近年、趣味として直木賞と芥川賞の候補作が発表されると受賞作の予測を行ってきましたが、今回は時間的制約から直木賞に絞って予測を行うこととします。以下のコメントはあくまでも個人の感想です。
朝倉かすみ『よむよむかたる』(文藝春秋)
作品中に用いられる比喩がうまいので、比喩表現に関心がある作者と見受けられました。
受賞にはやや弱いかと思いました。登場人物の把握が難しかったです。
伊与原 新『藍を継ぐ海』(新潮社)
5つの作品を収めた短編集です。それぞれの作品の舞台になっている土地のことをよく調べ作品に取り入れていることがわかりました。また描
写も上手いと感じました。受賞はありうると思いました。
荻堂 顕『飽くなき地景』(KADOKAWA)
東京の歴史を踏まえた物語です。描写がうまい文章、しっかりした小説であると思いました。
実在の人物(作家を含む)も出てきてフィクション中のノンフィクションが面白かったです。
直木賞の有力候補と思いました。
木下昌輝『秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚」(徳間書店)
五章「蠅取り」では、箸で蠅を取る芸が出てきて、有名な宮本武蔵のエピソードを思い出しました。また一章「末期養子」では「阿波の藍か、
藍の阿波か」という言葉があります、などと歴史的描写はうまいと思いましたが、個人的問題ではあると思いますが、物語に入っていけない感
じがしました。
月村了衛『虚の伽藍』(新潮社)
候補作『飽くなき地景』が東京の歴史を踏まえた作品であるのに対し、こちらの作品は京都の仏教界(架空のものですが)を舞台にした作品で、
読んでいて面白かったです。架空の仏教宗派名、寺院名が用いられてはいますが、実在の世界にもこのような人間ドラマがあるだろうと思わせ
る描写力でした。
受賞の有力候補と思いました。
ということで、今回の僕の受賞作予測は、日本史の中で日本の重要な両都、京都と東京の歴史を踏まえた二作品、つまり、月村了衛『虚の伽藍』(新潮社)と荻堂 顕『飽くなき地景』(KADOKAWA)を挙げさせていただきたいと思います。
伊与原 新『藍を継ぐ海』(新潮社)も受賞可能性はあるかもしれませんが、次点とさせていただきます。
受賞作を2作にしているのは、最近の傾向を踏まえています。受賞作は(候補作も)、それだけ本の売り上げが増えるので、本の売り上げを伸ばすことを考える文学界の思惑が反映しているものと思っています。
受賞作の発表は2025年1月15日です。どうぞお楽しみに!
僕のこれまでの直木賞(および芥川賞)受賞予測についてはこちらをどうぞ。
第171回直木賞受賞作予測的中 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)