2017年06月03日 07時27分04秒
>まずは「加憲」でいいのではないですか――改憲派こそ「憲法」に期待しすぎるのやめませよう
◆問題の背景と問題の輪郭
安倍総理が先日(5月3日「占領憲法の押し付けを忘れない記念日」のビデオメッセージで)、憲法に自衛隊を明記する「加憲」に言及されました。要は、現行の占領憲法の9条の条項はそのまま残して、そいでもって新たに第3項なりを加えて、その追加条項で自衛隊の意義と存在を謳うというアイデア。
ご案内の通り、このアイデアはもともと公明党内でも有力な改憲案であり、また、民進党の中に(前原氏など)この「加憲」の線での改憲を主張してきたメンバーも多くはないけれど稀ではないもの。ならば、「算盤上」からはこの「9条3項」――例えば、「前二項を堅持しつつ、国家の平和と独立、文化と伝統、国民の尊厳と権利を維持確保するため、並びに、確立した国際法秩序を担保する集団的安全保障に貢献するべく、および、同盟関係を公平と信頼にたるものにするべく日本は自衛隊を保持する」とかなんとかの条項の追加――による改憲発議という手は、発議のハードルを国会の両院とも「3分の2どころか4分の3」に迫る圧倒的多数でクリアできるポテンャルを秘めた〈妙手〉なの、 鴨。
【参考--「加憲」イメージ】
・第9条1項 ←変更しない
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
・第9条2項 ←変更しない
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
・第9条3項 ←海馬之玄関の加憲条項案
前二項を堅持しつつ、国家の平和と独立又は文化と伝統、および、国民の尊厳と権利を維持確保するため、並びに、正義と確立した国際法の原則を担保実現する集団的安全保障に貢献するため、および、わが国とその同盟国との同盟関係を、公平と信義にたるものとして維持するべく、日本は自衛隊を保持する。
・第9条1項 ←変更しない
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
・第9条2項 ←変更しない
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
・第9条3項 ←海馬之玄関の加憲条項案
前二項を堅持しつつ、国家の平和と独立又は文化と伝統、および、国民の尊厳と権利を維持確保するため、並びに、正義と確立した国際法の原則を担保実現する集団的安全保障に貢献するため、および、わが国とその同盟国との同盟関係を、公平と信義にたるものとして維持するべく、日本は自衛隊を保持する。
【参考--現行の占領憲法改正条項】
・第96条1項
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
・第96条1項
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
而して、現在、朝日新聞やら岩波書店、リベラル派の憲法研究者の団体なりがかなりしゃかりきになってこの安倍ビデオメッセージを批判しているらしい様子を見聞きするにつけ、この〈安倍メッセージ=妙手理解〉は、満更、保守派であるわたしの希望的の観測だけではないのではないか。だって、改憲の現実性を感じているからこそ――例えば、9条そのものの削除(筋金入りのリベラル派の方ですが、これ、井上逹夫さんの主張です)なり、9条2項の削除かつ新9条への条項の大幅な追加(現在の自民党改正草案の提案)なりの、その実現がそうそう容易ではないだろう手筋に比べて、安倍加憲の一手には、自玉が詰まされる高い蓋然性、すなわち、――占領憲法改憲のそれなりの可能性を皮膚感覚で感じているからこそ――彼等、リベラル勢力はしゃかりきモードにクラッチを切り替えたのでしょうからね。
蓋し、安倍総理のビデオメッセージは「名人に鬼手なし」の〈平凡な妙手〉だったの、鴨です。将棋でも囲碁でも、政治でもサッカーでも相手の一番嫌がる手が往々にしてこちら側の最善手という場合が多いですから(笑) ということで、ならば、なら、
>ならば、さっさと国会の両院で「改憲―加憲」の発議可決してよ~!
>なら、さくさく押し付け憲法、可及的速やかに改正しましょうよ~!
>なら、さくさく押し付け憲法、可及的速やかに改正しましょうよ~!
と、わたしはそう思っています。つまり、
この進次郎さんの認識(↓)とほぼ同じ感覚とか意見ということ、カナ。
この進次郎さんの認識(↓)とほぼ同じ感覚とか意見ということ、カナ。
▼小泉進次郎氏 9条への自衛隊明記「当然だ」 違憲論争「放置おかしい」
自民党の小泉進次郎衆院議員は1日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、安倍晋三首相(自民党総裁)が意欲を示す憲法9条の改正による自衛隊の存在の明記について「当然だ」と賛同した。小泉氏は、自衛隊を「違憲」と指摘する憲法学者がいることに関しても「自衛隊が違憲かどうかという論争が起きている状況を放置し続ける方がおかしい」と述べ、論争に終止符を打つべきだと強調。「『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と主張する首相を支持した。(産経新聞・2017年6月1日)
自民党の小泉進次郎衆院議員は1日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、安倍晋三首相(自民党総裁)が意欲を示す憲法9条の改正による自衛隊の存在の明記について「当然だ」と賛同した。小泉氏は、自衛隊を「違憲」と指摘する憲法学者がいることに関しても「自衛隊が違憲かどうかという論争が起きている状況を放置し続ける方がおかしい」と述べ、論争に終止符を打つべきだと強調。「『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と主張する首相を支持した。(産経新聞・2017年6月1日)
けれども、しかし、「安倍メッセージ=加憲手筋」に対しては、実は、リベラルからだけでなく保守派、就中、占領憲法の破棄または改正を目指す保守の改憲論者からも批判や懸念が結構寄せられているらしい。それは大きくは二つ。すなわち、
(A)自衛隊の存在を今から明記する/明記しなければならないということは、sorry 、「自衛隊は違憲の存在である」と認めることになりはしませんか? 総理、それは今まで営々と匍匐前進で成し遂げてきた保守派の先人方の「解釈改憲」の成果を自ら否定するものではないですか。なによりそれでは自衛隊の隊員諸氏に対して失礼でしょうが!
\(_ _)
(B)現状を確認するにすぎない加憲の手筋だけでは、sorry 、(1)「専守防衛の頸木」からの自衛隊と日本の解放、そして、加之、(2)日本の領土主権の及ばないエリア――領土・領海・領空、並びに、排他的経済水域または所謂「周辺事態法の適用されるエリア」以外の、例えば、南シナ海やインド洋、アフリカや中央アジア等々――における、しかし、日本にとって死活的に重要なシーレーンの防衛なり、または、当該エリアにおける日本の投資や貿易を巡る権益の維持確保、なにより、(3)当該エリアでの邦人保護に自衛隊という武力による威嚇又は武力の行使をも可能にする――「自分の国と国民は自分で守る」普通の責任ある国になるための――憲法改正でなければ、総理、意味ないのではないですか?
\(_ _)
而して、(A)(B)を鑑みるに、――所謂「集団的自衛権の一部行使」を組み込んだ安全保障の法制化が一応具現した今でも、これまでの政府解釈との整合性を考えたら、繰り返しになりますが、集団的自衛権の原則解禁、並びに、自衛のみならず在外邦人保護、および、日本の国家権益を維持確保する武力行使と武力による威嚇の合憲化には、――最低でも県外じゃなかった、最低でも占領憲法の圏外に至る「自民党改憲草案」くらいの線での改憲が不可避・不可欠ではないだろうか、という批判や懸念が少なくないように感じます。
ならば、この際、公明党を切って/公明党執行部とは手を切って維新や幸福と新与党体制に移行してですね、もって、中原に<鹿=大幅な改憲>を逐い、正面から 護憲派―リベラル勢力と〈関ヶ原〉しないと駄目ですよ、総理。なーに、公明党には自民党の穏健派よりも遥かに「国益重視の若手=公明党安倍派」の同志も確かに多数派ではないにせよ、最早、それなりの勢力になってきているのだから勝算は〈鳥羽伏見〉や〈西南戦争〉よりは我が方に有利ですよ多分、とも。
これら(A)(B)とその帰結を読んでいただいている皆さん。
皆さんは、安倍メッセージについていかがお考えでしょうか?
皆さんは、安倍メッセージについていかがお考えでしょうか?
【参考--自民党改憲草案】
・第9条1項
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
・第9条2項
前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
・第9条の2 1項
我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
・第9条の2 2項
国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
・第9条の2 3項
国防軍は、第1項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
・第9条の2 4項
前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
・第9条の2 5項
国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。
我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
・第9条の2 2項
国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
・第9条の2 3項
国防軍は、第1項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
・第9条の2 4項
前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
・第9条の2 5項
国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。
・第9条の3
国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。
国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。
上に(A)+(B)として、整理させていただいた。そのような保守派からの批判に接するとき、わたしは少し複雑な心境に陥ります。それは、そのようなコメントを発信される保守派の同志の方々は、占領憲法の一刻も早い破棄または改正を望んでおられるのだろうから――勿論、当然、目指す方向はリベラル派の論者とは真逆ながらも――、ある意味、「憲法典」や<実定法秩序体系としての憲法>を理解するその理論的というか論理的の前提が――比喩で言えば「ベクトルの始点」が――戦後民主主義を信奉するリベラル派とidenticalな、極めて戦後日本に特有で世界的にみて特殊な思考の枠組みに絡め取られているとしか思えないからです。蓋し、そのような保守派の安倍メッセージ批判は、リベラル派からのそれと「シャム双生児」的な「家族的類似性」を帯びているものにも見えなくもないということ。
そう、例えば、昨日の産経新聞に寄稿されていた西尾幹二さんの議論「思考停止の「改憲姿勢」を危ぶむ」などは典型的な「シャム双生児」的の議論のようにわたしには感じられました。(B)の内容の復習を兼ねて、西尾さんの義憤と鬱憤を紹介しておけば・・・。
▼正論--思考停止の「改憲姿勢」を危ぶむ--
▼北朝鮮の脅威が増す中、9条2項に手をつけない安倍晋三首相の改憲論は矛盾だ
北朝鮮情勢は緊迫の度合いを高めている。にらみ合いの歯車が一寸でも狂えば周辺諸国に大惨事を招きかねない。・・・そんな中、声高らかに宣言されたのが安倍晋三首相の憲法9条改正発言である。・・・周知のとおり、憲法第9条1項と2項を維持した上で自衛隊の根拠規定を追加するという案が首相から出された。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」が2項の内容である。
▼北朝鮮の脅威が増す中、9条2項に手をつけない安倍晋三首相の改憲論は矛盾だ
北朝鮮情勢は緊迫の度合いを高めている。にらみ合いの歯車が一寸でも狂えば周辺諸国に大惨事を招きかねない。・・・そんな中、声高らかに宣言されたのが安倍晋三首相の憲法9条改正発言である。・・・周知のとおり、憲法第9条1項と2項を維持した上で自衛隊の根拠規定を追加するという案が首相から出された。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」が2項の内容である。
この2項があるために、自衛隊は手足を縛られ、武器使用もままならず、海外で襲われた日本人が見殺しにされてきたのではないだろうか。2項さえ削除されれば1項はそのままで憲法改正は半ば目的を達成したという人は多く、私もかねてそう言ってきた。
安倍首相は肝心のこの2項に手を触れないという。その上で自衛隊を3項で再定義し、憲法違反の軍隊といわれないようにするという。これは矛盾ではないだろうか。陸海空の「戦力」と「交戦権」も認めずして無力化した自衛隊を再承認するというのだが、こんな3項の承認規定は、自ら動けない日本の防衛の固定化であり、今までと同じ何もできない自衛隊を永遠化するという、空恐ろしい断念宣言である。・・・
現実主義を標榜する保守論壇の一人は『週刊新潮』(5月25日号)の連載コラムで「現実」という言葉を何度も用いて、こう述べている。衆参両院で3分の2を形成できなければ、口先でただ立派なことを言っているだけに終わる。最重要事項の2項の削除を封印してでも、世論の反発を回避して幅広く改憲勢力を結集しようとしている首相の判断は「現実的」で、評価されるべきだ-と。
だが果たしてそうだろうか。明日にも「侵攻」の起こりかねない極東情勢こそが「現実」である。声を出して与野党や一部メディアを正し、2項削除を実行することが、安倍政権にとって真の「現実的」対応ではあるまいか。・・・
(産経新聞・2017年6月1日)
・法哲学の入門書紹介 でも、少し古いよ(笑)
蓋し、安倍メッセージに批判的な--(B)にフォーカスされているだろう--西尾さんを含む保守派の方々は以下の(a)~(f)の如き理路の流れの中で「加憲」という手筋を否定的に考えておられるの、鴨。すなわち、
(a)占領憲法の9条2項を素直に読めば、「交戦権の否認」にせよ「陸海空軍その他の戦力の不保持」にせよ、寧ろ、自衛隊自体も(!)--少なくとも、自衛隊の「専守防衛」を超える行動と、そのような行動を可能にする自衛隊の装備・組織の部面は--、加之、集団的自衛権の行使が違憲であることは明らかだろう。
他方、現在では、間違いなく自衛隊は国民世論の手厚い支持を享受している合法的な存在はになっているということは共産党でさえ否定はしないに違いない。
・防衛省Mag☆MAMOR:特集「英語力を装備する自衛隊」
--英語好きにはお薦めだったりする
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/2377f54478cd51ab00abbce530bf67f6
ならば、(b)加憲によって--現状の惨状に加えるに--、憲法の条項間にも新たに矛盾を発生させた上で、(c)自衛隊の「その自衛隊は手足を縛られ、武器使用もままならず、海外で襲われた日本人が見殺しにされてきた」というシャビーな現状の確認・追認だけでも目指そうという安倍メッセージの手筋は、
(d1=A1)寧ろ、自衛隊に好意的なこの社会の雰囲気を「ちゃぶ台がえし的に」ひっくり返してしまいかねない、不要なる政治的配慮に過度に傾斜した提案だ。それでは「なんのための集団的自衛権の行使に関する政府解釈 の見直しだったのか」、あるいは、「何を根拠とした安全関連法の整備だったのですか」という疑問をさえ蘇らせかねない思考停止の姿勢。いずれにせよ、自衛隊の憲法典内部への取り込みは少なくとも不要であるか、雉も鳴かずば撃たれまい的な筋悪の蛇足ではないか。
而して、(d2=A2)自衛隊が合憲であるか違憲であるかなど、最早、日本の政治が解決しなければならないような――それをクリアしなければ、国家と国民の生存なり福祉なりの維持確保が難しい、あるいは、生存と福祉の維持確保のコスパが劣化するが如き重要な――論点ではないでしょうよ。ならば、
畢竟、(e=B)安全保障を巡る改憲の本丸は現行の9条2項の削除である。(B1)所謂「専守防衛」なる桎梏から解放された、フルセットの集団的自衛権行使の合憲化、および、(B2)端的には、――所謂「集団的自衛権」にせよ「個別的自衛権」にせよ、須べからく、――自衛権ではカバーできにくい、日本の権益と主権の確保、(B3)在外邦人保護に関する武力行使の解禁でないはずはありますまい。
ならば、(f)再度訴えたいのですが、自衛隊の存在を明記するだけの加憲などは、9条2項削除という 本丸攻略に関して、そのミッションは加憲オペレーションの更に先にある/加憲とは別の問題であることを、改憲側が自ら認める愚かな手筋――先に桂馬を打って次に銀を相手の玉頭に打てば詰みなのに、先に銀を打ったばかりに相手玉を上辺に取り逃がすが如き――拙劣な手筋・戦略ではないでしょうか。論理的整合性の観点からは、それはより高いハードルをわざわざ自らに課す愚を犯すもの、そう、喩えれば、厳島で毛利元就に敗れた陶晴賢の愚を犯すようなものではないか、とかとか。
>加憲は不要というか「蛇足」・・・(A)
>改憲の本丸は9条2項「削除」・・・(B)
>改憲の本丸は9条2項「削除」・・・(B)
これが保守派の方々から寄せられている安倍メッセージへの幾つかの批判の最大公約数なの、鴨。
而して、これは、リベラル派がいい募る安倍メッセージへの他の幾つかの批判、
而して、これは、リベラル派がいい募る安倍メッセージへの他の幾つかの批判、
例えば、行政の長である内閣総理大臣が「加憲」にせよ憲法改正について述べるのは
(イ)→「三権分立」の原則に反する
(ロ)→「憲法擁護義務」に違反する
(ハ)←自民党の党内議論の蓄積を軽視する「安倍一強」の驕りのあらわれだ
(ロ)→「憲法擁護義務」に違反する
(ハ)←自民党の党内議論の蓄積を軽視する「安倍一強」の驕りのあらわれだ
などというトンデモ言い掛かりと、実は、これまたシャム双生児的な家族的類似性を帯びる、
いただけない議論ではないか、とそうわたしは考えます。
蓋し、まずは「加憲」でいいのではないですか。
いただけない議論ではないか、とそうわたしは考えます。
蓋し、まずは「加憲」でいいのではないですか。
正直。憲法典が変わったからといって世の中も、世間も世界もそうがらっと変わるものではないですよ。でも、現行の占領憲法によって日本は戦前の子供達の眼がキラキラ輝くすてきな国から、情けない薄汚れた薄っぺらな国に変えさせられてではないか、ですって?
あのですね。それは占領憲法が変えたのではなく、改革官僚や近衛とかの社会主義者が推し進めた総動員体制という名の社会主義政策(所謂「40年体制」)によって日本は無残にも変容していたのであり、大東亜戦争後にこれまた本まものの「社会主義者=GHQに巣食うニューディーラー」によって、日本が変わっていたから、占領憲法のような屑かゴミのような「憲法」でも--残念ながら、実定法秩序のあるパーツとしては--機能したというだけのことなのです。
>憲法が変わったから日本が駄目になったのではなく
>日本が駄目になっていたから「破れ鍋に綴蓋」式に占領憲法が定着した
ということなのだと思います。ということで、そろそろ、
改憲派こそ「憲法」に期待しすぎるのはやめませんか。
ならば、まずは「加憲」でいいのではないですか。
そうすれば「占領憲法典」の字面とフランス流の文化帝国主義的憲法思想だけを頼りに、単なるリベラルな妄想と願望を<憲法>の規範意味だ<憲法>の精神だとかなんとか、強弁してきたリベラルなジャーナリストさんとか憲法の研究者さんとかも少しはおとなしくなるでしょう。そして、そうなれば、安全保障の課題にせよ外国人入国管理を巡る懸案にせよ、通常の立法措置で粛々と解決できるようになると思います。
そうわたしは思います。蓋し、
いずれにせよ、我が国の「不毛な憲法論議」の背景には「憲法」という言葉の輪郭を巡る、
筋違いなほどのある種の誤解があるのではありますまいか。ありますまいか。
筋違いなほどのある種の誤解があるのではありますまいか。ありますまいか。
そう、それ、所謂「概念法学」的な法的思考を採用する論者が陥りがちな陥穽。
概念実在論の砂上の楼閣から上から目線で眺める歪な風景の広がり。
そんなものをリベラル派の憲法言説にわたしは感じています。
・樋口陽一の文化帝国主義的憲法論の杜撰と僭越(上)(下)
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/45e30175093f17dfbbfd6b8234b89679
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/45e30175093f17dfbbfd6b8234b89679
・風景が<伝統>に分節される構図(及びこの続編)
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/87aa6b70f00b7bded5b801f2facda5e3
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/87aa6b70f00b7bded5b801f2facda5e3
そして、
・海馬之斬鉄剣:朝日新聞の素人憲法論を一刀両断――「改憲の自己目的化」は立憲主義と矛盾するか
・海馬之斬鉄剣:朝日新聞の素人憲法論批判
――改憲のための改憲、所謂「改憲の自己目的化」は立憲主義と矛盾するか(余滴)
・日本の憲法学者はハイフライフローの連射と決め技デスティーノで憲法改正論議のリングから放逐せよ❗
桃寧さん
・<改訂版>自薦記事一覧:保守主義の憲法論と社会思想
-憲法学の再構築と占領憲法の破棄・改正を求めて
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/5f7bef87927eae129943ca8b5bb16a26
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/5f7bef87927eae129943ca8b5bb16a26
<続く>