日本の社会保障の脆弱さが連日のように明らかになっていて、いったいこの国はどうなるんだろうかと、不安だらけの毎日です。ご存じのようにフランスは基本的に教育費無料、医療費無料など他にも様々な社会保障制度が充実している国ですが、このことはまだまだ日本では関心を持っている人以外にはあまり知られていないように思えます。この本がきっかけで多くの人にこういうシステムの国があるんだということを知ってもらえればいいと考えています。
ただこの本は決してフランスが日本の将来の見本だということを言っているわけではありません。フランス社会にも様々な問題もあります。あくまでもその国の将来はその国の人たち自身が決めることですから。なにかしら、日本の社会保障のこれからを考えるヒントにでもなればという思いです。
日本の現状について、このままではいけない、何とかしないといけない。そう考えている人たちに意識変革を求めるパンチの効いた内容です。お薦めの1冊になります。
県立広島大学教授の都留民子先生へのインタビューをもとにまとめました。昨年、大阪社保協学校で講演されたことがきっかけで生まれました。スッキリ、キッパリ、わかりやすくて明快なお話がとても印象的です。
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『失業しても幸せでいられる国』
フランスが教えてくれること
都留民子(つるたみこ)著
四六判 116ページ 定価1300円(税込)
ISBN9784889008685
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●目次と都留先生へのインタビュー項目から
① なぜ日本で貧困と格差が広がるのか?
② フランスの働き方
*週35時間労働は本当ですか?
*24時間営業のコンビニはないですか?
*7月、8月、9月は本当に店は開いていないのですか?
*バカンスはどう過ごしているのですか?
*仕事に対する考え方はどうなのですか?
*オンとオフがきちっと分けられているんですね。
*日本の社会は敵ばっかり作ってますね。
●フランス人の権利① 「労働の権利」
③ フランス人のたたかい方
*フランス人はものすごくたたかいますね。何百万人というデモを組織したり、学生や失業者も中小企業の人たちもたたかいますが、そのようなたたかいの歴史があるんですか?
*フランスのたたかいでは「占拠」することが結構よくあるみたいですね。
*フランス人はスローガン作るのがとても上手ですよね。
*フランス人は組織を作るのがうまいのですか?
*日本の社会保障運動は発想を変えないといけないのではないかと思いますが、そういうストライキやデモは組織が組み立てていくんですか?
④ フランスの労働組合と労働者の権利
*フランスの労働組合はどんなたたかい方をするんですか?
*フランスの最賃は2010年1月現在、時間給8・86ユーロ(1100円強)、月額 (35時間制)1343・8ユーロ(約16万8000円)くらいですか?
*フランスの労働者の権利はどうなっているのですか?
●フランス人の権利② 「失業の権利」
*移民青年に高い失業率
*日本の労働組合はストライキをまったくしませんね。
*フランスの労働組合の組織率は低いんですよね。
⑤ フランスの豊かさ
*フランスは今は福祉国家じゃないという批判がありますが、悪くなっても現在の水準ですね。今のお話を聞いていても、日本とは全くちがう豊かさがある国だと思えるのですが。
⑥ フランス人にとっての国・政府
*フランス人の国に対する考え方は?
*フランスと日本の政治の違いは?
*フランスは徹底的に議論する国なんですね。
*サルコジって国民に人気あるんですか?
*フランス人はいまの政治をどう思っているのですか?
*日本人とフランス人は何が一番違うのでしょうか。日本人はあきらめるのが早いといわれますが。
*フランスは大人文化なんですね。
*自己主張の国、フランスなんですね。
*選挙権は18歳からですか?
⑦ フランスの少子化対策
*フランスの少子化克服が注目されています。なぜ出生率があがったのですか?
●フランスの子育て事情
⑧ フランスの貧困対策
*フランスの貧困対策について教えてください。
●札幌母子家庭餓死事件とは
*フランスにもホームレスの方、かなりおられるんですか?
*フランスには失業者組織がありますが、日本にはありませんね。
*失業者が仕事を求めて運動をすれば、1つの仕事をめぐってみんながよってたかって競争しないといけないですね。
*フランス政府はいろんな制度を広報するんですね。
*フランスの貧困に対する考え方は日本と違うような気がしますが。
⑨ フランスの失業者の暮らし
*日本なら、両親が離婚して、おまけにお父さん鬱で、お母さん病気で、子どもたち里親にだされてっていったら、一家離散で子どもたちの人生はどうなるだろうというような悲惨なケースですよね。
*そういう状態でもみんな幸せに暮らせるのがフランスなのですね。
*フランスは失業しても不幸にならない国なのですね。
*フランス人にとって定年・リタイヤは?
*日本では70歳過ぎても80歳過ぎても働いている人がいますよね。老後のためにって爪に火を灯して貯金している。おばあちゃんの老後はいったいいつからなのって。日本は本当に悲しい老後です。
⑩ フランスと日本の生活保護制度の違い
*日本の高齢者には自分のお葬式代くらい持ってないとっていう思いがありますよね。
*本当に日本には生活保護しか全額公費の社会保障制度はありませんからね。
⑪ フランスの社会政策の財源
*フランスの施策の財源は所得税の累進課税ですか?
*そうなんですか。最高税率ってどのくらいなんですか?
*うんと取るべきですよね。儲けている人たちから。
●累進課税とは
*民主党政権は子ども手当のために扶養控除をなくすっていっていますが、これはどう思いますか。
●多重債務解決を国の責任で実施
●住宅への権利を実現するための法律(ベソン法)
⑫ 日本の財源論、借金論のごまかし
*日本の社会保障論議には、じゃあ財源はどうするのって話が必ず出てきますが。
*フランスはすごい工業国ですよね。
*フランスの産業形態は日本に似ていますよね。工業国で輸出産業が多い、自動車産業、電機産業、金融、サービス産業など、大変な経済大国ですね。そして人口も多い。
*日本人が馬鹿にされていいとは思わないですけど。でも日本の政治家を見ていると馬鹿にされても仕方ないですよね。
⑬ 日本を変えるために私たちに必要なこと
*日本では仕事を選ぶとわがままだといいますよね。仕事は選ばなければいくらでもあるだろうって。
*厚生生労働省はいま、介護の分野は人が足りないんだから、失業した人たちをそこへ持っていけばいいと安易にいってますが。
*介護の専門職めざして大学・短大・専門学校を出たら年間100万円、最低でも2~400万円はかかります。それで働きだしたらラーメン屋のバイトと変わらない給料なんて、そりゃあまりにも未来が無さ過ぎますよね。
*日本の労働者は給料少ないのも失業してもみんな自分が悪いと思っていますよね。
*1人前の給料ももらえないような資格や職業訓練なんて理不尽です。
*そうですよね。最賃をなんとかしないと、労働者みんなにかかってきますものね。
*わたしたちは労働のことを今一度考え直さないといけませんね。
●都留先生が薦める本
みなさんへのメッセージ