恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

7.王様ゲーム

2006年06月01日 | せつない恋
 「王様だぁれだー?」3対3のコンパで、王様ゲームをしていた。あまりにも出会いがないと知っているノブが開いてくれた。ノブは、高校の頃の同級生だった。 ジャニーズの様な顔立ちで、目がクリッとして、ノリが良い事もあり、女には結構もてているみたいだった。
 私を誘ってくれたのはいいが、こんな感じの出会い方は嫌いだった。
 「ハ~イ。」手を上げたのは、サトミだった。ノブの友達で、茶髪で、まつ毛が長く、アイシャドウが目立っていた。
 スタイルがいい彼女は、超ミニスカートが似合っていて、見るからにギャルだった。ノリノリで手を挙げていた。
 「それじゃぁ。2番と4番がキスをする。」サトミは、キャハと笑うと、私達を見ていた。
 ノブが、自分の棒を見て「ちぇっ、オレじゃない。」と舌打ちすると、みんな誰が手を挙げるか気になっていた。
 自分の棒をそっと覗いて見ると、なんと4番だった。仕方なく手を挙げた。それと同時に向かいに座っているクルミが手を挙げた。
 ショートカットの黒髪で、おとなしそうな彼女もしぶしぶ手を挙げていた。嫌がっているような感じがした。
 「ハ~イ。王様の言う事は絶対だからね。」サトミが、大きな声で叫んで私達を促していた。
 クルミが私の隣に寄って来て、目を閉じていた。これでは、私にキスをしてくれと言っている様なモノではないか。それでいいのだろうか。
 私が、戸惑っていると、クルミが「ゲームだから。早くしようよ。」と小声で言った。
 キスをすれば、純な気持ちが吹き飛んでしまう様な気がした。サトミが、更に手拍子で盛り上げていた。ノブも早くしちまえよと言った。
 私とクルミは、仕方なく、キスをした。子供同士がする様な短いキスだった。それでも、私の心はバクバクと高鳴っていた。唇と唇を放すと、お互い見つめ合って、照れていた。
 それを見たみんなは、手拍子で盛り上げて、「ヒューヒュー」と叫んでいた。
 私はクルミの事が気になってしょうがなかった。キスをしたし、私は、色んな意味で興奮していた。
 誘ったら、二人っきりでどこか行かないだろうかと変な考えが浮かんできた。
 ウジウジ考えていると、王様ゲームが終わって、帰ろうかという雰囲気になっていた。
 私は、チャンスと思って、クルミに興味を持っていたので、「送って行くよ」と耳元で言ってみた。
 クルミは、「わーうれしい。」と言って、私の腕を掴んで来た。どうやらお互い気になっていたようだ。
 お酒も入っていたので、歩いて家まで送って行くことにした。
 外は少し肌寒かった。私とクルミは、肩を組んで熱々で歩いていた。
 公園の中を通り抜けていると、クルミが急に「疲れた」と言って、ベンチに座り込んだ。
 仕方なく私も隣に座り空を見上げた。星がたくさん出ていた。
 お互い少し黙った後、クルミが「もう一度キスをして」と小声で恥しそうに言った。ベンチの後ろの外灯の光が目についた。その隣のブランコが風に静かに揺れていた。
 私は、リクエストに答えて、キスをした。今度は長いキスだった。
 夜の公園は、どことなくロマンチックな雰囲気だった。

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