恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

6.妊娠

2004年12月22日 | 女子高生と恋愛
 一年も経つのに、今でもNを好きな気持ちは変わらない。電話がかかってくるかなと思っていたら、電話がかかってきた。
 「先生、妊娠した」悲しい声ともうれしい声とも聞こえて取れた。ただ、迷っているような声だった。私は何がなんだか分からず、無言のままずっと聞いていた。その時間は、十分、一時間、一年、十年くらい、時が止まってしまったかのように無言だった。
 このまま、Nの声をじっと聞いていてあげたかった。もう何も悩まなくていいんだよ。私が育てるよ。とも言ってあげたかった。それよりも、気が狂いそうなくらいにショックだった。
 心の中では、本当にむかついていた。三十歳の男の子供。ヤクザから追われている男の子供。借金地獄の子供。不幸が目に見えた。
 Nの血をひけばかわいいだろうなとも考えたりもした。
 どう対象すればいいのか?大人として、先生として、どう言ってあげればいいのだろう。
 「親は知っているの?」と聞いた。
 「知らない」
 「俺から言ってあげようか」
 「自分で言う」
 「そうか」そんなやり取りをした。私は頭がパニックで、早く電話を切りたかった。地球に隕石が落ちて、後二十四時間で地球がなくなる。と言われたらこのような気分になるかもしれない。
 最近、親ではなく他人の誰かに認めてほしかったのではないだろうかと考えるようになった。私は何をしてやれるのだろうか。先生として、人として相談を聞いてやることくらいしかできないのだ。
 それから、Nが入院したのを噂で聞いた。
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