AWA@TELL まいにち

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日本語教育推進基本法案(仮称)政策要綱 平成30年5月29日 を読んで

2018年06月01日 | 日本語教育
表題のもの、こちらから確認できます。pdfファイルです。

ここをクリック。


さて、読んでみました。

第一 総則
一 目的

  ・・・・我が国に居住する外国人との共生を通じて多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現・・・・

「多様な文化を尊重」というのはいいですね。日本文化の押しつけをしない、という宣言と読み取りました。


 ですが、

「三 基本理念の5」「日本語教育の推進は、外国人等に対する日本語教育が地域の活力の向上に寄与するものであるとの認識のもとに行われなければならないこと」にある「地域の活力の向上」という文言や、

「第三 基本施策 一 国内における日本語教育の普及推進」の「2 外国人留学生に対する日本語教育関係」に見られる「職業に必要な日本語能力を習得するため」、おなじく「3 外国人等の就労者、技能実習生等に対する日本語教育関係」に見られる「企業が外国人等に対して日本語学習の機会を提供し、及び研修等における専門分野にかかる日本語教育の充実」や「技能実習生のさらなる日本語能力の向上」、「定住外国人が就労に必要な水準の日本語能力を身に着ける」、「難民に対する日本語教育関係」にある「日本への定住に必要とされる基礎日本語能力の習得」など、

 前に危惧していると書いた記事の通り、「日本で働いてもらう」ということが前提というか、そのための日本語教育という記述が多く、

日本語を学ぶことで日本人と同等の文化的な生活を送ることができるようになることを目的にてなことは見当たりませんでした。


日本で働くために日本語力を向上させる、って、やっぱり戦前の、徴用、徴兵のために必要とされていたのと大して変わらないじゃないか。

どこかに、「日本での生活をより豊かにするため」という文言が入らないかな。入れば、戦前と同じではない、ということが宣言できるのに。


次回の国会提出と聞いています。

ぜひ、学習者の生活を向上させるため、という視点での言葉を盛り込んでいただきたいです。





こんなところで書いていてもどうしようもないのかもしれませんが、


日本語教育の歴史を研究している人間が今声を上げなければ、日本語教育は「日本人のため」に行うもので終わってしまう気がしています。

日本語を学ぶことで、学んでいる人たちが豊かな生活ができる。日本での生活がより楽しいものになる、そんな視点をぜひ。



ああ、この法案全体が気に入らない、とか、許せない、とかじゃないんです。

とてもいい法律だと思って応援しています。ただ、より良くしたい、と強く願っている、という感じでしょうか、私の立場としては。






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