瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

『何度も廻り合う』その6

2005年12月27日 22時57分39秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回までの粗筋】

ルフィとゾロとナミ3人は、長崎ハウステンボスに遊びに行きました。



――という訳で、ダラダラ連載再開~!







「『ランガダイク』ってのはオランダ式オークションを体験出来る館よ。普通オークションって言ったら、段々競値が上がってくものじゃない?此処のオークションの場合は値が段々下がってくシステムなの。」

「へー、逆オークションか。面白ェなー♪」

「定価より下がってく訳だから、賭けられた時点で、既に店で普通に買うよりお得って訳よ。」
「要は体の良い在庫商品セールって事だな。」
「何か言った?ゾロ。」
「あー、幻聴だろ、幻聴。」

「確かに在庫商品処理に違わないだろけどさ、本当にお得なんだから!出て来る商品も人気のチーズやお菓子とか――」
「チーズやお菓子が出て来んのか!?楽しみだなー♪どーやって落すんだ!?」

「正面に大きな時計みたいな盤が掲げられてるでしょ?書いてある数字は商品の値段を表してるの。…例えば定価1,000円から始めたとして針は『10』から、9…8…7…と進んでく。『600円』で落札しようと考えたら、針が『6』を指した時点で、椅子右肘掛けに付いたボタンを押す。正面の自分の席番号が点灯すれば見事ゲットって訳。」

「イスの右のボタン…あ、これだな?」

「但し、オークションだから自分の希望金額になる前に、他のお客に落札されてしまう可能性も有るわ。周囲の顔色を読みつつ、目当ての商品をより安くゲットする、情け無用の駆引き勝負!面白そうでしょ?」
「ギャンブルみたいでワクワクすんなー♪」

「もう始まっちゃってるから駄目だけど、開始10分前に、前に並んだ商品の中で希望の物が有れば、リクエストする事も可能なのよ。」
「ふーーん。」
「Z~~~」


俺達が入った時にはすでにオークションは始まっていて、正面で競り役の女が早口で商品を紹介していた。


カステラ2本で2,100円が『1,500円』まで値段が下がった。
よし!買うぞ!!とボタンを思っ切し押す――けど落としたのは、1つ前の席の太ったおばはんだった……ちぇ~負けか!

次にクリームチーズ・スモークチーズ・ターフルソースのセットが3,400円から賭けられた。
今度こそ!!と思ってボタンに手を掛け――あっっ、クソッ!また先越された!!

その次には熊のでっけーぬいぐるみ6,000円が賭けられた。
おし!!今度は負けねェぞ!!とばかしにボタン連打――見事5,800円でゲット!やりィ!!
パンパカパーン♪♪とにぎやかに音楽が響く。


「おめでとう御座います!50番さん!!」


「っっしゃ!!!勝ったーーーー!!!!」
「『勝った』じゃないっっ!!!」

――すぱーーん!!!

「痛ェェ!!!」
「あんた!あんな大っきなテディの縫ぐるみなんて獲ってどうすんのよ!?そもそも5,800円も払える懐余裕あんたに有るの!?」

「い…いえ…無い……デス。」
「無いなら獲るな!!!もっと考えて押しなさい!!!」
「はい!!すいません!!」
「ZZ~~~~」


獲った熊はナミが謝って取り消しにしてくれた。


その次の次にはちゃんぽん&皿うどん、2,100円が賭けられた。


「いい?ボタンを押す前に先ず、『賭けられた商品が幾らの値で競争となるか?』それを予測しなくちゃ駄目よ。」(小声)
「ふんふん!」
「食品は人気が有ってライバル多いわ。あまり欲を出して待ち過ぎると他のお客に先を越される可能性が高くなる。」(小声)
「ふんふんふん!」
「人間の心理として、切りの良い数字を好む傾向が有るの。…そいった点を考慮に入れて…開始2,100円なら……『1,500円』!今よ押して!!」
「よっしゃーーー!!!」


「おめでとう御座います!44番さん!!」


…遅かった、落としたのは、また1つ前の太ったおばはんだった。


「あああっっクソーッ!!!」
「押すのが遅いのよ!あんたは!!」
「ZZZ~~~~~」


その次の次の次には『テディメープルケーキ』って言う熊の絵描かれた箱に入ってるケーキ、1,400円が賭けられた。


「ナミ!次は幾らまで落ちたら押せば良いんだ!?」
「1,400円だから……切り良く『1,000円』!!」
「おし!!1,000円まで待つんだな!?」


「おめでとう御座います!44番さん!!」


遅かった、落としたのはまたまた、1つ前の太ったおばはんだった。


「ナミのウソつきーー!!!あのおばはん1,100円でゲットしちまったじゃねーかーー!!!」

「1,000円から競争となるのを見越して一歩手前の1,100円で確実に落として来るなんて…かなりの手練だわ、恐らく常連よ!」
「ZZZZ~~~~~」


その後も『エッシャーうで時計』とか『お手玉ぬいぐるみ』とか北海道の『もろこしチョコ』みてェなのとか、沢山賭けられた。

途中から早押し勝負だとかにやり方変ったりもしたけど、結局最後まで俺は1個も獲れなかった。



「な…何か…すっげー悔しいぞ、これ…」

「そーお?私はクッキーとケーキのセット、500円引きで獲れたから満足だけど。」
「何でだ!?何であんな中で獲れんだお前!??」

「あんた早や押し勝負でボタン押すタイミング悪いのよ。早過ぎても駄目、遅過ぎても駄目。進行役のお姉さんの、『スタート!』の『ー』の所で押すのがコツねv」

「1つ前のおばはん、チーズにちゃんぽん皿うどん熊ケーキ熊クッキーTシャツカレンダー……よくあんだけ買える金有るよな~~1/3は獲ってったぞ?」

「方言からして地元じゃない?宿泊抜きで最初からこのオークション目的で来たのかもよ?」

「…ふ…あああああああ~~!!………お、やっと終ったのかァ…?」
「あ、やっとゾロが起きた。」
「何も考えずただゴロンと転がったままでも存在が許される。毬藻ってつくづく幸せな生物よね。」
「って誰が毬藻だ!!?」


オークションは1日に大体6回位開かれるとナミが言った。

1回約45分位で、はまってる人だと全部の回に参加するのも居るとか聞くらしい。

他のお客と競争し、時には横取りして欲しい物奪ったりすんのも、やみつきになるんじゃないかって事だ。




「次は何処行くんだナミ!?」


オークションハウス出た前でナミに聞く。

ガイドを広げて、ナミはちょっと考えてからこう言った。


「1:30から『ジングルベル』って言うクリスマスソングショーが有るんですって。それ観に行こう!」

「歌かー、歌は良いな♪ドコでやるんだ?」

「さっき3人で教会バックに写真撮ったでしょ?あそこ。」
「ちょっと待て!それってまた元に戻るって事か!?」
「あ、気付いちゃったゾロ?凄いじゃない、方向オンチのクセにv」
「方向オンチじゃねェ!!ふざけんな2度も後戻り出来るか!!…っておい!!とっとと走り出してんじゃねェよ2人共!!!」

「ゾロ急げーー!!良い席取られちまっぞーーー!!!」

「早く来ないと置いてっちゃうからね~~~vv」


「…ちょ…待っっ…!!ちったァ俺の希望も聞きやがれてめェら~~~!!!」




教会の建ってる広場まで戻ると、もう大半の席に観客が座っていた。

外に出来たステージにはきれーにクリスマスツリーが飾られている。

後ろの真ん中席が空いてたんで、俺達はそこに並んで座った。


「…後、約30分ね。」
「30分もこんな寒い中で待つのかよ!?…勘弁してくれよ。」


日が照ってて動いてる間はあったけーけど、じっと座ってる分には寒く感じた。


「我慢してゾロ。これも修行よ!」
「何の修行だよ!?」
「晴れてて良かったよなー!!雨とか雪降ってたら待ってる間に観客全員シャーベットだな!!」
「馬鹿ねルフィ。そういう時は中止か屋内に場所移すに決まってるでしょ。」
「あ、そか!」


ガタガタブルブル、3人体くっ付けて待ってる内に席は全部埋まり、後ろっかわまでどんどん立ち観客が集まり出した。

おかげで冷たい風がよけられて大分あったかくなった。


30分ほど経って、ようやく3人の歌手がステージ上に出て来た。

白人っぽい男と黒人っぽい女と白人っぽい女、どいつもすっげー歌が上手かった!!

クルクル踊ってみたり、コロコロ服替えたりして、歌は全然解んなかったけど、結構楽しかった。

あ、1曲だけは解ったぞ!もろ…もろ…もろこし…そうだ『もろびとこぞりて』だ!

となり座ってたナミは全部解ったらしい、手ェたたきながら一緒に歌ってた。

俺も解んねェけど手ェたたいてノッてやった。

ゾロはあい変らず眠たそーな顔して…でも寒かったからか、一応最後まで眠らず観ていた。



曲にノッて体動かしてたのが良かったのか、ショーが終る頃には寒さはどっか行っちまってた。






その7に続】





…写真の説明~、話に出て来た『ランガダイク』の値段盤。

此処にお姉さんが立って、オークションを開催します。

並んでる商品の中で、黄色とピンクのでっかい得体の知れない(←失礼)縫ぐるみは、ハウステンボスオリジナルの『ちゅーりーちゃん』、名前通りチューリップをイメージしてるキャラでして、結構可愛く人気赤丸急上昇中、偶に街中を闊歩してる姿が観られます。


『ランガダイク』、買い物&ギャンブル好きな方は嵌るでしょう。

実際お土産買うなら、先ずは此処入っておいた方が良いです。

欲しいお土産が定価で買わずに済むかもしれないんで。

但し、限界価格がこっそり設定されてあるので、あまり粘り過ぎると商品流れたりしちゃいます。

コメント (4)
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