![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/f3/b1095d9312e3e59dcfb5791fb4683764.jpg)
次は『めぞん一刻』から。
実は作品連載中はあんまし好きって訳じゃなかった。
単行本、1冊も持ってないし。
苦手なラブ・ストーリーだったからですが…ヤキモチ焼きの響子さんは、可愛くて大好きでしたがね~。(ファンの方御免)
けど、今読み直してみると…面白い作品だな~と感心してしまう。
絵も本当に綺麗…本音を言えば、氏の絵はこの作品後半頃が1番好きでした。(汗)
何より台詞の掛け合いが素晴らしい。
氏の連載作品の中では、これが1番人物描写が巧いんじゃないかと考えてます。(あくまで個人的にね)
第1巻第1話、『隣はなにを…!?』より――
おんぼろ木造アパート『一刻館』に、美人の管理人さんがやって来た。
――名前は『音無響子』。
一緒に連れて来たジジムサイ犬には、何故か『惣一郎』と言う、人の名前が付けられていた。
アパート5号室の住人『五代裕作』は、忽ち彼女に一目惚れ。
奇妙な住人達のおちょくりに耐えかね、アパートを出る気で居たのに、あっさり翻意してしまう。
所で5号室の隣の4号室には、『四谷』さんと言う名の変人が居る。
趣味は覗き・たかりで、五代の部屋の壁や押入れにまで、大きな覗き穴を開けてしまう始末。
そのせいで、隣の6号室に居る『朱美』さんから、覗き常習犯の疑いを掛けられてしまった。
幸いにも疑いは直ぐに晴れたが、覗き穴をこのまま放って置く訳にも行かずという事で、穴を塞ぐ管理人さん。
押入れから覗く、管理人さんの形の良い腰を見て…五代は暫し見惚れるのであった。
響「私にお構いなく、お勉強なすって下さい。」
五「しかしですね……」
五「………」(←じっくりと観察中)
響「明日模試が有るのでしょう。」
五「え?」
響「だから模試が……」
五「こ…腰がどうかしましたか?」
響「模試が有るんじゃないですか!?」
…もしもーし、大丈夫ですか?五代君。(笑)
尚も続く五代君のアレっぷり。
同じく1巻『暁に鐘は鳴る』より――
共通一次が近付いて、早くも友人達に向け、「お手上げ」宣言。
五「一刻館は受験生の住む所じゃないからなー。」
友「今更何言ってんだ。
さっさと引越しゃよかったじゃないか。」
五「そーはいかんのだ。
管理人さんが、えらい美人でな。」
五「何にもしてないんだよなー。」
友「お前、試験は明日だぞ。」
五「いや、管理人さんに何もしてないと。」
友「何考えとんじゃ。」
友「ライバルがまた消えた………」
…本当に、良くぞ合格出来たもんだよなと。(笑)
青年誌連載だった事から、『うる星』には無いアダルトなネタも多かった。
同じく1巻、『勝手に聖夜』より――
町内の皆さんも集め、朱美さんの勤めるスナック『茶々丸』にてクリスマス・パーティー。
一刻館1号室住人、『一の瀬』さんトコの息子の『賢太郎』君は、五代同様、管理人さんが大好き。
衝撃のプロポーズをしちゃいます。
五「お前ね……
ガキだから解んねーだろうけどね、
結婚つー事はだな…」
賢「自信有るもんね、俺。
浪人なんかしないで、
一流大学入って、
良い会社に就職して、
幸せな家庭を築くもんね。」
五「解っとらんな、ガキが。」
五「女の幸せはなー…」
賢「でかけりゃいいんだろっ!!」
五「お…お前………」(←絶句)
賢「きっと管理人さんを満足させてやるっ!!」
賢「男の価値は……」
五「わーっ、言わんでいいっ、それ以上言うな!!」
賢「でかい家を建てるというのは、そんなに恥かしい事なのか?」
響「いえ…」
町「家…」
…最後に町内のおいちゃんが呟いた駄洒落に、1番受けました。(笑)
こんなのも有る…3巻『引退宣言』より――
壁に白アリが巣食ってる事が解り、直ぐ様駆除と、ついでにあちこち修繕する事になった一刻館。
直して欲しい所が有れば言ってくれと告げられ、五代は四谷さんに開けられた部屋の壁を塞いで貰えるよう頼もうとする。
しかし、そこに四谷さんの「待った」が掛かった。
四「あの壁の穴は君と私の交流の場ではないですか。」
五「ぼかー交流したくないですよ、はっきり言って。」
四「せっかく掘ったのに。」
五「プライバシーの侵害です。」
四「どうしても埋めると……」
五「ええ。」
四「深夜、五代君の声が聞える。
おや……何だろう。
私は耳をそばだてる。
響子さん………
確かにそう聞える。
息が荒いな。」
五「四谷さん!!」(焦)
四「深夜、管理人さんの名を呼びながら何をして居るのだろう。
悩んでしまう。」
五「俺の部屋で何しよーと俺の勝手だろ!!」
朱「暗いわ…なんて暗い青春なの。」
一「切ないね~~。」
春遠からじ…青春とは、ままならぬものよ。(笑)
さて、そんな彼が懸想する響子さんには、秘密が有りました。(いえ、隠しては居ませんが…)
なんと彼女は、未亡人だったのです。
結婚半年も経たず、亡くなってしまった旦那さん…
飼い犬に付けた名前の『惣一郎』は、その旦那の名前でした。
自分が忘れたら、惣一郎さんは本当に死んでしまう。
そう、頑なに思い続ける彼女。
しかし月日の流れと共に、記憶は薄まって行くばかり…
8巻『春の墓』より――
春、桜咲く中、彼女は墓前で、静かに語り掛ける。
「惣一郎さん、今、あたしね……迷ってるのかもしれない。
ずっとあなたの事思い続けて居たかった。
だけど……
生きてる人達が、段々私の中に入って来てる……
惣一郎さん…どうして死んじゃったの?
生きてさえ居てくれたら…
こんな思い、しなくてすんだわ……
きっと何時か…私はあなたを深い所に沈めてしまう。
だけど…
無理にあなたの思い出に、しがみついて居るのは、もっと辛い……
自然に忘れる時が来ても…許して下さい。」
死なれるって事は……本人のせいではないんだけど…罪作りだよなぁと…。
最終回間際の響子さんの台詞を読むと、心からそう思う。
その話は一旦置いて…
さて、五代君の方ですが、ゴタゴタ有りつつも無事大学卒業、めでたく就職先も決定しました。
明るい未来を描いて、心はウキウキ。
そんな彼に、「楽観するには早いんじゃねーか?」と、友人の坂本君は忠告します。
10巻『バラ色の人生』より――
坂「初任給でプロポーズ……?
ちょっと早過ぎるんじゃないか?」
五「そお?」
坂「お前、ハナから共働きの積りか?」
五「いや~、管理人辞めて貰って、俺1人の稼ぎで暮す積りだけど………甘いかな……」
坂「貯金なんか……勿論してねーよな。」
坂「学生じゃないんだから、仕送りストップだろ。
ちっこい会社だから給料安いし、
もしかすると、お前1人食うので手一杯じゃない?」
五「よくそれだけ悲観的に考えられるな。」
坂「何処に明るい材料が有ると言うんだ。」
五「響子さんて…貧乏に強いんじゃないだろうか。」
――…し~~~~~ん…――
坂「あのな、何処の世界に貧乏が好きな女が居ると言うんだ?」
五「好きだなんて言うとらん。」
五「ただ彼女ってさ~、なんとなく慎ましくて、
遣り繰りだって上手そーだし、
最初は六畳一間のアパートでもさ……」
(こっから五代君の妄想劇場開始)
五「悪いなー響子、稼ぎが少なくて。」
響「あら、私ささやかな生活って好きですわ。
部屋が狭いお陰で、こうして何時もあなたの近くに居られるし…」
五「響子…」
(現実に場面転換)
五「君ってなんて優しいんだ。」(←坂本君ちの飼い猫を抱締めながら)
坂「お前の脳ミソって、きっとバラ色なんだろーな。」
…坂本君が代弁してくれてるんで、この件ではコメント無。(笑)
も1つ、同巻同話より――
響子さんから就職祝いに『ネクタイ』をプレゼントされた五代君。
五「うわ~ネクタイだーっ。」
響「いよいよ社会人ですもんね。」
五「あははは…な、なんかこれ締めてると出世できそーだなー。」
響「ほほほほ…そんな事有りませんよ。」
――…一瞬の間…――
響「いえ、今のは出世できないって意味じゃなくて…」
五「いやあ。」
…なんて絶妙な会話だろう。(笑)
しかし、その後…就職予定だった会社が倒産、就職浪人が決定してしまう訳ですが。(もう此処まで受難が続くと、何と言ってやったもんか…)(笑)
……いいかげん字数が多くなって来たんで(汗)、一気にラストへ。
受難続きな2人の恋模様だったけど、五代君が保父試験に合格してからは、割とすんなり行きました。
まぁ、人生って、そんなもんなのかもしれない。(笑)
漸く響子さんにプロポーズ。
そんな五代に、響子さんは、1つだけ約束を守って欲しいと告げました。
15巻、『約束』より――
響「1つだけ、
約束…
守って…」
五「浮気なんか絶対しません。
付き合い酒は控えます。
貧乏もなるべくしません。」
響「…そんな事じゃ泣きませんよ。
怒るけど。」(←怒るけどってトコには笑った)
響「お願い…
一日でいいから、
あたしより長生きして…
もう、1人じゃ、
生きて行けそうにないから…」
……この台詞には…泣いたな~~。
今でも泣ける。
世に色んな不幸は有れど、やっぱり『孤独』が1番辛いんじゃないかと…
って言うより…『孤独』だからこそ、『不幸』に思えるんじゃないかとね。
作品に話戻して…心配なのは結婚資金。
これがまた泣かせる話なんですが、五代の婆ちゃんが自分の貯金を出してくれたのです。
その辺りの話、同巻の『形見』より――
婆「お前が金貯めるまで待ってたら、百まで生きねばなんね。」
五「だって、こんなに貰っちゃ…」
婆「誰がやると言った!」
婆「それはおれの葬式代ら。
死ぬまでに返せ。」
五「婆ちゃん…」(←じわー…と感激する)
五「…立派な葬式出してやっからな。」
婆「…………他に言い方は無いのか。」
…まったくだ!!!(爆笑)
感動をぶち壊す様な一言だわな~。(笑)
此処らで纏めにかかりましょう。
同巻、『桜の下で』より――
結婚前に、けじめをつけようと遺品を返す事にした響子さん。
それを惣一郎さんに報告しようと、墓参り致します。
しかし墓前には、先に五代君が居りました。
一体何しに来たのか?
不審に思った響子さんは、墓の陰に隠れて、こっそり様子を伺いました。
五「正直言って、
あなたが妬ましいです…
遺品返した所で響子さん…絶対にあなたの事を忘れないと思う。
…忘れるとか…
そんなんじゃないな…
あなたはもう、響子さんの心の一部なんだ…
だけど俺、なんとかやって行きます。
初めて会った日から響子さんの中に、
あなたが居て…
そんな響子さんを俺は好きになった。
だから…あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます。」
五代がそう言えるくらい成長するまでの、話だったんだなぁと…
そして…
響「あたし…
あなたに会えて
本当に良かった」
…そう、響子さんが言えるまでの話だったんだなぁと思った。
今でも桜が咲く度に、この作品のラストが頭に浮かびます。
氏の後日インタビューを読むと、最初からこんな話にしようとは考えてなかったらしい。
当初はアパート人情劇を描こうと考えてたら、段々ラブストーリーのが描くの面白くなってったんだと。(笑)
響子さんが未亡人だという設定も、「下宿館の管理人っつうたら『未亡人』だろう」と、思い付きで決めたらしい。(日活浪漫ポルノ映画、『未亡人下宿』から発想したんだろうな…)(笑)
計算ずくでなく描いてるからこそ、氏の作品には泣かせられ、笑わせられるのだろうと思う。
…所で惣一郎さんの死因、結局解らず終いでしたが…何で死んだんでしょうね…?(←台無しにする一言)
しつこく『その3』に続きます。
実は作品連載中はあんまし好きって訳じゃなかった。
単行本、1冊も持ってないし。
苦手なラブ・ストーリーだったからですが…ヤキモチ焼きの響子さんは、可愛くて大好きでしたがね~。(ファンの方御免)
けど、今読み直してみると…面白い作品だな~と感心してしまう。
絵も本当に綺麗…本音を言えば、氏の絵はこの作品後半頃が1番好きでした。(汗)
何より台詞の掛け合いが素晴らしい。
氏の連載作品の中では、これが1番人物描写が巧いんじゃないかと考えてます。(あくまで個人的にね)
第1巻第1話、『隣はなにを…!?』より――
おんぼろ木造アパート『一刻館』に、美人の管理人さんがやって来た。
――名前は『音無響子』。
一緒に連れて来たジジムサイ犬には、何故か『惣一郎』と言う、人の名前が付けられていた。
アパート5号室の住人『五代裕作』は、忽ち彼女に一目惚れ。
奇妙な住人達のおちょくりに耐えかね、アパートを出る気で居たのに、あっさり翻意してしまう。
所で5号室の隣の4号室には、『四谷』さんと言う名の変人が居る。
趣味は覗き・たかりで、五代の部屋の壁や押入れにまで、大きな覗き穴を開けてしまう始末。
そのせいで、隣の6号室に居る『朱美』さんから、覗き常習犯の疑いを掛けられてしまった。
幸いにも疑いは直ぐに晴れたが、覗き穴をこのまま放って置く訳にも行かずという事で、穴を塞ぐ管理人さん。
押入れから覗く、管理人さんの形の良い腰を見て…五代は暫し見惚れるのであった。
響「私にお構いなく、お勉強なすって下さい。」
五「しかしですね……」
五「………」(←じっくりと観察中)
響「明日模試が有るのでしょう。」
五「え?」
響「だから模試が……」
五「こ…腰がどうかしましたか?」
響「模試が有るんじゃないですか!?」
…もしもーし、大丈夫ですか?五代君。(笑)
尚も続く五代君のアレっぷり。
同じく1巻『暁に鐘は鳴る』より――
共通一次が近付いて、早くも友人達に向け、「お手上げ」宣言。
五「一刻館は受験生の住む所じゃないからなー。」
友「今更何言ってんだ。
さっさと引越しゃよかったじゃないか。」
五「そーはいかんのだ。
管理人さんが、えらい美人でな。」
五「何にもしてないんだよなー。」
友「お前、試験は明日だぞ。」
五「いや、管理人さんに何もしてないと。」
友「何考えとんじゃ。」
友「ライバルがまた消えた………」
…本当に、良くぞ合格出来たもんだよなと。(笑)
青年誌連載だった事から、『うる星』には無いアダルトなネタも多かった。
同じく1巻、『勝手に聖夜』より――
町内の皆さんも集め、朱美さんの勤めるスナック『茶々丸』にてクリスマス・パーティー。
一刻館1号室住人、『一の瀬』さんトコの息子の『賢太郎』君は、五代同様、管理人さんが大好き。
衝撃のプロポーズをしちゃいます。
五「お前ね……
ガキだから解んねーだろうけどね、
結婚つー事はだな…」
賢「自信有るもんね、俺。
浪人なんかしないで、
一流大学入って、
良い会社に就職して、
幸せな家庭を築くもんね。」
五「解っとらんな、ガキが。」
五「女の幸せはなー…」
賢「でかけりゃいいんだろっ!!」
五「お…お前………」(←絶句)
賢「きっと管理人さんを満足させてやるっ!!」
賢「男の価値は……」
五「わーっ、言わんでいいっ、それ以上言うな!!」
賢「でかい家を建てるというのは、そんなに恥かしい事なのか?」
響「いえ…」
町「家…」
…最後に町内のおいちゃんが呟いた駄洒落に、1番受けました。(笑)
こんなのも有る…3巻『引退宣言』より――
壁に白アリが巣食ってる事が解り、直ぐ様駆除と、ついでにあちこち修繕する事になった一刻館。
直して欲しい所が有れば言ってくれと告げられ、五代は四谷さんに開けられた部屋の壁を塞いで貰えるよう頼もうとする。
しかし、そこに四谷さんの「待った」が掛かった。
四「あの壁の穴は君と私の交流の場ではないですか。」
五「ぼかー交流したくないですよ、はっきり言って。」
四「せっかく掘ったのに。」
五「プライバシーの侵害です。」
四「どうしても埋めると……」
五「ええ。」
四「深夜、五代君の声が聞える。
おや……何だろう。
私は耳をそばだてる。
響子さん………
確かにそう聞える。
息が荒いな。」
五「四谷さん!!」(焦)
四「深夜、管理人さんの名を呼びながら何をして居るのだろう。
悩んでしまう。」
五「俺の部屋で何しよーと俺の勝手だろ!!」
朱「暗いわ…なんて暗い青春なの。」
一「切ないね~~。」
春遠からじ…青春とは、ままならぬものよ。(笑)
さて、そんな彼が懸想する響子さんには、秘密が有りました。(いえ、隠しては居ませんが…)
なんと彼女は、未亡人だったのです。
結婚半年も経たず、亡くなってしまった旦那さん…
飼い犬に付けた名前の『惣一郎』は、その旦那の名前でした。
自分が忘れたら、惣一郎さんは本当に死んでしまう。
そう、頑なに思い続ける彼女。
しかし月日の流れと共に、記憶は薄まって行くばかり…
8巻『春の墓』より――
春、桜咲く中、彼女は墓前で、静かに語り掛ける。
「惣一郎さん、今、あたしね……迷ってるのかもしれない。
ずっとあなたの事思い続けて居たかった。
だけど……
生きてる人達が、段々私の中に入って来てる……
惣一郎さん…どうして死んじゃったの?
生きてさえ居てくれたら…
こんな思い、しなくてすんだわ……
きっと何時か…私はあなたを深い所に沈めてしまう。
だけど…
無理にあなたの思い出に、しがみついて居るのは、もっと辛い……
自然に忘れる時が来ても…許して下さい。」
死なれるって事は……本人のせいではないんだけど…罪作りだよなぁと…。
最終回間際の響子さんの台詞を読むと、心からそう思う。
その話は一旦置いて…
さて、五代君の方ですが、ゴタゴタ有りつつも無事大学卒業、めでたく就職先も決定しました。
明るい未来を描いて、心はウキウキ。
そんな彼に、「楽観するには早いんじゃねーか?」と、友人の坂本君は忠告します。
10巻『バラ色の人生』より――
坂「初任給でプロポーズ……?
ちょっと早過ぎるんじゃないか?」
五「そお?」
坂「お前、ハナから共働きの積りか?」
五「いや~、管理人辞めて貰って、俺1人の稼ぎで暮す積りだけど………甘いかな……」
坂「貯金なんか……勿論してねーよな。」
坂「学生じゃないんだから、仕送りストップだろ。
ちっこい会社だから給料安いし、
もしかすると、お前1人食うので手一杯じゃない?」
五「よくそれだけ悲観的に考えられるな。」
坂「何処に明るい材料が有ると言うんだ。」
五「響子さんて…貧乏に強いんじゃないだろうか。」
――…し~~~~~ん…――
坂「あのな、何処の世界に貧乏が好きな女が居ると言うんだ?」
五「好きだなんて言うとらん。」
五「ただ彼女ってさ~、なんとなく慎ましくて、
遣り繰りだって上手そーだし、
最初は六畳一間のアパートでもさ……」
(こっから五代君の妄想劇場開始)
五「悪いなー響子、稼ぎが少なくて。」
響「あら、私ささやかな生活って好きですわ。
部屋が狭いお陰で、こうして何時もあなたの近くに居られるし…」
五「響子…」
(現実に場面転換)
五「君ってなんて優しいんだ。」(←坂本君ちの飼い猫を抱締めながら)
坂「お前の脳ミソって、きっとバラ色なんだろーな。」
…坂本君が代弁してくれてるんで、この件ではコメント無。(笑)
も1つ、同巻同話より――
響子さんから就職祝いに『ネクタイ』をプレゼントされた五代君。
五「うわ~ネクタイだーっ。」
響「いよいよ社会人ですもんね。」
五「あははは…な、なんかこれ締めてると出世できそーだなー。」
響「ほほほほ…そんな事有りませんよ。」
――…一瞬の間…――
響「いえ、今のは出世できないって意味じゃなくて…」
五「いやあ。」
…なんて絶妙な会話だろう。(笑)
しかし、その後…就職予定だった会社が倒産、就職浪人が決定してしまう訳ですが。(もう此処まで受難が続くと、何と言ってやったもんか…)(笑)
……いいかげん字数が多くなって来たんで(汗)、一気にラストへ。
受難続きな2人の恋模様だったけど、五代君が保父試験に合格してからは、割とすんなり行きました。
まぁ、人生って、そんなもんなのかもしれない。(笑)
漸く響子さんにプロポーズ。
そんな五代に、響子さんは、1つだけ約束を守って欲しいと告げました。
15巻、『約束』より――
響「1つだけ、
約束…
守って…」
五「浮気なんか絶対しません。
付き合い酒は控えます。
貧乏もなるべくしません。」
響「…そんな事じゃ泣きませんよ。
怒るけど。」(←怒るけどってトコには笑った)
響「お願い…
一日でいいから、
あたしより長生きして…
もう、1人じゃ、
生きて行けそうにないから…」
……この台詞には…泣いたな~~。
今でも泣ける。
世に色んな不幸は有れど、やっぱり『孤独』が1番辛いんじゃないかと…
って言うより…『孤独』だからこそ、『不幸』に思えるんじゃないかとね。
作品に話戻して…心配なのは結婚資金。
これがまた泣かせる話なんですが、五代の婆ちゃんが自分の貯金を出してくれたのです。
その辺りの話、同巻の『形見』より――
婆「お前が金貯めるまで待ってたら、百まで生きねばなんね。」
五「だって、こんなに貰っちゃ…」
婆「誰がやると言った!」
婆「それはおれの葬式代ら。
死ぬまでに返せ。」
五「婆ちゃん…」(←じわー…と感激する)
五「…立派な葬式出してやっからな。」
婆「…………他に言い方は無いのか。」
…まったくだ!!!(爆笑)
感動をぶち壊す様な一言だわな~。(笑)
此処らで纏めにかかりましょう。
同巻、『桜の下で』より――
結婚前に、けじめをつけようと遺品を返す事にした響子さん。
それを惣一郎さんに報告しようと、墓参り致します。
しかし墓前には、先に五代君が居りました。
一体何しに来たのか?
不審に思った響子さんは、墓の陰に隠れて、こっそり様子を伺いました。
五「正直言って、
あなたが妬ましいです…
遺品返した所で響子さん…絶対にあなたの事を忘れないと思う。
…忘れるとか…
そんなんじゃないな…
あなたはもう、響子さんの心の一部なんだ…
だけど俺、なんとかやって行きます。
初めて会った日から響子さんの中に、
あなたが居て…
そんな響子さんを俺は好きになった。
だから…あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます。」
五代がそう言えるくらい成長するまでの、話だったんだなぁと…
そして…
響「あたし…
あなたに会えて
本当に良かった」
…そう、響子さんが言えるまでの話だったんだなぁと思った。
今でも桜が咲く度に、この作品のラストが頭に浮かびます。
氏の後日インタビューを読むと、最初からこんな話にしようとは考えてなかったらしい。
当初はアパート人情劇を描こうと考えてたら、段々ラブストーリーのが描くの面白くなってったんだと。(笑)
響子さんが未亡人だという設定も、「下宿館の管理人っつうたら『未亡人』だろう」と、思い付きで決めたらしい。(日活浪漫ポルノ映画、『未亡人下宿』から発想したんだろうな…)(笑)
計算ずくでなく描いてるからこそ、氏の作品には泣かせられ、笑わせられるのだろうと思う。
…所で惣一郎さんの死因、結局解らず終いでしたが…何で死んだんでしょうね…?(←台無しにする一言)
しつこく『その3』に続きます。
原作高橋さんのラストの台詞の掛け合いはどれも秀逸ですが私が気に入ってるのは真魚さんのずれているように見えて本質に一番たどり着いてるそれです。
ラムのそれは全話の重みがある、それと比べると真魚のは非常にストレートで大好きでした。
氏の作品の男は本音をぽろっと漏らすし、女はリアルでは漏らせない本音をぎゅっと絞ったエキスで語ってくれるところが凄いと思います。
(だから途中の中ダレも許せてしまう)
びょりさんの語りに同調しながら野球の組みは天の采配で楽しみながら。
続きがあるのなら商品とか短編も語って下さいませ。
悔しいけど(笑)、この方居なけりゃ今の自分は無いでしょうね。
真魚の「捜す。ずっと捜す。一生捜す。」という台詞は、私も大好きです。
深い答が篭められてる気がするんで。
作品中、このコが居るから暗くなり過ぎず、バランス取れてるんじゃないかな~。
氏の描くキャラは欠点ばっかりなんすが、それが却って人間らしく思える。
…細かい欠点を沢山持ってるのが、『人間』ですからね~。(笑)
その洞察力を尊敬しますです。
ちなみに自分がルーミック作品で1番好きなキャラは、諸星あたると音無響子さんだったり。
あたるはパワフルさに憧れ、響子さんはズルさが可愛くて好きなんですよ。(笑)
続きというか、来年は恐らくルーミック話が増えるでしょう…主に『うる星』。(笑)
短編も機会が有ったら語りたいですね~。
その時はまた宜しければ読んでやって下さいませv