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かずさんの街散歩 番外編2

2021-01-27 10:47:09 | 紹介

市立甲府病院 管理栄養士さんのお仕事紹介(『広報こうふ』2月号こぼれ話)


 
こんにちは市民レポーター「かずさん」こと武田和巳(67才)です。

今回の街散歩は、『広報こうふ』2月号「とびだせ!市民レポーター!」で紹介した“食事”で治療効果を高める 病院管理栄養士の栄養食事指導のこぼれ話です。

『広報こうふ』2月号

 

市立甲府病院2階にある「栄養食事指導室」にお邪魔しました。

お話を伺ったのは、管理栄養士の小澤さんです。

小澤さんが在籍するのは、市立甲府病院の栄養管理室。

小澤さん含め、栄養管理士さん(国家資格)が6名います。

(なかには、「糖尿病療養指導士」、「病態栄養専門管理栄養士」、「がん病態栄養専門管理栄養士」の資格を併せて持っている方もいるそうです)

 

栄養管理室の業務は、主に<給食業務>と<栄養管理業務>。

<給食業務>は、“おいしい病院給食”をコンセプトに、入院患者さんの治療内容に準じた食事の提供を行っています。

<栄養管理業務>は、「入院患者の栄養管理」と、治療の一環として行う「栄養食事指導」だそうです。

 

市立甲府病院 栄養管理室の詳細はコチラ↓

https://www.city-kofu-hp.jp/section/nutrition-management/index.html

 

**** 栄養食事指導について ****

今回の取材では、生活習慣病の治療の一環として行われる「栄養食事指導」について詳しくお話を伺いました。

 

■栄養食事指導が必要な病気

糖尿病、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症、高血圧症、心臓病、腎臓病、肝臓病、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、消化管術後、クローン病、潰瘍性大腸炎、鉄欠乏性貧血、膵臓病、脂質異常症、痛風、がん、低栄養、摂食嚥下機能低下

など。

■指導を受けている人数

現在市立甲府病院では、入院・外来合わせて約300人の患者さんが指導を受けているそうです。

平成31年度で見ると、1年間で指導を受けたのは619人。うち、生活習慣病で指導を受けた人は、糖尿病関連で356人、高血圧症関連で117人、脂質異常病で19人とのこと。

■どういう人が受けられる?

病院の栄養指導は、治療の一環であるため、主治医の指示に基づいて行われます。

市立甲府病院を受診している患者さんで、

・糖尿病、高血圧症、肥満症、脂質異常症など生活習慣病があり、食事療法がわからない

・食生活や栄養に関して、不安や質問、興味がある

という方は、まず主治医に相談してみてください。

■栄養食事指導を受けて改善された方の事例

・糖尿病:HbA1c10~16%の方がHbA1c5.5~8%へ改善

・高血圧症:来院時の収縮期血圧160~180の方が110~140台に改善

・肥満:体重110kgの方が70kg前後へ改善

※すべて徐々に改善された事例(早くて半年~1年)です。無理なダイエット法や、短期間(数カ月)で急激に改善されたものではありません。

 

**** 栄養食事指導の進め方 ****

<初回>

① 普段どのような食生活をしているか聞き取りを行い、問題点を抽出する。

② 患者さん本人が問題としている部分と、管理栄養士の認識を統一する。

③ 正しい食事療法の基本と、「長期目標」を伝える。

④ すぐに改善できそうなことがあれば、一緒に考える(短期目標)。

 

<2回目以降>

① 血液検査の結果や血圧、体重の数値と、食事記録表や体重記録表、食事の写真、前日の食事の様子などを見ながら評価する。

② 問題点を抽出し、食事計画書の作成や、調理の工夫、中食・外食での選択方法、改善

点などを伝え、継続できる方法を一緒に考える(次回への目標)。

※中食:コンビニやスーパーのお弁当や総菜など、家庭外で調理・加工されたものを購入して食べる形態の食事指導は、1回20分~1時間程度。回数は人それぞれで、1回で終わる人、4~5回受ける人、中には数年継続しているケースもあるそうです。

調理をする人(家族など)と一緒に受けると、より効果が表れるとのことです。

 

**** 患者さんと接する際の心構えやポイント ****

食欲は、俗に言う三大欲求の一つ。栄養食事指導は患者さんの欲求との戦いなので、いろいろなご苦労があるそうです。

管理栄養士の皆さんは、“患者さんの食事療法のサポートをしたい”という想いから、とにかく患者さんの話を否定せずに“聞くこと”からはじめます。

初回は約1時間の指導時間のうち、前半30分はアンケートをもとに聞き取りをしながら、患者さんの食生活や生活背景、好み、考え等を把握します。

後半30分で、それらの情報をもとに、その患者さんに合った食事療法のアドバイスを行っていくそうです。

例えば「間食が止められない」という患者さんに対し、

「間食すると病気が悪くなるから、食べるのを控えてください」という否定的な声かけではなく、

 

管理栄養士 : 間食をするのはなぜだと思いますか?

患者さん : お腹が空くから。

管理栄養士 : お腹が空くのですね。ところで、朝食は食べられていますか?

患者さん : 忙しいし、もともと朝食は食べる習慣がない。

管理栄養士 : 時間がなかなか取れないのですね。実は、朝昼夕と3回食べることで、間の空腹感が落ち着き、間食を減らすことにつながります。まずは、果物や乳製品、おにぎりなど、時間がなくても食べられる簡単なものから始めてみませんか?

患者さん : それくらいならできそうです。

 

といった具合に、問題解決につながる会話をするそうです。

さらに、患者さんの気持ちが ①前熟考期 ②熟考期 ③準備期 ④実行期 ⑤維持期 のどこにあるかを常に意識しながら対応しているとのこと。

私たちにとって、まずは患者さんと信頼関係を築くことが最も大切です。自分の食生活を聞かれることに対し構えてしまうかもしれませんが、話しづらい場合は徐々にお話していただければと思いますので、構えず気楽に相談に来てください

とおっしゃっていました。

 

**** 今回の取材を終えて ****

は、私も生活習慣病があり、市立甲府病院で栄養食事指導を受けています。

初めはピンとこなかった食事の改善方法ですが、食品サンプルを見ながら、ご飯の量や摂るべき野菜についての説明を受け、生活習慣病の人が避けた方がよい食品などを把握していきました。

食事の記録表(一週間分の献立記録)もつけます。私の場合は、食事ごとに写真を撮り、それを見ながら“どうすればいいか”など改善策を提案していただくので、とても身に付きました。

回数を重ね検査結果が改善してくると、俄然楽しくなってきました。

大好きな桃や干し柿はまだ制限されていますが、年に数回の楽しみを残しながら続けています。

自分の経験から、(特に高齢者に)栄養食事指導が必要と感じ、今回の取材を行いました。お話を伺った小澤さんの、栄養食事指導に対する考え方がとてもしっかりしていて、素晴らしいと感じました。

小澤さんをはじめ、市立甲府病院 栄養管理室の皆さん、ご協力いただきありがとうございました!

 

(参考)

**** 若いうちから健康づくりに取り組もう ~甲府市食育推進計画から~ ****

甲府市では、2019~2023年度の「第3次 甲府市食育推進計画」を策定し、推進しています。

それによると、山梨県の健康寿命は平成28(2016)年で男性は全国1位(73.21歳)、女性は全国3位(76.22歳)です。非常に優秀な県ですね。

その要因として、「『無尽』など、人との交流が盛ん」、「農作業など、高齢でも仕事をしている」などが考えられるそうです。

一方、車社会のため運動不足や、塩分摂取量が多いなど、改善すべき所も多いようです。

また、甲府市は山梨県と比べて「HbAlc(ヘモグロビンエーワンシー/過去1~2カ月間の血糖の状態)」の数値が高い方が多いそう。

若いうちから自分の食事や運動習慣を見直し、健康づくりに取り組むことが大切ですね。

 

※「健康寿命」とは、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間で、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間(第3次甲府市食育推進計画より)。

 

 

 


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