2025年2月8日(土)、日本メディア英語学会第166回新語・語法研究分科会が開催されました。
当初は、東京都文京区シビックセンター5階会議室Dで行われたこの会に対面参加をする予定でしたが、大雪による移動困難を考え、オンライン参加に変更しました。
研究分科会 - 一般社団法人 日本メディア英語学会
まず、新語フォーラムでは、今回は以下の語を紹介しました。
Kids Online Safety Act /KOSA (子どもオンライン安全法案)
Congress should immediately pass the Kids Online Safety Act, or KOSA, which passed the Senate 91-3 but has stalled in the House. KOSA would prevent social media platforms from advertising harmful products, including gambling, to children, restrict use of personalized algorithmic recommendation to kids and hold online game makers responsible for their products under a “duty of care.”
(Editorial, “For a new generation of kids, sports and gambling now go hand in glove” The Japan News, (Picks from the Post) December 19, 2024)
その後、シンポジウム「Word of the Year - ユーキャン新語大賞、Oxford/ADSなど新語について」が三田弘美会員の司会で行われ、
小池 温会員、田中満佐人会員とともにパネリストを務めました。
まずは、「ユーキャン新語大賞」に選ばれた新語を毎年英語に訳されていた故 石山宏一先生(日本メディア英語学会名誉会員)についての思い出を語りました。
僕が語ったのは、以前、以下の記事にも書いた新語 "halfalogue"を通じた石山先生との研究上の交流です。
新語・語法フォーラムで司会を務める - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)
石山先生は、ご著書『「歩きスマホ」を英語で言うと? 時事語・新語で読み解く日本の現在(いま)』(小学館, 2014)でもこのhalfalogueについて取り上げられています(p.131)。
また、2024年の「ユーキャン新語大賞」に大谷翔平選手の"50-50"が選ばれていたので、その語に関連し、数字の組み合わせの語について以下のように紹介しました。
〇50-50のように数字に関する表現について
50-50: 年間本塁打50本(以上)、50盗塁(以上) cf. 元来はfifty-fiftyで「五分五分の」
60-60, 70-70… 先日、アメリカ人の友人と大谷選手の来シーズンについて話す中では、"60-60" "70-70"などの語も登場しました。
30-40 etc…: テニスのスコアの表わし方
1963 etc…: "nineteen sixty three"などの西暦年の読み方 cf. 1963年は日本時事英語学会設立年
$1.50 etc…: "one fifty"などの金額の読み方
two-four (time): 4分の2拍子, three-four (time): 4分の3拍子 etc…
the 8-8-8 rule, the 8/8/8 rule: 1日24時間のうち8時間を仕事に、8時間を余暇などに、8時間を睡眠に当てることを推奨する考え
24/7: いつも(一日24時間・1週間7日)
nine-one-one, 911: (米)緊急電話番号、nine-nine-nine, 999: (英)緊急電話番号
911: 2001年9月11日の米国同時多発テロ
7-Eleven: セブンイレブン(←朝7時から夜11時までオープン)
8020運動:80歳になっても自分の歯を20本残そうという運動
8050問題:80歳代の親が50歳代の(引きこもり・無職などの)子どもを支える現象
二八蕎麦:そば粉8割小麦粉2割のそば
四六時中:いつも(4×6=24時間) 英語の24/7に似ている
エイト・フォー(8×4, 花王)(商標)制汗スプレー剤
1940年代、バイヤスドルフの研究者たちが発見した有効成分(正式科学名称:Hexachlordihydroxydiphenylmethan(ドイツ語)が32文字から成ることから、B32というプロジェクト名を付けましたが、当時バイヤスドルフのアドバタイジング・マネージャーのユアン・グレゴリオ・クローゼンが「32を構成するもの」のアイデアから最終的に広告上、便利で且つアピール度の高い「8 mal 4(8かける4)」、後に「8x4 エイトフォー」としてブランドネームを考案し、確立されました。(花王のウェブサイトより)
活発な意見のやり取りもあり、有意義な学会参加でした。
新語・語法研究分科会の前回の記事は以下をご覧ください。
日本メディア英語学会 第162回新語・語法研究会の新語フォーラム参加(2023年10月14日) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)