どっちも使う。
凸凹コンビ。
頼まれてチケットショップに新幹線の切符を買いに。
いや、見ないでおこう。そう、当分、買い物はしない方針を立てたばかりだ。
しかし、見るだけならと、寄ってしまった。
チケット屋の隣りは、かの「ピーカンファッジ」。
行けば必ず欲しいものがあるという、魔法の中古盤屋。
以前見たときは、紙ジャケがあったが、思いとどまった。CD買いすぎだから。
しかし、今日は、SHM-CD仕様があった。1480円。新品の半額。
しかも、シュリンクフィルムをはがさずに、カバーとして使用している、上物。
「紙ジャケがダメなら、SHMでどうじゃ」
という悪魔のささやきに、沈んでしまった次第である。
SHM-CD、賛否があるようだが、やはり、音はクリヤーで良い。確かに、ヴェールを1枚、
はがしたような感じがするので、好きだ。
高校のころ、廃盤セールで、980円で買ったレコードをカセットに入れて聞いていた。
あ、こんな音が入ってたんだ、という発見があったりして、なかなか楽しめます。
改めて聴いてみると、ザ・バンドと同じ匂いがするなと。暖かい土の香りがするブルース。
クリームの人がやってるなんて、想像できない感じ。
もし、クリームではなくて、クラブトンのキャリアが、ここからスタートしていたら、世界の音楽シーン
は、変わっていたかも知れないなんて想像してみました。
ピーカンファッジには、当分、行かないでおこうと思います。
金曜日の夜、映画を見た。
なんとも風情のある階段を上り、受付へ。
映画館。まさしく映画館。下世話とアカデミックが交錯する場所。そう、このたたずまいこそが
映画を見る場所にふさわしい。
ジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニのドキュメンタリー。
図書館で、たまたま手にしたCDで知ったのは、今年の春。
何も知らずに聴いて、その独自な世界感、不思議な明瞭で爽快な音色に打たれた。
ネットで調べておどろいた。先天性の病気で、骨が成長せず、成人してからも身長は1m。
ピアノ椅子へは、抱きかかえられて上がり、もろい骨が演奏中に折れることもあったという。
しかし、CDからでも、その人並み外れた強いタッチは聞いてとれた。
どんな人生であったのかと興味津々であった。
そして、そんな何気ない偶然の出会いから半年で、こんな映画が出来ようとは。
なんともご都合の良過ぎるハナシに正直、驚いている。生誕50年記念だそうだ。
さて、映画は、かつて交流のあった人々の証言と、ミシェルのインタビュー、演奏シーンで
構成されている。
生まれた時に、20歳までは生きられないと宣告されながら、36年の生涯をピアニストとして全うした。
生きることを楽しみつくした人だ。人生が、焼き魚だとすると、骨まで食べて、何回もおかわりしたような。
ドキュメンタリーの3分の1は、音楽の話、もう3分の1は、演奏シーン、そして残りの3分の1は、女の話。
いかに女好きかが良くわかる。そして、女だけでなく全ての人に愛された。
何人もの女と付き合い、子供もいる。オフステージでは、いつも仲間に囲まれて、笑いの中心にいる。
カメラの前で恋人とじゃれあいながら「セックスしようぜ」、スケベな下ネタジョークもお手の物。
お父さんは、ギタリストで、長くは生きられないであろう息子に勉強はさせなかったのだそうだ。
学校へは行かせず、通信教育だったが、カセットテープは、聞かせることなく、音楽を録音したのだそう。
「通信教育はすばらしいな、いくらでも音楽が録音できる。」
ピアノの超絶技巧に関しての解説では、常人の10倍の速さで手首が動くと言っていた。これが、
誇張でないのは、映像を見れば一目瞭然。このシーンだけでも、この映画を見る価値はあると断言する。
クラシックのピアニストも舌を巻くのだそうだ。
人生と同じように、ピアノも、骨までしゃぶりつくしたのであろう。ピアノに口があったなら
「もうこのあたりが限界です。」と言うだろう。
ミシェル・ペトルチアーニが、もっと人生は、楽しめるぞと教えてくれた。
有山淳司と内田勘太郎 at 名古屋 「得三」。
ブルースギターの名人の中の名人。人間国宝級の二人が奇跡の競演。
ひとりでも見たいギタリストが、ふたりでやるという。
前日に前売り券を買う。整理番号25番。
前売りが25枚しかハケてないのだろうか。そんなはずはないだろう。
18:30開場。やはり、100番台の人も並んでいる。おそらく店に置いてあるのは、
若い番号ということなのだろう。今後の参考になった。番号順に入場したら、席は自由。
幸運なことに、最前列の真ん中が空いていた。
インストで、「第三の男」。意外な選曲。
勘太郎のMCによれば、
「江戸時代に、憂歌団というバンドを結成して、その2年後くらいから、有勘として活動してた。」
ということらしい。本当は70年代の半ば。
そのときのテーマ曲が、「第三の男」で、キャッチフレーズが、「悪魔のギターと天使の歌声」らしい。
今回、一夜限りの復活。
向かって左が、勘太郎。新しそうな、シングルカッタウェイのドレッドノート。サウンドホールにはフタ。
ダイレクトボックスからコンソールへ。
有山さんは、マーチン・トリプルオーっぽい小さいボディのオールドギターに、マグネチックピックアップで、
年季の入ったツインリバーブ。
有山さんは、ブライトなヌケの良いトーンで、勘太郎は、ソフトな抑え気味のトーンが好対照。
沖縄では、三線の達人になってくると、楽器と声がひとつになってくるらしいが、この二人の声も、
ギターのトーンと似てることに気が付いた。
有山、ウィスキー飲みながら、タバコ吸いながら。勘太郎は淡々と。
リラックスした感じで、トークも久しぶりに会った友達と居酒屋でしゃべってるみたい。ライブハウスっぽくて良い。
憂歌団の「おそうじオバチャン」、上田正樹と有山淳司の「みんなの願いはただひとつ」。
それにしても、二人ともフィンガーピッキングで、すごいダイナミクス。なんで、そんな強いアタックが
出せるのだろう。そして、アンプ通しとは言え、フォルテシモの強さがすごい。
そして、有山さん、ずっと笑ってるし、トークは、グダグダ。客席から
「シカゴパウンドやってー」
「それは、木村に言え」と勘太郎。
ああ、これが関西なら、もっと客と丁々発止のやりとりするんやろなあ。
アンコールは、「昔、二人で作った甘いラブソング。」
うっとり。溶けました。
客電が点いたのが、10:00。
ああ、いい夜だったなあ。
では、自転車で帰ります。
あれは、2010年11月15日。
この日を境にアルコールを断ったのだつた。
極めて個人的な記念日なので、ひとりでお祝いすることにした。
しかし、最高のパーティーであった。
ライブハウス 「得三」 、ど真ん中の最前列にて。
いわゆるジャズファンの中には、上原ひろみが嫌いな人がいるらしい。
ジャズらしくないからという理由だそうだ。
アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスとのThe Trio Projectの2作目。
1日の流れを音楽で表現するというコンセプト。
前作で、存分に驚かされているので、同じようには驚かなかった。
正直、前作と似た感じがした。しかし、それは、初めて聞いた時の耳ざわりの話。
音楽の滝。流れ落ちてくる強く、激しい水に身を投げ出したとき、新しい鮮烈な
イマジネーションを感じる。
上原ひろみが嫌いだという人の意見は正しい。これは、ジャズではない。
そんな狭いジャンルがどうだなどというゴタクを一瞬のうちに陳腐なものにしてしまう。
いや、すでに音楽というものの概念すら変えてしまったのかもしれない。
なぜなら、このアルバムを聴いているとき心に起る変化は、今までに感じたこともないほど
深く、激しく、そして優しい。そういった何かが泉のごとく次から次から湧き出てくるのである。
このトリオが、ツアーに出るとき、「限界を決めずにどこまでも行こう。」と話し合ったのだそうだ。
ひろみとアンソニーとサイモンがですよ。
今までに無いものができてしまう道理である。
11/30のLIVEが待ち遠しい。
ミッシェル・ペトルチアーニを知ったのは、何気なく手にした図書館のCDだった。
耳に聞こえるというよりは、空間にイメージが出現する感じがした。あまり、音楽で感じたことの
ないものであった。部屋の温度とか、空気とか、そういったものが、変わったと感じた。
ミシェルのピアノがスピーカーから流れだすと、こうこうと蛍光灯に照らされた部屋が、
一瞬にして夜になったのだ。
なんとも力強く、そして、おだやかで、ときに柔らかく、直接に心に響いてきた。
ネットでその名を調べて、すごい人であると分かった。
生まれながらにして、骨が成長しにくい難病で、20歳まで生きられないと宣告されたらしい。
身長は1m、結婚をし、子供をもうけ、全ての人に愛され、それでも精力的に生き、36歳で亡くなったそうだ。
今、そのドキュメンタリー映画、「情熱のピアニズム」が公開中。
で、このCD、メンツもすごいが、演奏もすごい。圧倒的である。
ボーナストラックの「A列車でいこう」だけでも一聴の価値ありです。びっくりしますよ。
音楽なのに、列車が走るのです。それが映像として目に浮かぶというのとは違って、
心にイメージが伝わってくるのです。それは楽しい夢の列車に乗りました。
音楽とは、こんなに素晴らしい価値のあるものだと知りました。
スピーカーの左右を入れ替える。
こうすることにより、縦に3つ並んだユニットの上2つが左右に離れることになる。
左右スピーカーの位置が近い場合、こうすることにより、左と右からの出音のセパレーションが良くなり、
ステレオ感が増すのだそう。
このような、分かりやすくて、簡単で、お金のかからないことは、どんどん試していきましょう。
では、 アナログ盤、聴いてみましょう。
1979年。
「つれなのふりや」は、やはり、素晴らしい。
ギター、今 剛は、これがデビュー作とのこと。
アナログの音は、素晴らしい。