金沢に暮らし始めて40数年.。この街で「見たものは、見た」。最近は「軒端に冬の山晴れて見ゆ」って心境に。
金沢暮らしの日々 ~努力は時々 報われる~
この映画の核心はここだ!@『ニッポンの嘘 福島菊次郎』
報道写真家の故福島菊次郎の映画『ニッポンの嘘』をDVDで見ました。きっかけは、今春、広島の原爆資料館に行った際に、『N家の崩壊』という福島菊次郎さんの組み写真が 展示されていたことです(これです)。
福島菊次郎の作品は、以前にも何枚か見たことはありましたが、これを機会にどんな人生を歩んだ爺さんだっのか興味がわき、映画の存在は前から知っていましたが、DVDを買ってみた次第です。
いや~泣きましたねえ。すごい映画です。「闘う」とはこういうことを言うんだと実感。で、この映画の一番の核心は、ある女性との別れの場面ですね。女性と言っても奥さんじゃないですよ。
既に老境の域に達した菊次郎が、瀬戸内海の離島で、東京からやってきた(もちろん福島菊次郎のファンでしょう)娘のような年の離れた女性と、奇妙な共同生活を始めた。しかしお金はないので、毎日厳しい生活。それでも天皇の戦争責任を追及する作品展は続ける。
ある日、その女性が「もう本当にお金ないよ。生活保護とろうよ」と言った。すると烈火のごとく怒った菊次郎は「長いこと一緒に暮らしていて、そんなこともわからんのか。そんな奴は、とっとと東京に帰れ。いいか、俺は金がなくてもこの展示会を止めない理由を教えてやる。それは、それは、俺は、報道写真家福島菊次郎だからだ」と叫んだのでした。
失意の中、島を離れたその女性は、しかし東京に帰ることはせず、対岸の本土(たぶん山口県のどこか)で、福島菊次郎に知られることなく、しかし福島菊次郎の近くでその後も生き続けた。しかし約10年後、病気のために急逝したというのです。
いや~ ここが「人間福島菊次郎」の核心部分ですねえ。
この映画、これからも見る機会はあるでしょう。どれだけ自分がダメになったか、どれだけ自分が日常生活に安住しているかを教えてくれる バロメーターみたいな映画になるでしょう。
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