MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.065 「レスラー」 (2008年 109分 シネスコ)

2009-06-24 00:42:17 | 2009年劇場鑑賞
監督 ダーレン・アロノフスキー
出演 ミッキー・ローク
   マリサ・トメイ
   エヴァン・レイチェル・ウッド



三沢が死んだ・・・そんなニュースを見たときは衝撃的でした。
知ってる人には絶句ものの衝撃だし、知らない人には「誰それ・・・?」
そんな両極端な世界がプロレスという物の魅力的なところか・・・
そんなプロレスを題材にした映画が世界で脚光を浴びて、各賞を総なめにした作品がついに日本でも公開されました。
何と言っても復活したミッキー・ロークに注目です。
あの「ナインハーフ」や「エンゼルハート」の時のような色男ぶりはどこへやら・・・そしてこの映画で見事に復活らしいですが・・・

(あらすじ)

かつては人気を極めたものの今では落ち目のレスラー、ランディ(ミッキー・ローク)。
ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作を起こし、レスラー生命を絶たれてしまう。
家族とはうまくいかずストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)にも振られ、孤独に打ちひしがれる中で、ランディは再びリングに上がる決意をする・・・



この映画ランディの背中を手持ちカメラで追い掛ける・・・まるでドキュメント的な手法での演出があるが彼の生活を我々観客が追ってるかのようで、人間ランディを短かに感じる事が出来て感情移入しやすくなっている。
リングに向かう時も、試合が終わり家に帰るときも恒に我々は彼の後ろを付いて回り、彼が感じることを共有するかのようです。

特に試合を引退した後、バイト先のスーパーで総菜コーナーに初めて配属されるときの場面で、スーパーの制服に着替えたロッカーから売り場までの道のりをプロレスの入場シーンのように捉えた場面が印象的でした。
アリーナの大歓声がかすかに聞こえるが、それがやがてスーパーの売り場の雑踏に変わっていく・・・引退したレスラー、ランディに取って新たな戦場=総菜売り場に挑戦する雰囲気がプロレス風に描かれる半面、プロレスラーがリング意外の仕事につく一種の寂しさも合わせて感じました・・・ランディの背中越しに・・・



かつてプロレス界で栄光を極め(多分日本マット界にも出てたんやろな)名声を欲しいままにしていた彼が、やがて落ち目になり私生活も荒んでしまい、歳老いた今でも場末のリングに上がっている・・・まさに自らの人生を地で行くような役柄をミッキーロークが一世一代(?)の名演で見せてくれます。
まさにこの役は彼以外では務まらないのでは?と思ってしまいますね~
これが違う俳優ならあの落ちぶれ感はなかなか出ないかもね。

娘には愛想つかれ、心の寄り所だったストリッパーにもつれなくされる・・・また心臓が悪く試合も出来なくなり仕方なくスーパーの惣菜売り場で働くが、かつてリングで栄光を掴んだ彼が到底我慢出来る訳も無く、結局またリングに戻ることになってしまう・・・実際こう言うケースで復帰するレスラーも少なくないようです。
大仁田もテリーも・・・みんな過去のあのスポットライトが忘れることが出来ず、リングに帰ったように。



この映画は戦わなければならない男の宿命のドラマ・・・でもそれはスポ根ものでよくあるようなモノでなく、人間的な・・・そう結局はこの仕事しかできないんだよな~と言った第2の人生なんて歩めるような器用な事が出来ない不器用な中高年の物語として見てしまうと切ないね。
でも彼は一時代を築いた一流のプロレスラー・・・例えロートルと言われても、心臓に爆弾を抱えても、リングに上がればランディ・ザ・ラムを全力で演じるのです。
特に得意の必殺技にこだわる姿は男泣きモノ・・・

案外少ないプロレス映画だけど、この作品のプロレスシーンはよく出来てると思いますね。
特にリング外からの目線だけでなくリング内の至近距離での目線で見せてくれるので迫力もあるし、特に有刺鉄線やガラス、などが飛び交うハードコアマッチの場面は痛みが伝わってきて、いかに彼が肉体を酷使しているかよくわかります。

また試合前のドレッシングルームで選手どうし談笑したり対戦相手と試合の打ち合わせをすると言うプロレスの内幕も普通に見せてくれますが、プロレスドキュメント映画「ビヨンドザマット」で裏舞台を描かれて以来もはや当たり前の事になってるのでとくに驚きはしないね。
しかし流血の仕込みはカミソリの刃を細かくハサミで切りバンテージに仕込み 観客の目を盗んでそのカッターで額を切り流血を演出する場面はかつてブッチャーやシークもあんな風にカッターを忍ばせてたのか~と改めて感心・・・
しかしそんな演出されたプロレスも自らの肉体を傷つけるのは特殊メイクでもなんでもなく 本当の血でありレスラー本人の肉体が傷ついてるんです。
だから三沢選手のような悲劇も起こりうるんですね。



もちろん命を落とさなくても、身体に相当なダメージを追ってたりもする訳で、この映画の中でも引退したレスラーのサイン会などで車椅子姿のレスラーや、義足をつけたり、尿を入れた袋を足元にぶらつかせてたりしてる選手が居る。
そんな元レスラーたちがまばらばに集まったファンたちにサインしたり、本などのささやかなグッズ売ったりしてる場面は寂しさを覚えてしまうね。

一人のレスラーの物語と同時にプロレス界の現実も見せてくれて、ブルース・スプリングスティーンの主題歌ともども心に染みる映画でした。



★★★★★ 2009.6.21(日) シネマート心斎橋 スクリーン1 14:25