一昨日は公開講座「台湾植民地支配と日本国近代化の諸相」に参加した。
主催は神戸女学院大学文学部総合文化学科だ。講師は又吉盛清氏(沖縄大学客員教授)。
又吉先生は、琉球沖縄人の台湾植民地体験を沖縄の近現代史に位置づけ、沖縄人の加害責任を踏まえて自らの歴史認識と責任を明らかにし、これからの台湾・中国・韓国朝鮮・東アジアとの善隣友好の平和的な関わり方を模索して来られた方だ。
ところで日本の最初の対外戦争は、日清戦争だという認識が一般的だが、実はそれより以前に日本軍は台湾に戦争を仕掛けている。1874(明治7)年の台湾出兵だ。これが明治政府の初めての海外派兵で「琉球処分」へと発展していき、さらに日清戦争から台湾植民地化へとつながっていった。
この講座に参加されてたある旅行社の方が言われてたが、今は日本人の海外旅行は中国や韓国は人気がなくて、台湾への観光客が増えているそうだ。さまざなま事情を思うに、その背景がかなり意図的に作られているような気もするが、そうなっている現実も理解はできる。
台湾への観光、いいじゃないかと思う。台湾は親日的、日本語を知ってる人がいる…などあるのだろうが、じゃあなぜそうなのか、またはそう感じられるのか、その背景を知っておいたほうがより友好は深まるんじゃないだろうか。
しかし、誰がなんと言おうと、台湾が日本の植民地だったこと厳然たる歴史の事実で、観光に行くにしてもそのことは少しでも頭の中に入れておいたほうがいいと思う。足を踏んだ方は忘れてしまうが、踏まれた方は決して忘れることはない。
また最近は出版物でも、「台湾の近代化に日本は功績を残した」「台湾と日本の架け橋となった人たち」等々をテーマにしたものが多く見られるようになった。どこまで日本人礼賛、自画自賛をすればいいのかとも思うが、中国や韓国と関係がまずくなっているので台湾とだけは仲良くしていたいという気持ちの表れなのだろうか。それこそ、外交努力をしていくのが政府の役割なのに。
本当のことは何なのか、いつのまにか日本人だけが国際社会から取り残されることのないように、歴史をしっかりと継承していかなくてはと思った。