昨夜は「藤沢周平を肴に酒を呑む会・最終夜」(吹田革新懇主催)に参加。この会に参加したのは先月が初めてだった。
映画作品は観たことはあるけど、作品自体は読んだことがなかったので参加してもいいのかなと思っていたが、そんな不安は全く必要なくいろんな方がいて、参加者それぞれが酒を呑みながら藤沢作品への思いを熱く、そしてディープに語り合うというなかなか濃厚でおもしろい集まりだった。
昨夜のテーマは「私にとっての藤沢周平作品」。何かを読んで参加したほうがいいかと思い、とりあえず書名だけは知っっていた「隠し剣シリーズ」の1冊を読んだ。短編集なのだが、これがとてもおもしろく、一つの作品を読むと次はどんな作品なのか、という感じで瞬く間に藤沢文学の魅力にハマってしまった。
この「隠し剣」は陰謀、策略、殺戮、そして愛欲が絡んだ作品だが、多くの主人公が家督を継げない次男、三男という立場にある不遇な剣士たちで、これにまたついつい自分を重ねて読んでしまうのだ。「隠し剣」が登場する部分は僕のような素人でもその場面が思い描けるような詳しい描写がされていて、とにかく描写が実に詳しい。そして各作品に登場する感情を抑えた妻女たちの表現がなかなかいい。
昨夜の「会」は、朗読サークルの方による「冬の日」の朗読から始まり、参加者全員が何らかの思いを発言、それに対してこの「会」を提案された二宮厚美先生がコメントをしたり、また先生からの問題提起や解説、それはもちろん藤沢作品に限定されず、政治や経済のことも含めてだが、お酒が入っているのでそれこそ縱橫に語ってもらいながら賑やかに進んでいった。
また終わり近くには藤沢周平の故郷、鶴岡市へのツアーなどの企画提案もあった。それはぜひとも実現してほしいと思う。
藤沢周平はおもしろい!これからどんどんハマっていきそうな感じだ。
藤沢作品がなぜこれほど愛されているのか。まだたった1冊しか読んでいないけど、人間の普遍的価値を問い続けることを根底に据えたところに一つの魅力を感じている。その魅力に今、あらためて私たちは、こういう日本社会だからこそ、触れる必要があるのではないかと、強く思った。
来年は藤沢周平が亡くなって20周年。なにか出せないかと考えている。