こんな感じ。
最終的には自分の手で再生
復活させたオートバイと一
緒にいたかったので、マシ
ンの傍らで椅子に座って一
晩眠った。
いついかなる時でも、どこ
でもどんな状況下でも眠れ
る体質に改善しといて良か
った(笑)。
ベッドの中、布団の上でな
いと眠れないというのでは
男は戦えない。なんちて。
あしたのジョーは死んだの
かどうかで様々な論争があ
る。
約50年前の連載終了時には、
大学の卒論でジョーの生死
論を書いたりすることも流
行した。
だが、これはファンの想像
を巡らす楽しさを壊すよう
だが、作画者によって真実
が後年明かされている。
原作者の梶原一騎に常に従
って作品を描いてきたちば
てつや氏は最後の最後だけ
梶原一騎に逆らったという。
緊張する対立を呼んだらしい。
梶原一騎は怒って「勝手に
しろ」となった。
原作者梶原が用意した最後
のラストシーンは、パンチ
ドランカーになった年老い
た矢吹丈が、車椅子に乗っ
て葉子とともに照り注ぐ陽
の中で穏やかな日を過すと
いう二人の姿がラストだっ
たという。
ちば氏は絶対にそれが許せ
なかった。語気を荒くして
まで梶原一騎に噛み付いた。
「冗談じゃない。そんな終
わり方は許せない」と。
ジョーが死ぬことでしかこ
の物語は完結しないと、ち
ばてつや氏は言い切り、そ
してあの有名なラストシー
ンを描いた。
作品のラストシーンへ進む
展開のみは、作画者のオリ
ジナルであるのが『あした
のジョー』であるのだ。
ジョーは死んでない等々、
作品ファンの医師たちがジ
ョーの反応を指摘しながら
夢を語ることも多いのであ
るが、残念ながら作者によ
り答えは出ている。
矢吹丈は死んだのである。
丹下団平のとっちゃんより
も先にジョーは死んでしま
ったのである。
(ジョーが団平を呼ぶ時は
「とっつぁん」と言う時も
あるにはあるが、ほぼ全域
に亘って、正確には彼は「と
っちゃん」と呼んでいた。
世間一般でジョーが団平を
呼ぶ時のモノマネで「とっ
つぁん」と真似するのは誤
認である)
だが、私はまだ生きている。
ジョー世代の若者たちがバ
リケードという腹の中で生
きたように、今、私は生き
ている。
モーターサイクルと共に。