■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】104 ブルーオーシャンを狙え 1210
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■ ブルーオーシャンを狙え 1210
新型コロナウイルスの感染拡大で、様変わりしたのが生活習慣である。外出時はマスクを着け、店舗や施設に入ったら消毒液を噴霧し、帰宅したら手洗いすることが当たり前になった。こうした変化をとらえて、新たな商品・サービスの提供を始めた企業も多い。高密度高多層プリント基板の設計製造や、板金・塗装、医療用電子機器・精密機器の組み立てを担う大陽工業(東京都品川区)もそのうちの1社だ。
2020年3月期の売上高は53億5100万円で、ほぼ100%がOEM(相手先ブランドによる生産)事業。だが新型コロナの影響で受注が落ち込み、4~9月の売り上げは前年同期比で約9.2%減少した。月1~2日の休業や残業抑制を行い、雇用調整助成金などを活用した。
これに対し、8月に発売したのが、LED照明にウイルス除去・除菌・脱臭機能を搭載した天井取り付け型の脱臭除菌装置「MIKAZE(LED脱臭照明)」である。玄関やトイレ、洗面所、ウォーキングクローゼットといった狭い空間向けに特化した製品で、光触媒フィルターと深紫外線LED(波長275ナノメートル)照射によりウイルスや細菌、臭いを不活性化・分解する。コロナ禍で目に見えないウイルス除去ニーズは急激に増えており、これまでに150台以上を販売した。
かつて光触媒を使った脱臭装置をOEMで製造していたことが、新製品開発のきっかけ。ただ空気清浄機の市場を調査した結果、6~12畳サイズのリビングルーム向けは、多くのメーカーが手がける「レッドオーシャン」状態だった。そこで競合相手のいない「ブルーオーシャン」はどこにあるかを調べたところ、玄関やトイレなどの狭い空間では空気清浄機は邪魔になり、電源も取りにくいため、製品自体がほとんどないことが分かった。
「たまたま家の天井を見上げると電球があり、電源もそこからとれるのではないかと考えた」と中川隆一取締役。LED照明と空気清浄機を合体させた天井取り付け型の製品コンセプトが出来上がった。デザイン性にも気を配り、2020年度の「グッドデザイン賞」を受賞した。新型コロナによる既存事業の落ち込みを少しでもカバーするため、年間2000台を目標に販路開拓に取り組んでいる。
この春には100畳クラスの空間を1時間程度で清浄処理する大規模空間向けの製品を市場投入する計画だ。病院や介護施設、学校、ホテル、避難所など大勢の人が集まる大規模な空間向けに年間100台以上の販売を想定している。実は先行投入した「狭い空間」に加え、「大規模空間」も参入メーカーがほとんど存在しない「ブルーオーシャン」なのである。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成