小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

高麗山から湘南平へ、低山ハイキング

2021年12月07日 | エッセイ・コラム

先日の日曜日、いつものメンバーで神奈川県大磯近くの低山ハイキングに行った。絶好の行楽日和であり、東海道線の普通列車に乗車したのも何十年ぶりで、いつにも増して心は浮きだった。東海道線は今や、高崎線と繋がっていたり、湘南新宿ラインとやらが横浜、鎌倉にまで伸びているらしく、東海道方面はだいぶん便利になったようだ。

大磯町の後背地は、海抜200メートルにも満たないなだらかな丘陵地が南北に連なっている。駅から旧街道を歩き、高来(たかく)神社から高麗(こま)山に登り、浅間山へと稜線を歩く。

その先に湘南平(高麗山公園)という高台があり、360度のパノラマが拡がって、富士山や相模湾など海と山の絶景が楽しめる平塚屈指の人気スポットとのこと。(浅間山には同名の神社があり、富士山にある本社の分社に違いない。小さな石の社だった。ここからの富士山の眺めも美しいはずである)

まず駅から高来神社への旧東海道を歩く。立派な松の木が立ち並び、かつて賑わった往来の情景を思いえがく。ブラタモリというTV番組にも紹介されていたが、大磯町は明治時代に、吉田茂はじめ政治家や実業家の別荘地として栄え、街道沿いは瀟洒な邸宅が軒並み建っていたという。

その道筋に案内板が立っていて、「化粧井戸」とあった。鎌倉時代の伝説には、この付近に「虎御前」という美しい女性がいて、「朝な夕なこの井戸水を汲んで化粧をしていました」と書かれてあった。近くを探すとそれらしき古井戸があり、まさしく伝説の信ぴょう性を補強するものといえるか・・。

▲鎌倉時代「虎御前」が使ったという「化粧井戸」。

旅でもハイキングでも、道中になにか物珍しいものがあれば足をとめ、仲間たちと歴史談義なりの話をし、そのことを共有の体験にする。そんな他愛のない過ごし方も楽しみの一つだ。若い時には目にしても関心を示さなかったことも、齢を重ねると違ってみえる。旧きものが今も残っていることに、感慨を新たにするといっていい。

ああ、また脱線してしまった。

高来神社で山歩きの装備を整えて、コースのあらましを互いに確認しあう。まず高麗山に登るが、女坂と男坂があり、先月初旬に男坂で滑落事故があり、亡くなった方がいるという報告。低山とはいえ急こう配の山道は要注意だ。私たちは女性の多いパーティなので、迷うことなく女坂を選ぶ。そこそこの勾配はあったが、20分ほどで登りきる高さ。マスクしていても息は上がらない。

男坂とはどんな急登なのか・・。ネットの記事を探したら、死亡した男性は70歳で40mも滑落して頭を強く打ったという。地元の方であろうか、馴れている山道の筈なのに、対向の登山客とすれ違うときに誤って足を踏み外したとのこと。馴れや慢心は禁物だ。他山の石と銘記し、ご冥福をお祈りしたい。

さて、高麗山の頂上は広場になっており、昔の高来神社であろうか、社の礎石跡があり、祭祀をおこなったような痕跡もあった。そこで各自が持ちよった昼食をとり、そして浅間山、湘南平へと向かった。

湘南平は、高麗山公園ともいい、電波塔やレストランも併設される大展望台のある広い敷地。一周ノンストップで歩けば10分ぐらいか。360度のパノラマを眺望できる素晴らしいところだった。日本の「夜景100選」にも入っているとは驚いた。小生のまどろっこしい文章より、地元HPの紹介記事はこう書かれていた。

湘南の海岸線と丹沢連峰から富士山や箱根・伊豆の山々まで見渡せる眺望の名所です。春にはソメイヨシノやオオシマザクラなど、約2000本の桜が咲き乱れます。麓の湘南平入口から桜並木が続きます。登り道の途中で富士山、大山、テレビ塔を望みながら頂上まで1.5km、徒歩25分。三浦半島、江の島、遠くに大島を望む湘南の海、伊豆半島から箱根、その奥に富士山、そして丹沢連峰の山々まで360°見渡すことができます。

▲平塚の市街地を眼下に、丹沢山系が見渡せる(中央は大山か)。もっとカメラを右に向けると、江の島、三浦半島まで見えた。この日は富士山はあいにく雲に隠れたまま。

 

▲大磯町の海岸から、遠方の右側に伊豆半島がくっきりと見通せる。中央やや左には大島が見え、その右に小さな利島(としま)も見えた。

▲見えにくいが水平線の左に三浦半島、右に大島が見える。望遠ではなくピンボケ、深謝あるのみ。

 

▲大磯駅に下山する途中の山中。道中、タマアジサイや芍薬の花も咲いていたが、この時季ゆえに盛りとは云えぬ。

 

▲おまけ。湘南平には別ルートで舗装された道があったのだ! ハーレーやカワサキZR・ニンジャなど大型バイクでツーリングする観光客もいたんです。

 


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