恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

2.サンタの街

2007年12月04日 | 冬の物語
 夜空が綺麗で、寒さも本格的になり、街行く人は忙しそうに家に帰っていた。
 近所では、トナカイ、サンタクロース、クリスマスツリーのイルミネーションが灯り始め、それを見ている子供たちは目を輝かせ、恋人たちは寄り添い合い、おもちゃ屋は賑やかに繁盛し、クリスマスという日を楽しんでいた。
 周りを見渡すと、赤い格好をしたサンタクロースがたくさん街に出ている。
 看板を持っているサンタ。ティッシュを配っているサンタ。ピザの配達をするサンタ。チキンを売っているサンタ。
 コスプレのサンタの衣装をまとったギャル。ミニスカートで客寄せをしている。
 「おじさま。今日は私のトナカイにならない?」
 こんな風に誰もがサンタになれる日だった。
 実は言うと本当のサンタは、私だけど誰も知らない。駅のホームで空き缶を拾い、一年に一度空き缶を売ったお金で子供たちにプレゼントを持っていく。
 「うほっい。私がサンタのおじさんだよ。」近くの子供に言ったら泣き出してしまった。その母親が「近づいたらいけません。」と叫んだ。
 無理もないだろう。こんなヨボヨボで、汚い格好をしているのだから。
 私が本当のサンタクロースだと誰が分かってくれるというんだろう。
 「今日はメリークリスマス。」目の前にいる黒猫に小さなプレゼントを置いた。 魚の缶詰だ。黒猫は、美味しそうに食べ、腹が一杯になるとどこかへか行ってしまった。いつでも独りだが、クリスマスという日はとても身に染みる。
 クリスマスという日は、人々が何かを求め、街を出歩き、サンタクロースというおじさんを探しているのかもしれない。
 本当のサンタのおじさんは、大人子供、男女差別もなく胸の片隅に生きている。
 
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コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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更新待ってましたーっ!! (リン)
2007-12-05 00:30:10
いつも素敵なブログ、有難うございます♪♪

クリスマスまでに、私だけのトナカイ探してみますww
返信する
私じゃ駄目かな(笑) (キーボー)
2007-12-05 10:08:03
りんさんコメントありがとうです。

最近誰も読んでくれてないのかと思って泣いてました。

私もピチピチサンタを探します(笑)
返信する

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