渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

2024年03月27日 | open



鍔である。鐔とも書く。
刀装具にいろいろあれど、鍔
は一番目立つ所に配される。
実用上の物だが、そこに日本
人は日本人独特の美を表現し
た。
単なる実用上ならば丸い鉄板
であればよい。
だが、鍔には彫りや象嵌など
が施され、実用性プラス美術
的な意匠が表現される。
鍔だけの収集家もいる程だが、
それは何だか車好きだがハン
ドルだけ集めるマニアのよう
だ。
鍔は本来は刀身と連結されて
こそ存在意義があるし、デザ
インも刀身と一体となった上
での意匠となるべきだ。

刀装具の金具は、縁、頭、目貫、
鯉口、こじり等々あるが、中で
もやはり鍔が目立つ。
縁頭や目貫なども日本金工の技
術の粋が投入され、現代では再
現不能(施工方法が不明)な物も
多い。
鍔も同様で、髪の毛が通らない
程の鉄鍔の糸透かしなどは、現
代ではその技法が全く解明され
ていない。(本当に全く不明、
かつ現在のところ再現不能)

日本刀の世界は刀身だけを観る
鑑賞が主となっているが、刀装
具の世界も実用プラス芸術性の
高い工芸であり、非常に見所が
多く深い美術品となっている。
鍔の金額もピンキリで3万円程
度から数百万円するものまで
ある。
勿論、全て明治以前の本物実物。
明治以降の作は、本物の金工師
の作る現代美術品以外は全て
おもちゃだ。レプリカ。
模擬刀や安物の出来合いの吊る
し真剣などに着いているのが
れ。
本物は時代物と呼ばれる明治初
期までの武士がいた時代の作品。
刀と同じく、鍔も本物の時代物
を見たり入手するのが良い。
本物は本物であり、レプリカや
贋物ではないからだ。
美術品は本物=本歌を観ないと
真実が見えなくなる。

刀や刀装具を単なる道具として
しか扱わない向きには刀身も金
具もどうでもいい。
どうせ、使い捨てのトンカチや
箒と同じ程度にしか考えてない
のだから。
だが、袴を履いて武士の真似事
をしている刀振りたちにはそれ
が非常に多い。
当然、日本刀などには興味もな
いから、刀など全く見えない。
扱いさえも知らない。
咥えタバコで刀を振り回したり、
汚いネルに染み込ませた油で刀
身を拭ってもお構いなしだ。
物切り族や旗揚げスポーツ選手
にそれらが実に多い。
武士とは無縁の存在。
袴を履いて刀差してるからと
格好に騙されてはいけない。
武士とは無縁の者ほど偽物ぶり
を発揮するので看破は容易だが、
宜しくない事に、世の中、そう
した族が大きな顔して蔓延って
いる。
日本刀も刀装具も人も、本物本
当の真実を見ないとならない。



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