ヘビメタなんだって。
ふ~ん。
うるさいだろうな。
そんな印象を抱いていたわたしが重い腰をあげて先日行ってきた。知り合いが企画したので、まあ聞いてみるか、そんな期待感はあまりないままで。
いや。
違うでしょ。
はあ?
なんてこった。
面白い。
会場は古い映画館。数年前に復活した。そこでのライブ。
中を写すのを忘れてしまった。中もレトロ感満載だ。
スクリーンにはケリー・サイモン(主催者が一番好きな写真を使ったのだそうだ。ケリーさん数年前の写真)。
地元のバンドの女性が司会を務めた。
まず最初に驚いたのが、司会の女性が録音・撮影を遠慮してほしい旨を言ったのだが、なんとケリーさんは一曲目の「Future Destination」演奏を自由に録画してかまわないと言ったのだ。これには観客も大喜び。あちこちでスマホを掲げる人がたくさんいた。わたしは演奏ではなく写真を。
ケリーさんの独演ライブは何が面白いかというと、一番はもちろん超絶技巧の演奏だけど、彼のMCが湧かせる。わたしにとっては初めてづくしのことだらけで、話す内容もまたとびきり面白い。
そして思ったのは、彼が何を伝えたいかということ。
目の前の最前列に並び食い入るようにして見聞きしている若者たち。きっとギター弾きなんだろうな。中学?高校? そんな感じのまだ初々しさが背中に漂っている若者たちにケリーさんはギターの面白さを語る。エレキギターの奏法は本当にびっくりすることばかりだった。SAXのプレイ(ブレス)を意識して表現したビブラートを効かせた「トワイライト オーバーナイト(曲名あやしいが)」がそれだった。全然違う音、全然違う世界。
そして彼の持ち味でもあるクラシックのアレンジ。今回はビバルディの「四季」、これはバイオリンを意識したボリューム奏法というやり方だそうだ。彼自身、これを弾くにはせわしなくて難しいのだそうが、それをいかに華麗に決めるかが課題なのだそうだ。「アベ・マリア」ベートーベンの「悲愴」と続く。どれもどこかで耳にした曲だからか若者にも聞きやすかったと思う。
彼は言う
「エレキがうるさいと言うのは、ヘタだからだ」と。
アイルランド民謡をモチーフにした「ワイド・フロンティア」のアルバムでは演歌っぽいモチーフがあると言いながら演奏。確かに。
そんなしゃべりと共にエレキの楽しさを存分に見せて一部終了。
二部は司会者と共に長いおしゃべりを。ちっとも長く感じない。しゃべりが楽しくて笑い転げてしまった。
そして次はギターのシングルコイルの楽しさを教えてくれた。「新世界の扉」からオリジナル曲を数曲。ブルージィで聞きやすかった。
他に演奏した曲は「サンセット」「オーパス・ワン」「オーパス・(忘れた)」「stay forever」「road of the viking(スペルわからん)」などなど・・・
技巧だけじゃない、なんだか目からうろこの演奏に終始わたしの口はあんぐり。
最後まで楽しみつつ。
ヘビメタってこんな感じ? でも音量大で聞くのは疲れるかも。ということで知り合いがわたしにはこれがいいと勧めてくれたクリスマスバージョンのCD『Holly Winter』と『My Favorite Songs』カバー曲を入れたCDを買ってきた。帰りがけサインがもらえるということだったが、時間が遅くなったのですぐ帰った。
それにしてもすごい演奏だった。わたしの後ろの方にいた人たちが一曲演奏が終わるたびに「超、すげ~」「半端じゃない」とつぶやく声が。確かにね、とわたしも頷いていた。
たぶん、これがわたしにとっては初めてで最後のヘビメタライブだと思うけど。先入観ってだめだなって思った。
もしわたしが若い頃聞いていたら、最前列で頭振って髪取り乱して聞いていたかも(笑)