恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

5.今を生きる

2004年12月20日 | 女子高生と恋愛
 Nが転校して来てから、随分と時間が過ぎたような気がする。告白して、拒絶はされたものの、少しずつだが、私と話してくれるようになった。
 Nが授業中、「先生、生きるって何?」小さいかすれた声で聞いてきた。いきなり何を言い出すのかと思ったが、彼氏のことや、家族のことを知っている私は答えたかった。
 「今は、人生80年です。昔は50年でした。その中で、悲しいことや辛いことがたくさんあって、その中から、少しだけいい事を探していくことが人生なんじゃないかな。私は、みんなと会えたことが幸せだったと思います」教室に私の言葉が響き渡った。生徒の心の中にも響いてくれたのだろうか。ぜひ今という時間を生きてほしい。
 「きっと先生って幸せなんだろうね」Nが小さく頷いて言った。Nにも伝わったのだろうか。人生の話しをして、一時間授業をつぶしてしまったが、これこそがいい授業なんじゃないかなと思った。生徒一人ひとりが考える授業だったとおもう。
 放課後
 「先生。彼女できた?」Nが不意に聞いてきた。また、何を言いだすのか。彼女いないのは君が一番知っているではないか。君が付き合ってくれないから、こんなひどい目にあっているのだろう。少しむっとしたが、私は大人として、態度をごまかした。
 「まだ、できないよ」
 「なぁんだ。まだできないの」
 「そのうち見つけるよ」
 「早く見つけてね。じゃあね。先生。バイバイキーン」Nが手を振って、帰って行った。天使のような微笑だった。羽が生えたら飛んで行きそうだった。今から30歳の彼氏が車で迎えに来るのだろうか。うきうき気分で帰っていった。何がバイバイキーンなのか。バイキンマンの方が良く思えた。



 
 
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