◆ 水晶が昇仙峡の景観を作った? ◆
こんにちは、市民レポーターの内藤です。
「秩父・多摩・甲斐国立公園」に指定されている甲府市御岳昇仙峡地域。
この昇仙峡は・・・
「日本観光地百撰・渓谷の部 第1位」
「平成百景 全国第2位」
に選定された自然景観と史跡に恵まれた甲州・甲府市の誇るべき地域です。
山梨は日本全国1位の宝飾産業県で、宝飾品のメッカでもあります。
かつて、甲府の北部や昇仙峡では水晶を採ることができました。
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この水晶の結晶する過程が、実は昇仙峡地域の素晴らしい景観に
大きな影響を与えていることをご存じですか?
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県北端の金峰山から甲府市北端の千代田湖・湯村地域にかけて、
白岩(花崗岩)・白砂(白岩が風化した砂利層で鉱物・石英)の目立つ景観地が見られます。
これらの石英成分が地球深部で結晶したものが水晶です
御岳昇仙峡を構成しているのも花崗岩です。
花崗岩とは、地下深部の石英成分に富むマグマが上昇し徐冷しながら結晶したものです。
この花崗岩体マグマが冷却して固化する際に隙間ができます。
この隙間に結晶化の遅い石英成分が結晶し、水晶が晶出します
結晶の際には、節理と言う『ひび割れ』が形成されます。
節理には、縦方向に割れる柱状節理と横方向に割れる板状(放状)節理があります。
この節理が風化侵食されて特別な景観を形成します
このような節理などの自然現象が、
昇仙峡・荒川沿道の大砲岩・豆腐岩・らくだ石・登竜岩・覚円峰・・・
といった素晴らしい景観の生成に大きな影響を与えたのです
甲府市北部の黒平・乙女鉱山地域は、かつて学問的に有名な「日本式双晶水晶」が産出し、
アメリカ・ロサンゼルス自然史博物館にも「山梨県産双晶水晶」が展示されています
また、荒川ダム建設の際に多数採掘された貴石
「イエロー ジャスパ-(黄色碧玉)」も話題となり大きく報道されました。
現在では、水晶自体は採れなくなりましたが、受け継がれる技術には一層の磨きがかかり、
甲府の宝飾技術は国内だけでなく、国際的にも高く評価されています
日本的景勝地・御岳昇仙峡の素晴らしい景観も、
はるか昔には遠くから眺めることしかできませんでした
そこで、天保6年から天保14年(1843)にかけての8年間にわたり
長田円右衛門が猪狩村の村民を指導し、御岳新道を開発しました
この甲府盆地中心街から景勝地の御岳昇仙峡への観光道路開発に努力した
歴史遺産は石碑とともに観光道路中腹に残されています。
そして、今では国立公園に指定されたため、道路が整備され、
黒平あたりまでは簡単に行けるようになりました
甲府の駅前から30分から1時間ほどで訪れられる昇仙峡。
ちょうど紅葉の時期を迎えるこれからの時季、
昇仙峡を初めとする甲府市の誇る名勝地へ足を運んでみてください
その際に、今回ブログでお伝えした昇仙峡の景観や観光道路の成り立ちを
思い出していただけたら幸いです