3.11。あれから5年が経つ。いろんな意味で、あの日以来、日本の国家が、日本人一人ひとりが足元を見つめなおして、これまでとは違う未来を探り出した。日本の大きな歴史的な転換点だったと思う。
昨日、関西電力が高浜3号機の運転を停止した。大津地裁の運転差し止め仮処分決定を受けての緊急措置だ。企業人の片割れとして、この大津地裁の決定には大きな疑問を感じると同時に落胆した。司法がそこまで軽々に公益性の高い経済活動に踏み込んで、原発を稼働させれば得られたであろう年間1千億円超の利益を剥ぎ取る強権を行使していいものなのか。安全性確保の判断は考え方一つでそのレベルは変わる不確実な正解のないものなのだ。まして絶対安全などはこの世に存在しない。
だからこそ、規制委員会の専門家の判断に委ねるしかない。その専門家の判断を、その道の素人の判事がコミットして覆し、再稼働を始めたばかりの原発の運転を停止させたことを嘆く。
まるでこの国は民主主義国家ではないのではないかとすら思う。国家が疲弊したのでは東北の復興がますます遅れてしまう。寒々とした思いで3.11の朝を迎えた。