AWA@TELL まいにち

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『師範学校制度史研究 15年戦争下の教師教育』逸見勝亮

2016年09月02日 | 
介護にしても、幼稚園、保育園にしても、人手不足が言われている割に、待遇を改善しようという話は少なくて、外国人労働力に頼ろうという話になることが多く、バブル期に大量に受け入れた【定住者】の方たちのバブル後の処遇に疑問を持っている自分としては、さて、今後どうなることか、と心配することのほうが多いわけです。


標記の本、何度も読み返していて、読み返すたびに新しい発見があって、自分の勉強不足を再認識することになるのですが、

今回思ったのは、人手不足解消の方法。


内地の師範学校を卒業して働いている教員に、植民地の学校で働かないか、と声をかけた時に、どんな条件を出したか、ということが書かれています。

植民地は、治安が悪いとか、内地から離れているとかで、あまり質のいい先生がいなかったという話が書かれています。質については、ここでは検証できないので、単に「量」が足りなかったということで書きます。


そこに示されている条件とは、

○ 将来、日本の公立小学校への転任が可能。
○ 植民地での在職年数は恩給計算の再通算される。
○ 兵役も内地勤務の場合と同様に第二国民兵役以外に徴集されない。
○ 在勤手当てを、本俸の7割から17割5分で支給。
○ 住居手当を支給。

とあります。
第二国民兵役とは、基本、徴集されない(戦争末期にはそういうわけにはいかなかったようですが)ようです。
給料も、最高175%増しになるわけです。

朝鮮の場合は、恩給計算を1.5倍にするということもあったようですし、

本当に必要となれば、このくらいの政府ができる範囲での優遇策は取れるわけです。

戦後、教員不足の折に、教員の給与を引き上げたり、奨学金の返還免除職としたりして、人材を確保しようとしたのと同様に、本当に不足していて回らないということであれば、補助金というよりも、個人に直接わたる給与などで待遇を改善していく必要があると思います。

私自身も欲の塊ですから、給料が増える、といわれればもっと働きそうです。

例えば、保育園幼稚園の先生方には、希望の園に順番待ちをすることなく必ず入園できる権利を付与するとか、

介護士の方には、自分や自分の配偶者、またはその両親が介護施設に入る際に、順番待ちをすることなく、無償で入所できるという条件を付ければ、それなりに人手は確保できそう。


まあ思い付きです。


でも、保育士の方の給与の引き上げが微々たるものであったニュースを聞き、戦前、植民地で教員になる人がいない、と困窮していた時ほどは、今は困っていないのだろうなあと思って比較してみたわけです。

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