小学校低学年の頃、仮面ライダーを見ていると姉が言った。
「あんた、これ本当のことと思ってるやろ。全部つくりもので、中に人がはいってるんやで。」
「そんなん知ってるわ。」
ありがちな会話のようだが、実はウソをついていた。本当にこの国のどこかにショッカーが
いて、正義の味方が戦ってくれているので、自分の生活範囲も安全なのだと思っていた。
それぐらい、リアリティーをもってこのフィクションを受け入れていたのであった。
さて、今日、帰りに映画館に寄った。
「ゼロ・グラビティ」。もう、設定を聞いただけでわくわくした。
若田さんが船外活動をする映像なんかを見ていると、もし、なんかのはずみで、宇宙に
放り出されたらどうなるんやろう、その絶望について空想を禁じ得なかった。
高所恐怖症にとって、この手のネガティブ妄想は得意分野である。
初めての3D。何かで読んだ「3D技術はこの映画のために進化したのかもしれない。」
初めてでも十分にそう思えた。
これは、すでに映画を超えている。体験である。今日、初めて宇宙へ行ったのだ。
地球を見下ろし、絶望の漂流をしたのだ。
ストーリーはほとんどない。しかし、圧倒的な映像。吹き替えを選んで正解だった。
思う存分、宇宙に存在することができた。
強烈な興奮、息つく暇なき緊張の連続。
映画の新しい可能性を示した画期的な作品だと思う。
映画『ゼロ・グラビティ』予告5【HD】 2013年12月13日公開