ご自身が取材に協力した大阪社保協のT内事務局長の熱心な薦めもあり、NHKのクローズアップ現代「病院に行けない子どもたち」をみました。なかなかいい番組でした。(以下、要旨)
中学生以下の子どもの無保険状態は昨年秋の法改正でこの4月から無くなりますが、それでも3割負担は変わらないし、高校生以上の子どもたちの問題は残っています。
お金がないので医者にかかれず、学校の保健室で診てもらう子どもが増えているそうです。休日に怪我をしても翌日に保健室に駆け込む子がいます。養護の先生が親に連絡しようとするとそれを拒否する子どもたち。親に連絡しても病院に連れて行ってもらえない子どもたちです。
ゲストの芝田英昭さん(立命館大学教授)が説明されました。
「このような病院に行けない子どもたちは非正規雇用の多い製造業の盛んな地域で特に増えています。非正規なので国民健康保険に加入しますが、その保険料が非常に高い。大阪の寝屋川市などでは200万の収入に対して50万以上の保険料を払わされ、残った使えるお金は100万ぐらいです。これでどうやって生活せよと言うのでしょうか」
ではどうすればいいのか。番組はその打開策を打ち出している例として子どもの医療費無料化を進めている全国の自治体を挙げながらここでは群馬県を紹介しました。なんと群馬県では前橋市をはじめとして全県挙げて子ども医療費(中学生まで)の無料化を進めているのです。群馬県はエライ!!今はまだ凸凹がありますが「住む場所によって子どもに格差があってはならない」と語る県保険課長。すべての県下の自治体を巻き込んでいます。でも無料化すれば安易に医療にかかる子どもが増えて、逆に医療費が増えるのではないかという声も出ています。また財政収入の落ち込みもあり、維持するのは大変そうです。
これに対して芝田教授は、
「医療費の無料化をした沢内村では医療費財政が黒字になりました。早期発見で医療にかかる費用が減ってきたのです」
と話します。
これからどうしていけばいいのか。司会者の問いに教授は答えました。
「子どもの無保険克服は家庭の事情に関係なく子ども個人に対する政策で、これからはこのように子ども1人ひとりに目を向けた政策に転換していくことが必要です。親の経済状況は子どもに責任はありません。それによって子どもたちに格差が生まれることはあってはならない。子どもは国の宝という視点をもち、すべての子どもたちを対象にした政策へ大きく転換する時が来ています」
そうなんですね。子どものことを考えずして国の将来はありますか?何よりもこと、子どものことに対しては最優先で解決、保障していくというように政治の転換が求められているのです。
時々思うのですが、どうもこの国って子どもを大切に育てようっていう雰囲気が希薄な国のように思えてなりません。やはりその元凶は政治でしょう。そこの姿勢がすべてに影響しているように思われて仕方がありませんね。