
少し前の日経新聞の書評で、葉室の最近の2巻を高く評価していた。ブックオフで購入しようと確認したら、新刊だけで中古の販売は無かった。
仕方なくではないが、何冊か時代小説の文庫本を購入した。平均単価、220円。
この物語も少年からの成長と藩内の抗争の物語だ。淡々と書き進めるのが、葉室の筆だ。
蜩に比べるとテンポが早く、機微を味わう部分が余りなく、話がどんどん進む。
最後に、蝉時雨のなか、静かに女子が貴方の人生見せてもらって良かった、と思いを述べる。藤沢周平の蝉時雨と同じような時間が流れる〰。この控えめが、時代小説のいいとこだ。
シブミのように性技を尽くして交える男女の絆とは、別世界。
60歳を過ぎるとこの静謐がいいんですな。