幼い頃の思い出は、大人になった頭の片隅に残っている。
幼稚園の先生に恋をしていたのを思い出した。ブランコで遊んでいた時、ジャンプをして転んでしまった。膝とオデコを擦り剥き、ワンワンと泣き叫んでいたら、水色のエプロンをしたポニーティールの女の先生が手当てをしてくれた。
「また、転んで。」保健室で、絆創膏を貼ってくれた。その後に「痛いの痛いの飛んでけ。」と言っておまじないをしてくれた。先生の笑顔とおまじないで痛いのはすぐ魔法みたいに消えてなくなった。
それから、先生の顔を見るとすぐいたずらをした。髪を引っ張ったり、スカートをめくったり、困らせていた。
そんなある時、先生が幼稚園を辞めると言った。結婚して、お腹に赤ちゃんが出来たと喜んでいた。僕は、先生の顔を見れなかった。この感情が好きだという事は、随分と大人になってから、分かることになったけど。
先生が辞める時も、みんながワイワイと励ましていたけど、僕だけは、俯いてブランコにいた。
先生が、心配そうに僕の所に駆け寄って来てくれて、頭を撫でてくれた。
「先生ね。幸せになるから。」幸せの意味なんてその頃は分からなかった。だけど、涙がどこから出てくるのかと思うくらいに溢れ出てきた。
先生が、ギュッと抱きしめてくれた。
その温もりは今でも思い出すことが出来る。
近所の横断歩道を渡ると、幼稚園がある。
白髪頭で、ポニーティールをしている園長先生がブランコの男の子の頭を撫でていた。
僕は、幼稚園に入り、挨拶をした。
「こんにちは。子供が女の子を泣かせてすみませんでした。」
「子供の成長は早いもんだね。昔を思い出すわね。」私が苦笑いを浮かべていると、息子が後ろに隠れてベーと舌を出していた。
「困った子供で大変ですよ。」
「親に似てるからじゃないかしら。」と言って笑った。昔のように目の横に皺が出来ていた。
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幼稚園の先生に恋をしていたのを思い出した。ブランコで遊んでいた時、ジャンプをして転んでしまった。膝とオデコを擦り剥き、ワンワンと泣き叫んでいたら、水色のエプロンをしたポニーティールの女の先生が手当てをしてくれた。
「また、転んで。」保健室で、絆創膏を貼ってくれた。その後に「痛いの痛いの飛んでけ。」と言っておまじないをしてくれた。先生の笑顔とおまじないで痛いのはすぐ魔法みたいに消えてなくなった。
それから、先生の顔を見るとすぐいたずらをした。髪を引っ張ったり、スカートをめくったり、困らせていた。
そんなある時、先生が幼稚園を辞めると言った。結婚して、お腹に赤ちゃんが出来たと喜んでいた。僕は、先生の顔を見れなかった。この感情が好きだという事は、随分と大人になってから、分かることになったけど。
先生が辞める時も、みんながワイワイと励ましていたけど、僕だけは、俯いてブランコにいた。
先生が、心配そうに僕の所に駆け寄って来てくれて、頭を撫でてくれた。
「先生ね。幸せになるから。」幸せの意味なんてその頃は分からなかった。だけど、涙がどこから出てくるのかと思うくらいに溢れ出てきた。
先生が、ギュッと抱きしめてくれた。
その温もりは今でも思い出すことが出来る。
近所の横断歩道を渡ると、幼稚園がある。
白髪頭で、ポニーティールをしている園長先生がブランコの男の子の頭を撫でていた。
僕は、幼稚園に入り、挨拶をした。
「こんにちは。子供が女の子を泣かせてすみませんでした。」
「子供の成長は早いもんだね。昔を思い出すわね。」私が苦笑いを浮かべていると、息子が後ろに隠れてベーと舌を出していた。
「困った子供で大変ですよ。」
「親に似てるからじゃないかしら。」と言って笑った。昔のように目の横に皺が出来ていた。
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初恋のひととこういう形で巡り会うのって素敵ですね。先生が子どもを産んだあとも保育士を続けていたのがなんだかいいなと思いました!