英語と書評 de 海馬之玄関

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大和撫子・荒川静香さん金メダル☆タンチョウのように優雅で鬼のように強かった!

2006年02月26日 08時16分26秒 | 英字新聞と英語の雑誌から(~2010年)

●Arakawa great on grandest stage
Gives Japan first medal of Games with gold in figure skating


She was elegance on ice, her spirals superb, her skating sublime. That she was standing in the end didn't hurt, either. Shizuka Arakawa made this one look easy. Her brilliant performance Thursday night gave Japan its first medal of these Olympics -- a gold in the showcase event.・・・

The win also capped a comeback this season for Arakawa, who, after winning the 2004 world championship, fell to ninth at last year's competition. She was just third at the Japanese nationals this year.・・・

Arakawa sang her national anthem on the podium, then held the medal tight while she took a victory lap -- only letting go when she was handed a Japanese flag.
(TURIN, Italy:AP, The Japan Times, Feb. 25, 2006:112 words)




■Vocabulary&Idiom
superb荘厳で見事な, sublime 崇高で卓越している
in the end ついに/結局最後まで, either その上~では(ない)
cap (見事に/美しく)仕上げる, nationals 全国大会・全国競技会 
national anthem国歌=君が代, podium 表彰台, lap 走路の1周回
let go (自由に)行かせる/かってにさせる, hand 手渡す
a Japanese flag=a national flag of Japan 国旗=日の丸

■Comment
elegance は通常は「優雅」「上品」「気品」という抽象名詞ですが、ここでは「上品な事柄」「気品ある人物」という普通名詞的に使われています。中学校の英語の授業で、「私は病気です」という場合、”I am ill”.はいいけれど”I am illness.”と言えば「私は病気の神様(病気の精/病気の権化)です」とでも訳すしかない英文になります、と習った経験がどなたにもあるのではないでしょうか? しかし、テクストの”She was elegance on ice.”では純粋な普通名詞であればそうなるだろう”+one of elegances”にもなっていない。つまり、このeleganceは文法的には抽象名詞と普通名詞の両方の側面を持っていると思います。よって、試訳では「優雅そのもの」と訳しておきました。

■試訳
●荒川、世界一の舞台で世界一の演技
今大会最初の日本のメダルはフィギュアスケートの金


氷上の荒川は優雅そのものだった。そのスパイラルは見事でスケーティングは崇高でさえあった。そして、これらに加えて演技終了に至るまでわずかの失敗さえなかった。これらのことをそれがあたかも簡単なことでもあるかのように荒川静香はやってのけたのだ。木曜日の夜の彼女の華麗な演技が今オリンピック初のメダルを日本にもたらした;大会の花形種目での金メダルをである。・・・

この優勝は荒川にとってカムバックした今シーズンを美しく仕上げるものとなった。荒川は、世界チャンピオンになった2004年の後、昨年は9位に順位を下げてしまっていたのだから。実際、今年の全日本選手権大会では荒川は第三位にすぎなかった。・・・

表彰台で君が代を歌ってから、ビクトリーラップを滑っている最中、荒川はメダルをしっかりと握り締めていた。彼女がメダルからほんの一瞬手を離したのは、手渡された国旗・日の丸を受け取ったときだけだった。




===============

フィギュアスケートと言えば、夏のオリンピックの体操競技ほどではないけれど、10代からせいぜい二十歳すぎの若くて小さくて軽くて身体の柔らかい選手の独壇場になりつつある。ここ数年そう感じていました。よく言われるようにオリンピックの採点競技種目は「サーカス予備軍」、と。 確かにそれもそれでいいけれど、やはり、心・技・体の研鑽の上に咲き競う美の競演を私はフィギュアスケートにも体操にも期待してしまいます。

種目は違いますが、この点で私がどうしても連想してしまうのは1984年のサラエボ冬季五輪のアイスダンス。この種目で当時世界を制圧していた並み居るソ連勢をものともせず優勝したイギリスのジェーン・トーヴィル&クリストファー・ディーン組(Jane Torvil & Christopher Deen)の演技です。

映画『愛と哀しみのボレロ』のテーマとしても知られるモーリス・ラヴェルの舞踊曲『ボレロ』の編曲版(このテーマは通しで演奏すると13分~16分かかるのでしょうが、演技時間に合わせて4分の作品に編曲しなおしたもの)に乗せたその演技はアイスダンス史上初めて「満点」を獲得しました。体操種目の「10.00」じゃないですよ! 美の競演で「満点」! 

知り合いのスケート関係者がこう言っておられました。「もちろん、あの「10.00」はイギリスによる他の審査員買収の結果かもしれない。国際大会は舞台裏では何でもありの世界だから、わからないけれどそれは否定しないです。でもね、フィギュアやアイスダンスで「満点」は普通出ないですよ。それに、あれから何回このサラエボでの演技をビデオで見たかわからないけれど、あの演技を超えるパフォーマンスを後にも先にも見たことがない。だから、やっぱりあれは「満点の演技」だったのであって、1984年サラエボのJane とChristopherにはスケートの女神様が憑依したとしか考えられません」、と。



この伝説のサラエボの演技ほどではないけれど、心・技・体の研鑽の上に咲き競う美の競演という点においても私はトリノオリンピックでの荒川さんのフリー演技にはただただ感動してしまいました。日本人としての贔屓目かもしれませんが、目の肥えた欧州のマスメディアが彼女を絶賛したのも理由がないことではないと思います。

実は、個人的には、苦労人で性格もよさそうなスルツカヤさんと、性格も「ヤンキー」でお茶目なヤンキー娘のコーエン選手を応援していたのですが、荒川さんは鬼のように冷静で強かった。敵ながら天晴れ(?)。ジャンプだけが取り柄の日本女子フィギュアではなく、美を追求するフィギュアスケートの美の土俵でトータルに世界と戦える選手が出てきたということでしょうか。欧州や北米の目の肥えたフィギュアケートフアンもそう思ってくれているのかな。もしそうなら嬉しいですね。次のオリンピックが本当に楽しみです。







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5 コメント

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英語のHPランキングサイト作りました。 (Yasu)
2006-02-26 11:54:12
英語のHPランキングサイト作りました。作ったばかりで、登録者が少ないですが、これからがんばっていこうとおもっています。英語のみに特化したランキングですので、重宝するとおもいます。どうぞよろしくお願いします。HPランキング王「英語」

返信する
トーヴィル&ディーンは永久に不滅です。 (さー)
2006-05-15 17:15:16
初めまして、さーと申します。

私の住んでいる地域はもうすぐ梅雨入りしそう

なのですが、今期のトリノの荒川静香さんは、

本当に、美しく優雅かつ強靭でした。

リアルタイムで彼女の演技を拝見致しましたが、

途中涙が止まらなくなりました。

私が、荒川さんの演技意外に涙した演技は、奇遇

にも1984年の冬季サラエボオリンピックでの

アイスダンスの概念を打ち破ったT&Dの“ボレロ”

でした。その時私は15歳で高校受験を控えた不安定

な時期で、そのうえ虫垂炎OPのため入院中にこの

演技を拝見した次第でした。

荒川さんの演技に然り、T&Dの演技に然り、近寄り

難い“気高さ”がありますね。



T&Dはご夫婦なのでしょうか?

他のアイスダンスのペアを見る限り滑り出しや、速度

が速まる時など、進行方向にお互い目をやりますが、

T&Dはお互い見つめ合いながら演技をするので、

競技を超えた芸術という感じがします。

ディーン氏のトーヴィルさんを包み込むようなあの

雰囲気がたまりません。そして美しい・・・・・

しかし、T&Dは98年に競技生活から退かれたよう

ですね。長文にて失礼しました。
返信する
動画をどうぞ? (KABU&寛子)
2006-05-16 11:58:35
さーさま>



コメントありがとうございました。T&Dがご夫婦かどうかは私達も存じませんが、おっしゃること納得です。少し画質は荒いのですが、「動画」をどうぞ。私達は、サラエボの頃は大学卒業したてで二人とも大学院あたりでぶらぶらしていました(笑)。でも、偶然この演技はTVで二人とも見ていたのですよね。



http://www.youtube.com/watch?v=cJ93zbqLe94



http://www.youtube.com/watch?v=t2zbbN4OL98





尚、こちらのBLOGには、これ以外の画像のリンクもありコメントも的確だと思います。



http://videopalace.seesaa.net/article/17110106.html

返信する
ご返事ありがとうございます。 (さー)
2006-05-20 21:29:54
管理人様、ご返事ありがとうございます。

あれから、英国やアメリカなどの英語圏の

サイトを検索しましたら、かなりの件数ヒット

致しまして、ご夫婦ではないことが判明致しました

1984年当時、お二人はかなり親密だったという噂が

ここ日本でも囁かれて、日本のワイドショーあたり

でちょっぴり騒がれたこともありました。



しかし、1990年9月にトーヴィルさんが、お二人の

アイスショーツアーのスタッフとして携わっていた、

アメリカ人のエンジニア・フィル・クリステンセン氏と

ご結婚され、その年に開催されたプロ選手による世界

選手権でのパフォーマンスがとても意味深でした。



ソッポ向くトーヴィルさんに対し、ディーン氏が幾度

も“俺を見ろ!”と言わんばかりの表情で彼女の腕を

掴み振り向かせようとするんですけど、ずっとソッポ

を向き続けている彼女を無理やり振り向かせ殴る様な

パフォーマンスをやったときは、鳥肌が立ちました。

(本当に殴ってませんよ、心なしかディーン氏の表情

が切なげでした。)“何故?俺じゃないんだ!”と

問い詰めている様な雰囲気プンプンの銀盤での演技

でした・・・・・・・



ディーン氏も91年にフランス系カナダ人のアイスダン

サーとご結婚しますが、2年後の93年に離婚。

翌年94年にアメリカ人のスケート選手の方と再婚し

98年と2000年にJrが誕生しています。(2児とも男

の子)



現在、またコンビを復活し、後進育成のためまた二人

で手を携え活躍中とのことです。

今年の3月、あの“ボレロ”を披露しています。

トーヴィルさん自身のちに、地元局のインタビュー

にて、“競技上の感情と性的(恋愛)な感情を一緒に

していたとその誤解に気づいてしまったんです。”

聞き手側のディーン氏はあなたにとってどんな存在

なんですか?という質問に対し、

“夫でもなく、恋人でもなく、家族や兄弟でもない

・・・・・・”と語った途端、沈黙状態になってしまった

そうです。トーヴィルさんも複雑な感情をお持ちの

様です。しかし、供に世界の強豪に勝負を挑んだ戦

友として、不思議な絆で結ばれているお二人です。

とても素敵なおじさま&おばさまになってますよ。



ボレロ及び殆どの作品はディーン氏が創作した作品、

トーヴィルさんという存在があったからこそ生まれた

パフォーマンスだったんでしょうね。



ミッシェル・クワンさん、ソルトレークシティオリン

ピック・アイスダンスの金メダリストのアニシナさん

&ベイゼラ氏の振り付けもディーン氏が幾つか携わっ

たそうです。長文にて失礼しました。



返信する
連投にて大変失礼します。 (さー)
2006-05-20 21:55:59
追稿にてすみません。

トーヴィルさんは、

“練習の時も銀盤で二人で滑っている時も

この上ない幸福感に満たされることも確かです。”

と語ってもいました。

それでは、管理人様、(KABU様&寛子さま)

お元気で・・・・・・・
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