Y's クロニクル

旅行等の一生思い出に残る事から日々の小さな出来事まで少しずつクロニクルに残せたら・・・と思っています。

「経済は感情で動く」を読んでみた。  マッテオ・モッテルリーニ著

2011-05-19 08:20:03 | TV・映画の感想、書評など

3月11日に東日本大震災が起こってから、蚤の心臓の私は、地震専門家が
「地球全体のプレートが活動期に入って、この震災の影響で起こるとされている
地震が実際に起こる確率が高くなりました。」なーんて言っちゃうものだから
ひどくビビったもうあの日以来、東京直下が今にでも来るかのような恐怖に
さいなまれ、東京にもあの日の映像で見た津波が襲ってくる幻想に
怯えていた
でも、待てよ?と少し残っている理性が私に言う。30年の間に70%の
確率が上がったと学者は言っているがどの程度あがったのだろう?
地球規模の時間の中で上がった確率は顕著なものなのだろうか?

しばらく振りの書評。経済の分野で行動経済学という分野がある。
普通経済と言うものは経済的な人間が経済分野ではその知識と共に
合理的な行動をするものであるとの前提で推論がなされるが、
一般的な人間の行動は経済に限らず、直情的、すなわち心理的な要素
が多分に働き、合理的に行動するとは限らない場面が殆どだ。

あら~なんか少し固めの文章いやいやこのマッテオ・モッテルリーニの
著書「経済は感情で動く」は行動経済を一般的な私達の経済行動を分かり易い
実例をちりばめた行動経済のプレ入門書だ。←ここ大事よ!入門のプレです
この本を読んでいると、私なんかはまったくもって「私にとって何が得か?」という
事を考えているようで、まったく売り手側の策略にはまり損をしているのかも?
と思い知らされる

で、最初に書いた私の地震への恐怖。これを経済行動学では「利用可能性」
というらしい。
これはある事象がおこる確率や頻度を考える際に最近の事例やかつての顕著な
特徴を思い出す事で評価する事。マスコミやTVで取り上げられるとそれだけで
重大事件と思いこみ、過大評価してしまうという人間の心理だ

例えばエアバスが太平洋上で爆発し420人が犠牲になったというニュースを
見ると飛行機という乗り物がとても危険な乗り物に思えてくる。
そんなニュースがあった翌日に飛行機を利用しなければならない日には
生きた心地もしないが、冷静に考えてみればウチからタクシーに乗って
神保町へ古本を買いに行った経路での事故の方が確率が高い訳だ。
しかしながら人間はその冷静な判断より大きく取り上げられた事象に
縛られてしまう。そこでは合理的な思考は影を潜めてしまう訳だ。

後、よく知られている事だけれど、鰻屋さんやお寿司屋さんにはメニューに
3段階の価格設定がみられる。上・中・下とか松・竹・梅とか・・・
その中から私達は真ん中を選ぶ比率が断然多い。

どうも人間は選択肢が多くなると本来自分の欲していたものを忘れてしまい
真ん中を選ぶ行動にでるようだ。そこをお店側は上手く利用し例えば
レストランなどでワインリストにお得な安いワインと少し高価なワインを
載せるとお客は安いワインを選ぶ比率が高いが、ここにとても高価なワイン
をアップし3種類にするとやはり少し高価なワインを選ぶお客が続出
と言う事になるらしい。
そういう場面に出くわした場合この本を読んでいれば「なーんとなく・・」
との感情に惑わされずに、合理的に「私にとって何が得か?」と考え
一番安いワインを迷わずに注文できるのだ

「アンカリング効果」これも気を付けなければならない・・人は自分が今
必要としている物に係わらず印象手的な(心にズシーンとくるような)物を
インプットされるとそれに影響されずに決断する事が難しいそうだ。
日常は私に合理的判断をそうやすやすとはさせてはくれないのだな~と
気づかされる本でした。

ここまで「字」だけの構成でしたので、少し癒される画像を!
ウチの前に続く公園に黄菖蒲が見頃でした~

あれ~ぇ!これ黄色カキツバタかな?
で、私の好きな薄―いグリーンが入ったトルコ桔梗。

白とライトグリーンはいかにも爽やかな5月にピッタリですね!