金沢に暮らし始めて40数年.。この街で「見たものは、見た」。最近は「軒端に冬の山晴れて見ゆ」って心境に。
金沢暮らしの日々 ~努力は時々 報われる~
ノベルテイラーの面目躍如 @ 田中慎弥 『炎と苗木』

田中慎弥(通称 タナシン)の短編集第2作目です。1作目の『田中慎弥の掌劇場』は数年前に読んで大変面白かったですね。短編と言っても原稿用紙4枚くらいの長さですから、普通の小説の「あらすじ書き」みたいな長さの小説です。
でもそこには読者をひきつけるストーリーとサプライズな仕掛け、いつまでも心に余韻を残し「上手い」と思いました。
で、この2作目の短編集『炎と苗木』ですが、計47つの掌小説が収められています。1作目と異なり「素直さ」がやや薄れて「技巧」というか「頭の中で考えました」という色が濃くなってますね。
もともとタナシンは、実体験に基づく私小説家ではなく、イマジネーションを駆使した「ノベルテイラー」だと思うので、それはそれでこの人らしさだと思います。
昨年夏に それまで過ごした・・というより高校卒業以来り引きこもっていた、地方の小都市の実家から、東京に引っ越してきたそうですが、それが作家としての彼に 凶と出ないことを祈りたいと思います。
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