国として、核兵器禁止条約に入り、北東アジアの非核化を主導していく。それは、122カ国を味方につけ、国際社会で影響力を高めていくことにもつながります」