まいど、日本機関紙出版です。

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次の新刊は『内閣官房長官の裏金~機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』(上脇博之/著)

2018年06月28日 | 新刊案内

次の新刊は、上脇博之(かみわきひろし)さんたちが内閣官房機密費の闇を暴いた闘いのドキュメントです。

2006年10月に行った初めての情報公開請求から11年5カ月(4183日)経った今年3月19日、ついに内閣官房機密費の使途文書の一部が開示されました。

これを受けて、原告団・弁護団は、安倍内閣の菅義偉官房長官に、機密費の抜本的見直しの要求書を提出しています。

この本には、毎年12億円の領収書不要の闇ガネが、いつ誰に何の目的で支払われたかを具体的に示す開示された文書の一部も掲載しています。

それにしても格差と貧困がますます広がる21世紀の日本社会ですが、その裏で実は未だにお金で政治を買うようなことが行われているという現実に、なんだか目がくらくらしてきます。

この本の中で実は何人もの官房長官経験者が語っているように、もういい加減にこんなシステムは廃止すべきです。

そうなるためにも、主権者・国民の目がこれからこういうことにも厳しく向けられ続けることが大事であり、この本がそのきっかけになればと願っています。

原資が税金なのに使途が一切明らかにされなかった「官房機密費」の闇がついに明かされた!対外裏工作、国会対策、選挙対策、首相や議員の外遊、政治評論家、日銀総裁への付届け、そしてマスコミ対策など、領収書不要の裏金約12億円(年間)に国民の監視の目を向けることが必要だ!

 

第1章 情報公開・提訴の動機と判明したこと

第2章 内閣官房報償費の過去の使徒実態

第3章 訴訟における国の主張と私の反論・意見

第4章 画期的な大阪地裁判決と最高裁判決

第5章 「政策推進費受払簿」等の開示を受け

◎判型:A5判/140ページ
◎本体:1200円(送料:実費)
◎全国の書店、Amazonなどで取扱
◎7月6日出来予定

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土佐いく子の教育つれづれ~またあしたね〈60〉

2018年06月28日 | 土佐いく子の教育つれづれ

ゆきちゃんの368歩 人間は発達する

◎手編みの絨
 雪が朝から舞っていた寒い日、大きな紙包みが届きました。急いで開けてみると、なんと随分以前の教え子、ゆきちゃんの手編みの絨毯です。リボンのような布で編んだ手作りの絨毯です。縦160㎝、横90㎝の大きなもので、何ヵ月もかけて作ってくれたと言うではありませんか。
 思わず胸に抱えたら涙がぽろぽろ出てきて、あの頃のことが次から次へ思い出され懐かしさで心がいっぱいになりました。
 ゆきちゃんを担任したのは、一~二年生の時でした。大頭症のゆきちゃんが入学してくるので、春休みから対策会議を開いて対応をいろいろ検討していました。私が担任することになり、本来なら担任発表されてないのに家庭訪問することは禁じられていましたが、おおらかな学校の対応で、私はゆきちゃんに会いに行ったのです。
 初めて出会った時のゆきちゃんは歩行ができず、頭にはヘッドカバーをつけていましたが、「ハァハァ」と声を出し笑ってくれました。左のこめかみの所が何かで穴を開けたように窪んでいて、聞くと、泣いてばかりいたので、涙が溜まって皮膚が変質してしまったと言うのです。今思い出しても胸がしめつけられる思いですが、私はあの時、この子に少しでも笑顔を作ってやれる取り組みをしようと強く心に刻んで帰ったことを昨日のように覚えています。

◎手をつなぎ合う関係
 入学式の日、お母さんがクラスの親子の前で、わが子の障害のことをきちんと話してくださったあの姿も忘れられません。歩けないゆきちゃんなので援助はもちろん必要ですが、過保護にはしないで、やれることはやらせたいというお母さんの考えを一年生の子らは受け止めていくのです。給食中におはしを下に落とした時、思わず拾ってあげようとした子に「それ、ゆきちゃん自分でできるで」ときっぱり言えた一年生でした。
 給食当番も掃除当番も何がゆきちゃんにできるかをみんながいろいろ考えを出し合い、最後にはゆきちゃんが決めるのです。そうです。「手をつないでもらっている関係」ではなく、「手をつなぎ合ってお互いに成長する関係」を作っていくのです。
 ゆきちゃんは友達との関係が広がっていくにつれ、言葉も獲得していきました。「こーえん、こーえん」と言うと「ゆきちゃん公園行きたいんか」と聞くと、手足をバタバタさせてキャッキャと喜ぶのです。自分の要求を声に出して言えて、それを受け止めてくれる友達がいることは、こんなにも嬉しいことなのかと改めて思ったことでした。
 少しずつゆきちゃんは机につかまり立ちができるようになり、歩行は困難と言われていたのですが、両手を離して立てるような気がしていました。しきりに「こーえんこーえん」と言い、公園にみんなと自分の足で行けたらどんなに嬉しいかと妄想のように頭で描いていた私でした。
 この日から半年くらい経った頃でしょうか、ゆきちゃんは一人で立ち始め、両手を持ってやると足を一歩前に出すようになったのです。
 私は、全く母親の感覚で息子たちが歩き始めた時と同じことを日々やっていたのですが、自分の足で大地を踏みしめて歩き出すなどやはり奇跡でした。

◎応援の輪のなかで
 入学してきてから1年半近く経ったある日、その日は体育の授業でした。みんなが準備体操をしている間に、私はゆきちゃんと歩行訓練です。あれ?!今日は身体が安定しているぞ。2歩、3歩…10歩…20歩、うん今日はもっと歩けそうだ。30歩、すごい、まだいける。「みんな応援に来て」。集まって来た子らの声が56、57、58と唱和する声になり、あちこちの教室にまで聞こえたようで、窓から応援の声がふってきます。102、103、104…まだ歩ける…365、366、367、368。ここでゆきちゃんは獣のような「ウォー」という声を上げて運動場に座り込んだのです。
 周りには、子どもたちと先生方の大きな輪ができていました。「なあ校長先生、月曜日の朝会で、みんなにゆきちゃんいっぱい歩けた、一人で歩けたって言うてね」と声を弾ませていた子らです。私は職員室へ走って行って、お母さんに電話をかけ、二人で嬉し泣きしました。
 そのゆきちゃんは、なんと自分の足で歩いて高校に通い、今お母さんとブティックを経営していると言うのです。
(とさ・いくこ和歌山大学講師)

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