【前回の続きです。】
船内に入った途端、非難と好奇の視線で、体中チクチクと刺された。
迷惑懸けたのは確かなので、一応済まなそうに頭を垂れながら、奥へと進む。
最後部右端窓際席をしっかり確保したルフィが、ガキみたく船窓貼り付き景色を眺めてる。
その隣でゾロは、もう早眠りの体勢、瞼を固く閉じている。
座り直す間も無くエンジン音が轟き、高速船はゆっくりと岸から離れた。
少しづつ、少しづつ、街から離れて行く…
18世紀王宮の様な、『ホテル・デンハーグ』。
その後の森から頭だけ覗かした、『パレス・ハウステンボス』。
雄々しくマストをぴんと伸ばした、木造帆船『観光丸』。
場内何処よりも高く聳える塔、『ドム・トールン』。
…離れて行く…皆…皆…離れて行く…
「ナミ!!ナミ!!窓から観てみろよ!!夕陽がすっげーきれーだぞ!!!」
手を引っ張り、興奮した面持ちでルフィが叫ぶ。
覗いた窓からは……山を焦す様な、赤々とした夕陽。
「な!?まるで山火事みてェできれーだろ!!?」
「……確かにイメージとしてはそんな感じだけど……もちょっと別の例え出来ないのルフィ…?」
往路同様、暫くは緩い速度で進んでいた船が、急に駆け足になる。
ガタゴトと揺れが増し、波飛沫が窓に掛かる。
見えていた街並が、一気に離れて行った。
「楽しいトコだったな!!」
朗らかにルフィが笑う。
その頭上には、古ぼけた麦藁帽子が載っかっていた。
着ている服は赤のノースリーブ、履いてる靴はビーチサンダル。
全身に風を感じて辺りを見回す。
気付けば乗っている船は、見覚えの有る小型木造帆船。
海風にはためく、麦藁帽子を被った髑髏の海賊旗。
こちらからは見えないけど、船首はきっと愛嬌溢れる羊の顔。
継ぎ接ぎだらけの愛する船……ゴーイング・メリー号。
後部デッキから、皆と共に私は、沈む夕陽を、離れ行く島を、見送っていた。
「楽しかった…怖いもんちっとも居なかったし…平和で、美味い食いもんや飲みもんいっぱい有って…なのに3日しか居られないなんて…オレ、すっげ寂しいぞォォーーー!!!!」
右隣で船縁ぶら下がってたチョッパーが、ウルウル目で海に向かい叫ぶ。
トナカイの様な狸の様な、毛皮モコモコの愛くるしい姿。
頭に被った『×』帽子は名医の証、頼り甲斐有る我等が船医。
「また来たいよなァ~~~。来れるかなァ~~~?チーズやハムやソーセージやワイン……どれもこれも美味かったよなァ~~~。」
「バナナマフィンも美味かったよなァ~~~。後50個くれェ買って行きたかったよなァ~~~。」
そのチョッパーの横で、ルフィが同調する。
「オレ、お菓子の家見たぞ!!魔女が住んでて、サンタが訪ねて来るんだ!!」
「俺も見たぞチョッパー!!良いよなァ~~~。あんな家に1度住んでみてェ~~~。そんでエントツから丸かじりすんだァ~~~v」
「食っちまったら駄目だよルフィ!!住めなくなっちまうじゃんか!!!」
「寂しがってんじゃねェよてめェら!!!」
バタンと扉開いて、ウソップが飛び出して来た。
一体誰の真似なのか?……手にはギター、頭にはテンガロンハット、黒いグラサン掛けて、長鼻の下にはマジックで描いたチョビ髭、ベルボトムジーンズといったスタイルだ。
「幾つもの出会いと別れを繰り返し、人は大人になって行く。愛する者を残しても、ぐっと涙堪えて独り旅立つ……それが漢の生き様ってもんだぜェェ!!!」(キラーン)
「うおおおっっ!!!ウソップカッコエェェーーーー!!!!」
「良いぞォォ~~~!!!漢・キャプテンウソップゥゥ~~~~!!!!」
「…っつう訳で聴いて貰うぜ…!!キャプテェ~ンウソップ様が歌う別れのバラード!!!てめェらしっかり声援頼むぜェェ!!!!」
「さよならは別ァ~れェ~のォ~言葉じゃなくゥてェ~♪」
「「ヒュー!!ヒュー!!」」
「再び逢うまァ~でェ~のォ~遠い~約束ゥ~♪」
「「ヒュー!!ヒュー!!」」
「今を~嘆ェいてもォ~胸を~痛ァ~めてもォ~ほんのォ~夢ェの途中ゥ~~♪…ジャンジャンジャンジャンジャカジャカジャジャン♪――どうしたどうしたァ!!?声が小さいぜてめェらァァ!!!!」
「ウソップ、ルフィ、チョッパー、あんた達、煩い。」
「ナミさん…!!」
背後からそっ…と肩を抱かれる。
振り返ると、右の瞳をキラキラと輝かせたサンジ君が立っていた。
気障ったらしい黒スーツと黒ネクタイ、咥えた煙草からはハート型した煙。
その煙が私に掛からぬ様、決して風上には立たない、見上げたフェミニスト根性。
「今度来た時は君と、あの海辺佇む、ホテルデンハーグに泊りたい…!!
宿泊する部屋は勿論、窓から海を見渡す、デラックスハーバービューツインだ。
寄り添い紺碧の海を見詰ながら、2人の夢について語合おう。
いっその事、結婚式も挙げてしまおうか?
幸い、あそこには教会も用意されてると言うし。
そうだ!ハネムーンはその後でも良いさ!!
昼に太陽の祝福を受けた2人は、夜には月と星の祝福を受けるんだ。
満天の星を映した夜の海を背景に、2人きりで乾杯をしよう。
夜も更けて…『そろそろシャワーを浴びて寝ないかい?』と俺が誘う。
君は『いやんv初めてなのに、一緒にだなんて恥かしいvサンジ君からどうぞv』と、初々しく拒むだろう。
その仕草に惜しく思いつつも、心トキメカセながら先にシャワーを浴びる俺。
逸る胸を抑え、腰にバスタオルを巻いて出て来ると、ベッドの上には――」
「――誰も居らずもぬけの殻。
間抜けな花婿さんがシャワーを浴びてる間に、花嫁さんは貰った御祝儀ごっそり持って、彼方へと逃げてしまいましたとさ!」
サンジ君の足元で、縁に寄っ掛かってたゾロが、茶々を入れる。
親父シャツに緑の腹巻に、左腕には黒バンダナ、左耳には3連ピアスといった、ダサさを超越したファッション。
右の腰には勿論、3本の真剣を差していた。
「話横取りして勝手に哀しい展開に変えてんじゃねェよ毬藻ォォォ!!!!」
「台詞長ェんだよてめェはァァ!!!!出番無かった腹いせかァ!!!?クルクルラブリン!!!!」
「煩ェェ!!!!毬藻は毬藻らしく独り寂しく湖底沈んで眠ってろっっ!!!!早よ帰れ故郷の湖に!!!!」
「国の起源を知る上でも、興味深いサンプルだったわね。」
左隣に立ってたロビンが微笑む。
風に吹かれ、はらりと広がる漆黒の髪。
同姓の私でも憧れる、彫像の様に整った容貌。
髪と同じ色した瞳は、理知を宿してきらりと輝く。
「かつて栄えた大国も、一日にして成された訳では無い。あの国の歴史は未だ浅いけど…ひょっとして私達は、綿々と続いてく国史の内の序章を、垣間見たのかも知れないわ。」
「始まりは全て0から、か…。」
希望と理想に溢れた、良い国だった。
エコロジー&エコノミー、自然と文化の共存……成功すれば良いなと思う。
その試みは必ずや、未来に生きる人達の指針となる。
刻々と、夜に染められて行く空。
濃紺の世界で、稜線のみが、薄桃色に輝いてる。
船は波を蹴散らし、真直ぐに航行してく。
「ぜってェ、また来ような!!」
何時の間にか近くに、ルフィが来て笑ってた。
さっきまで被ってた、麦藁帽子は消えている。
見回せば、居るのは帆船の上でなく、振動鳴り響く、高速船の中。
最奥窓際から並んだ席には、ルフィ、ゾロ、私の3人。
……ウソップ、サンジ君、チョッパー、ロビンの姿は、何処にも無かった。
「今度来たら忘れず馬車乗るぞ!!チョコレートフォンデュも食う!!タクシーにも乗りてェなァ~!!カナリカフェだったか!?あれも乗りてェよなァ~!!後キッズ何とか!!ガキ用遊園地でも1ぺん観てェ!!あ!!キャプテンショップ!!今度はゆっくり観るぞ!!そんで明かり点いたきれーなシャンデリアも観なくちゃな!!……こうして考えると、まだまだし残した事、沢山有るよなァァ~~~!!」
「…それだけじゃなく、知ってるか?地下にゃ迷路まで在るんだぜ!」
「地下に迷路ォォ!??」
「ゾロ、起きてたの?」
間で熟睡してると思ってたゾロが、むくりと身を起こす。
「…ルフィの声が煩くて寝付けやしねェ。安眠妨害極まりねェよ。」
その右腰に、3本の真剣は差してない。
「上ばっか歩いてて気付かなかったんだろ?今度来たら、俺が道案内してやるよ!」
妙に優越感たっぷりに、ニヤケる。
「へー!!そんなトコまで在ったのかァァーーー!!面白そうだな♪」
「あんたに道案内お願いしたら、それこそラビリンスみたいに、一生抜け出せなくなりそう…。」
「どういう意味だよそりゃ!!?」
「それを言うなら私だって…あんた達、飛ぶ魚を目の前で見た事有る?」
「「飛ぶ魚??」」
「飛魚よ!この海には沢山居て、ピョンピョン飛んでるトコ見たわ、私!」
「飛魚ってアレか!?羽の生えた魚か!?うわっっ、すっげー観てェェ~~~!!何で俺達にも観せてくんなかったんだよ!?」
「呼んでもあんた達、部屋に鍵掛けて、狸寝入りカマしてたんじゃないの!!!」
「まァ良いじゃねェか。次に来る時の為に、楽しみ色々残しといたっつう事でよ。」
ゾロが珍しくも、朗らかに笑う。
「そうだな!!全部、次来た時の宿題だな!!」
ルフィも力いっぱい、声立てて笑った。
「………そうだね。」
夕陽は沈み、街ももう見えない。
すっかり薄暗くなった空の下、波飛沫立てて、船は高速で進む。
被ってた帽子の鍔に触れた。
ルフィに渡された、『誓いの帽子』。
「……また来よう!!
今度は…皆で…!!」
ハウステンボスまでは何マイル?
お船に乗って行けるかな?
行って帰って来られるさ
波が高く荒れなけりゃ
お船に乗って行けるとも
【終】
写真の説明~、以前話に出した、ハウステンボスのオリジナルチューリップ、その名も『ハウステンボス』。
ピンク色してフリンジ付いてて可愛いっしょv
…改めてブログ上で、お礼を言う積りですが……
まったりさん、
ちばさん、
ふくちゃん、
ぐらさん、
ウロウロさん、
勝手にでは有りますが(汗)、資料として貴ブログを大いに参考にさせて頂きました。
有難う御座いました。(礼)
そして、此処までお読み頂いた皆さんにも、有難う御座います。(礼)
お陰で何とか、最後まで書き切る事が出来ました。
本当に有難う御座いました。
あ、追伸…最後のフレーズはマザーグースのパロディ、深い意味は無いです…まぁ、洒落で。(苦笑)
後、ウソップが歌ってるのは来生氏の『夢の途中』です、言わんでも解るでしょうが。(汗)
船内に入った途端、非難と好奇の視線で、体中チクチクと刺された。
迷惑懸けたのは確かなので、一応済まなそうに頭を垂れながら、奥へと進む。
最後部右端窓際席をしっかり確保したルフィが、ガキみたく船窓貼り付き景色を眺めてる。
その隣でゾロは、もう早眠りの体勢、瞼を固く閉じている。
座り直す間も無くエンジン音が轟き、高速船はゆっくりと岸から離れた。
少しづつ、少しづつ、街から離れて行く…
18世紀王宮の様な、『ホテル・デンハーグ』。
その後の森から頭だけ覗かした、『パレス・ハウステンボス』。
雄々しくマストをぴんと伸ばした、木造帆船『観光丸』。
場内何処よりも高く聳える塔、『ドム・トールン』。
…離れて行く…皆…皆…離れて行く…
「ナミ!!ナミ!!窓から観てみろよ!!夕陽がすっげーきれーだぞ!!!」
手を引っ張り、興奮した面持ちでルフィが叫ぶ。
覗いた窓からは……山を焦す様な、赤々とした夕陽。
「な!?まるで山火事みてェできれーだろ!!?」
「……確かにイメージとしてはそんな感じだけど……もちょっと別の例え出来ないのルフィ…?」
往路同様、暫くは緩い速度で進んでいた船が、急に駆け足になる。
ガタゴトと揺れが増し、波飛沫が窓に掛かる。
見えていた街並が、一気に離れて行った。
「楽しいトコだったな!!」
朗らかにルフィが笑う。
その頭上には、古ぼけた麦藁帽子が載っかっていた。
着ている服は赤のノースリーブ、履いてる靴はビーチサンダル。
全身に風を感じて辺りを見回す。
気付けば乗っている船は、見覚えの有る小型木造帆船。
海風にはためく、麦藁帽子を被った髑髏の海賊旗。
こちらからは見えないけど、船首はきっと愛嬌溢れる羊の顔。
継ぎ接ぎだらけの愛する船……ゴーイング・メリー号。
後部デッキから、皆と共に私は、沈む夕陽を、離れ行く島を、見送っていた。
「楽しかった…怖いもんちっとも居なかったし…平和で、美味い食いもんや飲みもんいっぱい有って…なのに3日しか居られないなんて…オレ、すっげ寂しいぞォォーーー!!!!」
右隣で船縁ぶら下がってたチョッパーが、ウルウル目で海に向かい叫ぶ。
トナカイの様な狸の様な、毛皮モコモコの愛くるしい姿。
頭に被った『×』帽子は名医の証、頼り甲斐有る我等が船医。
「また来たいよなァ~~~。来れるかなァ~~~?チーズやハムやソーセージやワイン……どれもこれも美味かったよなァ~~~。」
「バナナマフィンも美味かったよなァ~~~。後50個くれェ買って行きたかったよなァ~~~。」
そのチョッパーの横で、ルフィが同調する。
「オレ、お菓子の家見たぞ!!魔女が住んでて、サンタが訪ねて来るんだ!!」
「俺も見たぞチョッパー!!良いよなァ~~~。あんな家に1度住んでみてェ~~~。そんでエントツから丸かじりすんだァ~~~v」
「食っちまったら駄目だよルフィ!!住めなくなっちまうじゃんか!!!」
「寂しがってんじゃねェよてめェら!!!」
バタンと扉開いて、ウソップが飛び出して来た。
一体誰の真似なのか?……手にはギター、頭にはテンガロンハット、黒いグラサン掛けて、長鼻の下にはマジックで描いたチョビ髭、ベルボトムジーンズといったスタイルだ。
「幾つもの出会いと別れを繰り返し、人は大人になって行く。愛する者を残しても、ぐっと涙堪えて独り旅立つ……それが漢の生き様ってもんだぜェェ!!!」(キラーン)
「うおおおっっ!!!ウソップカッコエェェーーーー!!!!」
「良いぞォォ~~~!!!漢・キャプテンウソップゥゥ~~~~!!!!」
「…っつう訳で聴いて貰うぜ…!!キャプテェ~ンウソップ様が歌う別れのバラード!!!てめェらしっかり声援頼むぜェェ!!!!」
「さよならは別ァ~れェ~のォ~言葉じゃなくゥてェ~♪」
「「ヒュー!!ヒュー!!」」
「再び逢うまァ~でェ~のォ~遠い~約束ゥ~♪」
「「ヒュー!!ヒュー!!」」
「今を~嘆ェいてもォ~胸を~痛ァ~めてもォ~ほんのォ~夢ェの途中ゥ~~♪…ジャンジャンジャンジャンジャカジャカジャジャン♪――どうしたどうしたァ!!?声が小さいぜてめェらァァ!!!!」
「ウソップ、ルフィ、チョッパー、あんた達、煩い。」
「ナミさん…!!」
背後からそっ…と肩を抱かれる。
振り返ると、右の瞳をキラキラと輝かせたサンジ君が立っていた。
気障ったらしい黒スーツと黒ネクタイ、咥えた煙草からはハート型した煙。
その煙が私に掛からぬ様、決して風上には立たない、見上げたフェミニスト根性。
「今度来た時は君と、あの海辺佇む、ホテルデンハーグに泊りたい…!!
宿泊する部屋は勿論、窓から海を見渡す、デラックスハーバービューツインだ。
寄り添い紺碧の海を見詰ながら、2人の夢について語合おう。
いっその事、結婚式も挙げてしまおうか?
幸い、あそこには教会も用意されてると言うし。
そうだ!ハネムーンはその後でも良いさ!!
昼に太陽の祝福を受けた2人は、夜には月と星の祝福を受けるんだ。
満天の星を映した夜の海を背景に、2人きりで乾杯をしよう。
夜も更けて…『そろそろシャワーを浴びて寝ないかい?』と俺が誘う。
君は『いやんv初めてなのに、一緒にだなんて恥かしいvサンジ君からどうぞv』と、初々しく拒むだろう。
その仕草に惜しく思いつつも、心トキメカセながら先にシャワーを浴びる俺。
逸る胸を抑え、腰にバスタオルを巻いて出て来ると、ベッドの上には――」
「――誰も居らずもぬけの殻。
間抜けな花婿さんがシャワーを浴びてる間に、花嫁さんは貰った御祝儀ごっそり持って、彼方へと逃げてしまいましたとさ!」
サンジ君の足元で、縁に寄っ掛かってたゾロが、茶々を入れる。
親父シャツに緑の腹巻に、左腕には黒バンダナ、左耳には3連ピアスといった、ダサさを超越したファッション。
右の腰には勿論、3本の真剣を差していた。
「話横取りして勝手に哀しい展開に変えてんじゃねェよ毬藻ォォォ!!!!」
「台詞長ェんだよてめェはァァ!!!!出番無かった腹いせかァ!!!?クルクルラブリン!!!!」
「煩ェェ!!!!毬藻は毬藻らしく独り寂しく湖底沈んで眠ってろっっ!!!!早よ帰れ故郷の湖に!!!!」
「国の起源を知る上でも、興味深いサンプルだったわね。」
左隣に立ってたロビンが微笑む。
風に吹かれ、はらりと広がる漆黒の髪。
同姓の私でも憧れる、彫像の様に整った容貌。
髪と同じ色した瞳は、理知を宿してきらりと輝く。
「かつて栄えた大国も、一日にして成された訳では無い。あの国の歴史は未だ浅いけど…ひょっとして私達は、綿々と続いてく国史の内の序章を、垣間見たのかも知れないわ。」
「始まりは全て0から、か…。」
希望と理想に溢れた、良い国だった。
エコロジー&エコノミー、自然と文化の共存……成功すれば良いなと思う。
その試みは必ずや、未来に生きる人達の指針となる。
刻々と、夜に染められて行く空。
濃紺の世界で、稜線のみが、薄桃色に輝いてる。
船は波を蹴散らし、真直ぐに航行してく。
「ぜってェ、また来ような!!」
何時の間にか近くに、ルフィが来て笑ってた。
さっきまで被ってた、麦藁帽子は消えている。
見回せば、居るのは帆船の上でなく、振動鳴り響く、高速船の中。
最奥窓際から並んだ席には、ルフィ、ゾロ、私の3人。
……ウソップ、サンジ君、チョッパー、ロビンの姿は、何処にも無かった。
「今度来たら忘れず馬車乗るぞ!!チョコレートフォンデュも食う!!タクシーにも乗りてェなァ~!!カナリカフェだったか!?あれも乗りてェよなァ~!!後キッズ何とか!!ガキ用遊園地でも1ぺん観てェ!!あ!!キャプテンショップ!!今度はゆっくり観るぞ!!そんで明かり点いたきれーなシャンデリアも観なくちゃな!!……こうして考えると、まだまだし残した事、沢山有るよなァァ~~~!!」
「…それだけじゃなく、知ってるか?地下にゃ迷路まで在るんだぜ!」
「地下に迷路ォォ!??」
「ゾロ、起きてたの?」
間で熟睡してると思ってたゾロが、むくりと身を起こす。
「…ルフィの声が煩くて寝付けやしねェ。安眠妨害極まりねェよ。」
その右腰に、3本の真剣は差してない。
「上ばっか歩いてて気付かなかったんだろ?今度来たら、俺が道案内してやるよ!」
妙に優越感たっぷりに、ニヤケる。
「へー!!そんなトコまで在ったのかァァーーー!!面白そうだな♪」
「あんたに道案内お願いしたら、それこそラビリンスみたいに、一生抜け出せなくなりそう…。」
「どういう意味だよそりゃ!!?」
「それを言うなら私だって…あんた達、飛ぶ魚を目の前で見た事有る?」
「「飛ぶ魚??」」
「飛魚よ!この海には沢山居て、ピョンピョン飛んでるトコ見たわ、私!」
「飛魚ってアレか!?羽の生えた魚か!?うわっっ、すっげー観てェェ~~~!!何で俺達にも観せてくんなかったんだよ!?」
「呼んでもあんた達、部屋に鍵掛けて、狸寝入りカマしてたんじゃないの!!!」
「まァ良いじゃねェか。次に来る時の為に、楽しみ色々残しといたっつう事でよ。」
ゾロが珍しくも、朗らかに笑う。
「そうだな!!全部、次来た時の宿題だな!!」
ルフィも力いっぱい、声立てて笑った。
「………そうだね。」
夕陽は沈み、街ももう見えない。
すっかり薄暗くなった空の下、波飛沫立てて、船は高速で進む。
被ってた帽子の鍔に触れた。
ルフィに渡された、『誓いの帽子』。
「……また来よう!!
今度は…皆で…!!」
ハウステンボスまでは何マイル?
お船に乗って行けるかな?
行って帰って来られるさ
波が高く荒れなけりゃ
お船に乗って行けるとも
【終】
写真の説明~、以前話に出した、ハウステンボスのオリジナルチューリップ、その名も『ハウステンボス』。
ピンク色してフリンジ付いてて可愛いっしょv
…改めてブログ上で、お礼を言う積りですが……
まったりさん、
ちばさん、
ふくちゃん、
ぐらさん、
ウロウロさん、
勝手にでは有りますが(汗)、資料として貴ブログを大いに参考にさせて頂きました。
有難う御座いました。(礼)
そして、此処までお読み頂いた皆さんにも、有難う御座います。(礼)
お陰で何とか、最後まで書き切る事が出来ました。
本当に有難う御座いました。
あ、追伸…最後のフレーズはマザーグースのパロディ、深い意味は無いです…まぁ、洒落で。(苦笑)
後、ウソップが歌ってるのは来生氏の『夢の途中』です、言わんでも解るでしょうが。(汗)
あまりの忙しさにぶち切れて休みとって来ちゃいました(;^_^A
少しはストレス発散になりました。
さてびょりさん長い長いお話お疲れさまでしたm(__)m
コメントはしていませんでしたが、毎日チッェクして読んでいました。大変楽しかったです。これでこの話もおしまいですか・・・
ちょっと残念ですね。また他の話題が終わったらぜひ続編を期待しています。(プレッシャー:笑)
あ、他のキャラでも楽しそうですね。
私のブログなど参考にしていただいて大変光栄です。これからもよろしくお願いしますm(__)m
それでは(携帯からの書き込みは大変だなぁ:笑)
>カナリカフェだったか!?あれも乗りてェよなァ~!!
ルフィーより先にワタシが乗っちゃおう
未だにその機会を見つけられないでいるんですもの(笑)
ワタシのブログ 参考になる所があったかしら?? 光栄ですわン
毎日楽しんで三日間を共に過ごさせていただきました。訪れたことがないだけに楽しく美味しい想像しながら読ませていただきました。
解説が的確なナミさんと楽しいところをもの凄く楽しく教えてくれるルフィと間は悪いのにスタンスを変えないゾロの三人のバランスもとても良かったです。
あまりないタイプの試みをありがとうございました!
この量だけでもガイドブックができそうですね。
これを読むと本当にハウステンボスに行きたくなりましたよ。あっちこっち食べ歩きしたい!その時はびょりさんに案内してもらおう。私は方向音痴だから。
3人の微妙な関係も凄く楽しかった。続編を期待したいですね~~是非!
お疲れ様でした、ありがとうございます!
>「そうだな!!全部、次来た時の宿題だな!!」
全部とは、言い難いのですが、私も確か前回のハウステンボス、帰りの高速船の中でそう思っていた事を思い出しました。そう思って2年半以上経ってしまいましたが。(汗)
もう一つ思い出した事。大学の卒業旅行、野郎3人で軽自動車に乗り、大阪から夜通しかけて長崎へ行ったんです。(オランダ村へは行きましたが、まだハウステンボスはありませんでした。)疲れたけど楽しかったな~。もう10ん年も前の事ですが。(苦笑)その面々とは、卒業から2~3年は度々会っていましたが、それ以降は年賀状のやり取りくらいです。(寂)
青春(照笑)の1ページを思い出させていただき、ありがとうございました。
いえいえ、最後まで読んで頂けて嬉しいです。
声は聞えなくとも、閲覧数が段々と上がって行った事に、本当に励まされました。
もしもこれが段々と下がってってたら…多分、途中で投げ出してたんじゃないかな~。(笑)
だから、此処までお読み頂けた事こそ、先ず感謝したいです。
続編は…無いです、自分の中で取敢えず決着してしまったんで…こいつらの後々の人生は、こいつら自身に任せたいと思います。(笑)
でもそうですね…長編はもう書く気無いですが、チョコチョコとお遊び程度で、似た様にキャラ出しての紹介話は書くかもしれません、自分を考えると。(笑)
ぐらさん…「在るさ!2年後も!!」…良い台詞ですね~!まるでルフィが言った様な力強さ、ちょっと感動して泣けちゃいました、マジで。(笑)
本当に2年後と言わず、何時までも在って欲しいですね。
カナルカフェは良いですよ~v
乗るならやっぱ水門巡りコースをお勧め、水門潜って~なんて、機会少ないですからね。
でも水門潜る間停まっちゃうんで、動いてないと嫌~って方には勧められないかなー。
ウロウロさん、ぐらさんのブログで、参考にさせて頂いたトコ具体的に言うと、チョコフォンデュ、アフタヌーンティー、各橋の写真、アミューズメント紹介…その他色々です。(笑)
お2人共本当に、連載中のコメント含めて、有難う御座いました。(礼)
かるらさん…有難う御座いました~!!
訪れた事無い方にも、訪れた気分になって読んで頂くのも、目指してた方向の1つだったので、そう仰って頂き、本当に嬉しいです。
そう…たったの3日間の話だったんですよね…なのに40回も…40回…よく書いたな~自分…。(遠)
ルフィゾロナミのトリオは本当にバランス良くて書き易かったですねー。
ガイドって事考えると、ナミウソップサンジのトリオとかの方が、相応しかった気もするんですが…それだと妙~に『太鼓持ち』的な話になってた気もするんで…読物としては、人選当ったんじゃないかと。(笑)
ゾロはね、ガイド役不適応ですが、物事を達観したり、性格的にも思い遣り深いんで、ナミの気持ち察してくれたり…話成立させんのに、居てくれて良かったなと思いました。(笑)
ハウステンボス専門のガイドブックって、以前は毎年出てたんですが、今は無いんですよね~。(涙)
何時かハウステンボスブログ書いてる方の中で、それを本にして発行される方(そゆサービスしてるブログも在るらしいし)、もしかしたら現れるかもしれない。(願)
rokiさん…毎日読むの楽しみにしていただなんて、嬉しいお言葉有難う御座いますv(感動~)
本当にねー、それに支えられました…でなきゃ毎日書けなかったですよ…もう2度と出来ない奇跡技じゃないかと。(笑)
まぁ連載ほぼ毎日した理由は、早くしないと旅の記憶が薄らいでしまう~ってのが有った訳ですが…。(一応背景なんかは、フィクションじゃない様書かなきゃだから)(苦笑)
そうですねー、何時かrokiさんに、ハウステンボスをガイドして差し上げたいですv美味い物沢山有るぞ!(笑)
途中から何故か微妙な三角関係話になったのが何とも…しかもついついそれが楽しくて、だから話が長引いてしまったっつうのも…有る。(苦笑)
あ、続編は無いです、もうネタ浮びそうに無い、そ言って頂き、非常に嬉しいのですが。(笑)
リャンさん…1番、リャンさんに「有難う」と言いたいです、何時もマメにコメント頂き有難う御座いました。(礼)
本当に励まされました!
コメント上で貴重な情報なんかも頂いたしねv
私が卒業した時の話なんですが…1人どうにも放浪癖有る友人が居りまして、「寂しいけど、卒業したらこいつとは、2度と会えないだろうな~」と他友人と話してたんですよ。
こいつ自身もそう考えてたらしく、記念のメモ帳に「多分もう会わん」なんて書いてまして。(笑)
したら10年位経って、ひょこっと姿見せたんですなー。
縁って有るんだな~、そして会いたいっつう意志さえ捨ててなけりゃ、結構会えるもんなんだなぁと思った…そんな出来事でした。
リャンさんの卒業旅行話も青春してて良いなv実は連載当初考えてた案に近い…です。(笑)
何だか卒業シーズン合せた様に終ってちょっと気恥ずかしく。(笑)
此処までお付合い頂き、皆さん有難う御座いました。(礼)
読了感謝!!
楽しませて頂きました! とても素敵でした!
行きたいと思いつつ未だ行ったことのない場所ですが、想像を遥かに凌駕する色鮮やかな世界に溜息三昧でした(笑)。
いつか行ってみたいです、ええ、心の中にこのかしまし3人組を連れて(^m^)。
エンタティナーびょりさんの手腕、どうもご馳走様でした! 時にゾロナミ、ルナミ、ルナゾと大変美味しゅうございました~、大満足です♪
ではまたv
お言葉有難う御座いましたv
ええ、どうぞ、何時か行かれる事が有るならば、このルフィゾロナミ3人組も連れてってあげて下さいませv(ハウステンボス側では、迷惑な客って事で、ブラックリストに載せられてそうだが…)(笑)
そうでしたねー、言われてみれば、ゾロナミ、ルナミ、ルナゾと、カプシーンも結構有った話でした…う~む、案外サービスたっぷりな話だったという事か…??(自分にしちゃ、ですが…)(照笑)
勿体無きコメント、有難う御座いました♪
読了感謝!!
エーと。。。
出遅れました。(^^ゞ
わざわざご紹介いただいて有難うございました。こちらこそ、びょりさんにあんなふうに書いていただいて、穴があったら入りたい気持ちです。
これからもよろしくお願いします。m(__)m
ふくちゃんのブログでの、ギヤマンミュージアム記事等を読まなかったら…資料集めにもっと苦労して、連載もっと長くかかってたと思います。
勝手ながら、色々参考にさせて頂きました。(笑)
本当に有難う御座いました!
こちらこそ、これからも宜しくお願い致しますねv