※※※
わたしが帰るとき
必ずわたしを見送りに出てくるのよね
「気をつけて帰るんだよ」って
言わなくちゃ気が済まないからと
そうしてあなたはわたしの車が消えるのを見守る
わたしはあなたが見ているのをミラーの隅に見る
玄関に入るのを見届けないと行けないのよと言うと
笑って大丈夫だからと言うけど
つたない歩きを見ていたら
大丈夫なんて言葉を信用できなくてね
それでもあなたは大丈夫だからと手を振る
ねぇ、かあさん
いつからそんなに弱くなったんだっけ
わたしが知っていたあの頃の働き盛りのあなたは
もうどこにもいなくて
それでも言葉の端に
昔あんなに頑張った日々があったことを垣間見る
わたしでは到底かなわぬほどの
その日々の上にあぐらをかいて
わたしは生きてきたんだなと
あなたを見ていると思うこの頃なのです
※※※
あなたのところに向かう
途中ですれ違う救急車
ふとよぎる不安の芽
はやる気持ちがハンドルに力が入る
玄関を開け
いつもの部屋に入ると
普段通りのあなたがいる
あぁ
それだけで
嬉しい
※※※
わたしが帰るとき
必ずわたしを見送りに出てくるのよね
「気をつけて帰るんだよ」って
言わなくちゃ気が済まないからと
そうしてあなたはわたしの車が消えるのを見守る
わたしはあなたが見ているのをミラーの隅に見る
玄関に入るのを見届けないと行けないのよと言うと
笑って大丈夫だからと言うけど
つたない歩きを見ていたら
大丈夫なんて言葉を信用できなくてね
それでもあなたは大丈夫だからと手を振る
ねぇ、かあさん
いつからそんなに弱くなったんだっけ
わたしが知っていたあの頃の働き盛りのあなたは
もうどこにもいなくて
それでも言葉の端に
昔あんなに頑張った日々があったことを垣間見る
わたしでは到底かなわぬほどの
その日々の上にあぐらをかいて
わたしは生きてきたんだなと
あなたを見ていると思うこの頃なのです
※※※
あなたのところに向かう
途中ですれ違う救急車
ふとよぎる不安の芽
はやる気持ちがハンドルに力が入る
玄関を開け
いつもの部屋に入ると
普段通りのあなたがいる
あぁ
それだけで
嬉しい
※※※