「交換する」と言えば"exchange"、"exchange"と言えば「交換する」ですよね。それに、空港やホテルの両替コーナーは"Money Exchange"だし、通貨レートは"exchange rate";「今、円ドルレートはいくらですか」は"What is the current exchange rate for yen to dollar?"でいいでしょうからね
(ちなみに、「exchange」するときの前置詞は、"exchange yen for dollars/interchange yen to/into dollars"になります! といっても、一般論というか雑談としては"Could I exchange Japanese yen into US dollars/British pounds?"も今時はあり、鴨。加之、「convert」は基本型が「convert A into B」です。さらに念のために(無駄に? superfluously?)書いておけば、「現金で払う―クレジットカードで払う」の際の前置詞は普通は、"pay in cash /pay by credit card, pay with a credit card"になります!)。
では、"interchange"は? それに「英会話講師はスクールマネージャーとの間で生徒に関するあらゆる情報を交換するようにしてください」という文章の中の「交換」は"exchange"でいいのでしょうか? これについては同僚のアメリカ人のすべてが「別に"exchange"で間違い(意味が伝わらない)とは言わないが、interchange や share の方がナチュラルかな」と言いました。
The instructor is required to exchange/interchange
all information about students with the school manager.
このセンテンスを吟味しているときに、"exchange"と"interchange"の意味の違いが気になりました。もちろん、ここで問題にしている"interchange"は「高速道路のインターチェンジ」(=立体交差点)という名詞じゃなくて、「交換する」という意味の動詞の"interchange"です。
うんー、分からない。ピントこない。手許にある何冊かの英単語の薀蓄本を見ても載っていない;『ネーティブだって「???」間違いやすい英単語100』(PHP研究所・2005年3月)やケリー伊藤『英単語比較学習帳』(宝島社・2005年4月);ネットで検索してもスッキリ説明した記事は見当たらない。なら、自分で調べるしかない。
で、アメリカ人の同僚達に切り出しました。
One question I have, which comes out of pure curiosity!
What is the substantial differnce between the two words:
exchange and interchange?
侃々諤々、侃々諤々。喧々諤々、喧々諤々。喧々囂々、喧々囂々。
その結果はシンプルでした。それは二つの軸、(a)交換されるものの値打ち;(b)交換された結果が手もとに残るかどうか、を基準に"exchange"と"interchange"の違いを考えればいいというものです。つまり、
exchange:
同じ価値を持つものを他人と交換する/
交換後その「交換されたもの」が交換した当事者の手許に残るかどうかは不明。
interchange:
同じ価値かどうかにかかわらず(交換する当事者が)交換することに納得したものを交換する/
交換後その「交換されたもの」は、原則、交換した当事者の手許に残る。
ところが辞書に掲載されている例文やフレーズ使用例を見ると"exchange"と"interchange"はこんな基準でそんなに綺麗に説明できるわけではない。例えば、
<exchange>
・The two boys exchnaged comic books.
・I'd like to exchange this shirt for one a size larger
・I haven't exchanged more than a few words with him.
・Where can I exchange money?
・exchange honor for immediate pleasure
・We exchanged ideas with students from various countries.
<interchange>
・interchange labor with lesuire
・interchange letters with him
・interchange front and rear tires
・interchange presents/greetings/opinions/ideas
そして、『ウィズダム英和辞典』(三省堂)のexchangeの項には、上のアメリカ人の同僚の定義と正反対にも思える記述がありました。
[類義]「交換する」の意の類語
exchangeは与えて,その返しに受け取る.interchangeはかわるがわるやったり
取ったりする.または同価値・同量の物をやりとりする.
"interchange"の方が「同じ価値を持つものを交換する」ですって! アメリカ人の語感と辞書の説明がズレている! まあ、言葉なんかどこまで行っても(いい意味でも悪い意味でも)、結構、グレーな領域が残るのでしょうけれど、どうも気になります。もちろん、正解なんぞは無理でももう少し調べてみたい。で、『Oxford English Dictionary』とLongman『Language Activator』に<相談>してみました。
◆Oxford Advanced Learner's Dictionary
exchange:
to give or receive something/somebody of the same type or of equal value in return for another
(同じタイプや同じ価値の事物や人を受け取るお返しに自分も相手に与えること)
interchange:
to share or exchange something /
to put each of two things or people in the other's place
(何かを相手と共有したり交換すること/二つの内の一つを互いに他が占めていた場所に(他のものの替わりに)置くこと
◆Longman Language Activator
exchange:
to exchange one thing for another, especially so that you get something that you need or something that is more useful to you(あるものを、貴方が必要と考えるか貴方にとってより有用なものと交換すること)
interchange:
the useful exchange of ideas or information between people or organizations, especially when this happens continuously over long period of time(人々や組織の間で行われるアイデアや情報の有用な交換。特に、長期間にわたって継続的にこれらの交換が行われるようなときにinterchangeは使われる)
やっぱクリアですね。要は、"exchange"と"interchange"のコアな意味は同僚のアメリカ人の仲間達が考えてくれた語感でよいのだと思います。つまり、「同じタイプや同じ価値」というのが、客観的というか間主観的に決まるのが"exchange"の場合であるのに対して、主観的に決まるのが"interchange"なのではないか、と。
価値を決めるのは主観だという前提なら、『ウィズダム英和辞典』の記述と同僚達が考えてくれた定義は矛盾していない。そして、世間が段々世知辛くなってくるに従い(?)、主観的な同等さよりも「貨幣で測られる価値」とかの客観的(=間主観的)な同等さの方が物事や人間の価値を測る基準として一般的になってくるに従い、『ウィズダム英和辞典』の記述は他と見かけの上で齟齬をきたしているように見えただけではないでしょうか。皆さんはどう思われますか?
「of 禁止令」を真面目に考えたくなる日本人英語の特徴 (/。\)
https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/431919d142418ee269ec84dbeb5a7870
イギリス英語の入門書紹介――役に立つのにお洒落で楽しい「イギリス英語」の招待状のようなもの
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感覚的に、
AとBの間での交換がinterchangeで、
CとDの間での交換がexchangeかなと勝手に思っていました^^
[]は文中で決め、何でもよい。
そこで私はinterchangeという概念自体を日本語にするとどうなるのか? を考えました。日本において人と情報を交換するということはその情報を共有(価値ありとする)、もしくは排斥する(価値なしとする)プロセスなのかなぁ、なんて…。あ、ここで「主観的」となるのですね。うーんなるほど。
もともとはそうだと思うのです。それが、世の中が世知辛くなるに従いほとんどの「交換」にはexchangeが使えるようになり、interchangeはかなり特殊な「交換」というか「共感」とか「経験共有」の場合にのみ使われるようになったのかなと想像しています。
"exchange student"は微苦笑ですね。
これ以上言うと、仕事に差しさわりがでてくるかな(汗)。で、微苦笑・・。
私はもっと単純に"change"するのが"ex-"なのか、"inter-"なのかでとらえてました。
つまり"exchange"の場合は「外へ」、、交換したものが他へ行ってしまう。(交換したものがてもとに残らないってこと)
"interchange"は「お互いに」「仲間同士で」交換する。(交換したものがてもと、又は内輪に残るってこと)
そこで今ふと思いましたが、
"exchange student"って実情にあっているのでしょうか?
日本人留学生の圧倒的な増加、、、客観的に見て同じ価値を持つものが交換されているのでしょうか?(笑)
・・・すみません、蛇足でした。
ちなみに"words"ですが、ドイツ語の「単語:Wort」と同語源の古英語起源の言葉です。もともと「言葉」を意味したラテン語系の「verb」「verbal」とかサンスクリット語の「・・・」(←文字ストックがない!)とも同じかもしれません。さて、指がもたらした「waords」は私の持っている古文書にもないですね。くやしー! なんとか(日本の官僚とか朝日新聞のように、分けの分からない出典を出して)煙にまこうと思ったのに! 今後とも宜しくお願いいたします。
→wards かと?