夜の階段・・・聞いていると「夜の怪談」とも受け取れてしまうかも。
いや、怪談はあり得ない。わたしの場合は。だって、ホラーとかとっても苦手だし。
※※※
階段はずっと朝まで照明を点けっぱなししている。その照明が玄関のそばのトイレに母が行くときにちょうど良い案配の灯りとなってくれている。そして、階段上の廊下には直射日光を好まない植物が置かれている。廊下にある窓からはほどよい光が届いていて、植物にはこの上なくいい環境らしい。
といっても水をあげる役目のわたしがしっかりしていないと駄目なわけで。
冬の間、頑張って?管理していたおかげでそれらの鉢の植物は元気に冬を越した。
でも、でも、ゴールデンウィーク近くにすごく暑くなって。暑さが続いたので、母にこれらを外に出してもいいんじゃないかと進言。
母が
「いつもだと五月に入ってからだけどなあ」と言いながらも承知した。
早速、外に出しておいた。
ところが・・・その出した後で、可哀想に葉っぱが変色するものばかり。
母が
「やっぱり、早かったなあ。朝晩、冷え込むからなあ」と言った。
わたしは自分の判断の甘さにがっくりきた。そしてしばらく諦めていた。もうなすすべもないだろうと。
でも、もしかして・・・と思って、「ねぇ、あの鉢たち、また二階の廊下に置いたらどうかな」と言った。
「駄目だと思うよ」
「でも、駄目でもともと、運んでみるよ」
重い鉢もなんのその、いくつか廊下にスタンバイ。新芽が出ていたガジュマルの変色、どうなるかな。君子蘭の葉っぱの枯れ具合、どうなるかな。
しばらくして、ガジュマルの新芽がのびのびしてきた。色も緑が濃くなった。
そして、何よりも君子蘭にオレンジ色の花芽が!
冬の間にしっかりと大きな株から花が咲いたのに、ほかの小さな株はうんともすんともなかった。それが今、葉っぱの変色をものともせずに二つの株からオレンジの花が顔を覗かせている。
母に知らせると驚いていた。
「生きるのを諦めなかったんだね~」と言った。
そうだね~とわたしも頷いた。
植物の生命力のすごさを見せていただいた。
そんな鉢が並んでいる夜の階段を通るたびに、昼夜問わずに灯りがあるのは、はたしてこの子たちにとっていいものかしらん・・・とちょっと首をかしげてしまうわたしだ。
この子たちも眠る時間がほしいのでは?