今回はじめて服用したクスリは、ドセタキセル「ニプロ」という。最初のアブラキサンもだが、抗がん剤はどうもおどろおどろしいネーミングでいけない。以前にも書いたが、「毒を以て毒を制す」というテーゼは、抗がん剤の基本OS(Oprating System)のようなもの。ならば命名も、医師や薬剤師に訴求すべき専門家だけにインパクトをあたえるネーミングづくりに、メーカー側は苦吟したのではないか…。
この針葉から抽出されたドセタキセルは、自然由来のものだ。身体にも優しく効いてくれと、一縷の望みを託したのだが、。。。
以上は、入院当初に書いたものだ。その後の経緯をかんたんに書けば、高熱、脱毛、下痢、頻尿、せん妄(※別記)、免疫力低下、体力減退などで寝たきりの状態になった。並行して肺炎治療のステロイド剤も服用していたが、今回の抗がん剤および治療法は、小生には不向きだったという、無念の結果となった。
つまり、進退きわまった体をなしているが、自宅療養と訪問治療、そしてホスピスへの道すじは、妻にしっかりと手伝ってもらった。
残された時間は少ないが、最期まで自分らしいことをして過ごしていく。現在は、ステロイドの薬効が功を奏し、覚束ないが自力で歩いている。
来週に退院し、また新たなライフステージに立つ。
※別記:「せん妄」については、小生にとっては「聖なる体験」をした。その断片を担当医に話したせいか、専門医師チーム5,6人の方々が話を聞きに来た。医学的なせん妄とは、全く別次元の何か、症例研究の目的だろうか?
書き遺したいという意欲はある。今後の体力しだいだし、体験の細部まで鮮明に表記、再現できるか心許ないのも正直なところなのだ……。
▲どういう運の巡り合わせか、一人部屋に居させてもらっている。ここからはスカイツリーがばっちりだ。上野山の緑は汪溢し、不忍池は蓮の葉がびっしりと繁茂している。朝のうちは、独特なグラデーションのピンクの花を咲かせているはずだ。
参考:4月入院時と5月末入院時におけるCT画像の比較。コピーの写真なので画質は割り引いてください。
▲下が4月末、上が5月末。左が右肺で右が右肺だが、サイズが異なるので比較しても分かるかどうか…。病棟の担当医につくっていただいた。あくまで参考ということでご提示していただく。ここでは、癌腫瘍の大きさではなく、右側(左肺)の黒い部分に着目してもらいたい。間質性肺炎の程度の比較なのだが、これはもう自己満足のプレゼンにちかいかな、ご寛容のほどねがいます。
せん妄、僕も経験しました。昨年の脊椎手術二回目の手術の後痛み止めの点滴中一週間ほどもうろうとして宇宙の彼方に居ました。それほど嫌な感じではなかったですね。
横たわる僕の傍らを見知らぬ人たちが通り過ぎていく。
とにかく生きる気力を無くさないで。
けっこう生きる気力はみなぎっています。
今日も妻に車椅子で介助してもらって、千葉の市原市にある美術館に出張ったくらいです。
諦めることはしませんし、自立して歩き回る目標もあります。
お医者さんは数ある経験知から、患者の余命を伝えますが、あくまでも平均的な予測値だといいます。
いまお酒は諦めていますが、今後の回復力しだいでは分かりませんせんぞ。そのときは再び酌み交わしましょう‼
ありがとうございました。