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平野啓一郎「ある男」を読んでの感想

平野啓一郎「ある男」を読んでの感想です。
平野啓一郎さんは恋愛の描写がすごくいいと思います。僕は好きです。
「マチネの終わりに」でもそうでしたが好きな女性とのやりとりがすごくロマンチックです。
この本でも里枝さんや美涼さんの恋愛の話を僕はじーんとして読みました。
それでも本論は恋愛を越えた大きなテーマ。思い出が人を生きさせているだと思う。
自分の思い出を捨てて他人の思い出で生きる。そうせざるをえなかった人たち。考えました。
そして僕は他人の思い出に生きている人を見て、平野啓一郎さんが他の本で書いていた「分人」という考え方を思い出しました。
人はいくつかの違う顔を持っていて、それぞれ会う人によって使い分けている。
会う人だけでなくそれぞれの場面で違う人に成っているという。
僕はその延長線上にこの「ある男」は書かれているのだと思いました。順番が逆かもしれませんが。
そんな生き方も提案しているのかなと思います。

それと冒頭で「他人の傷を生きることで自分自身を保っているのです」と僕は本の中の文章をメモしていた。
考えると小説を読むのも他人の話を読んで自分の今、過去、未来を思うのだと思う。
僕はコーヒーを飲みながら小説を読んでいるとふと思いついたり過去のことを思い出したりする。僕はそんな時間を持つのが好きで読書しています。
それが読書のよい所かなと思います。
この本でもいろいろなことを読んでいて整理出来ました。

そして思い出って大切だな。僕も思い出を大切にしよう、大切な思い出を作っていこうと思いました。
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