快風丸

俺の船に乗らないか。

連続ブログ小説 お寺の地下の秘密 6

2006-06-29 13:17:43 | Weblog
 そして彼らの一人が静かに語りだした。

  「ここは、私たちにとって思索する場所です。
   私たちは、ずっと長い間、人間の所作を見守ってきました。
   お寺は人の生れ、そして死ぬことに深くかかわる場所。
   今日、あなたが感じたようなことを捨てたり、拾ったりする
   場所なのです。私たち、鳥が進化するための精神性を深めるには
   格好の場所なのです。」

      ”誰なんだ、お前は”
聞こうとして躊躇した。相手は鳥だからだ。弱々しい姿をしている。
彼らの前には、全ての暴力は無力だと直感した。
そして俺も彼らにとって十分過ぎるほど挙動不審者だからだ。

つづく