私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

応神天皇の酔って歌った歌

2018-03-01 11:13:43 | 日記
  “須須許理<ススコロ>が 醸<カ>みし御酒に 我酔ひにけり
   事和酒<コトナグシ> 笑酒<エグシ>に 我酔ひにけり”
 
 と。須須許理は百済から酒造りの製法を伝えたあの仁番<ニホ>です。「事和酒」の「和(な)」は「なごむ」「なぐさめる」の「な」です。「無(な)」だとする人もいるようですが「和」の方がいいのではないと思います。いろいろな憂き事や哀しい事が、総て、なごむお酒です。<グシ>とは酒の事です。次の「笑酒<エグシ>」は、お酒を飲めば心が楽しくなって愉快な気分になり自然と笑みが顔に浮かんでくるからと言うのです。要するに「笑い上戸」の天皇だったのです。笑<えみ>は恵<えみ>に通じる言葉なのだそうです。蛇足ながら・・

 このように天皇は大変な酒好きになったのです。これで「めでたしめでたし」かと思いきや、この話には、更に、この酒に酔っ払った後、天皇が取った行動もご丁寧に書かれてります。
 
「酒に酔っ払われた天皇は、何処へでも出歩く放浪癖があった」と言わんばかりに、次のような逸話まで書いてあります。
 
 「天皇は酔うと、何時も、杖ついてどこへでも歩いて行かれる癖がありました。ある時、道ん真ん中にあった大石を、持っていた杖で打ちます。すると、その石は天皇の杖に打たれまいとして逃げた。」
 と言うのです。
 
 これなどは何時も何時も、直ぐに酔っぱらって、前後不覚になり何処へとも、訳の分からないことを云いながら立ち歩きます。それを見た人達は何をされるかも分かりません。相手は天皇です。君子危うきに近寄らずの通りに、出合った人達だけでなく、路傍の石まで、そのような酔っぱらいの人の近くには近寄らなかったということを証明するエピソードであったと思います。