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三浦綾子『銃口(上)』を再読する

 

 この三浦綾子の『銃口(上・下)』は1994年に出版されました。小生も発刊直後に買って読みました。読みましたが、何ぶん30年前のことで、「北海道綴方教育連盟事件」を題材にした骨太な小説という以外、そのストーリーの委細はすっかり忘れていました。いや、それを過ぎ去りし歳月のせいにしてはいかんですね。小生の「読み」が浅かっただけかもしれません。

 

  さてその『銃口』ですが、小生の身内がそろそろ人生を閉じようとすることとも重なり、その人がしゃべれるうちに、最後の見舞いをと思い、その道中の電車の中で、往復8時間で「上巻」を再読しました。新幹線の中でしたが、いや~泣きましたねえ。そのストーリーの深さとともに、文章自体がわかりやすいです。なので読んでいて、その映像が常に頭の中に浮かび上がります。小説だけど映画を見ているみたいです。

 

 三浦綾子の小説には、主人公が「聖人君子すぎる」としばしば批判されるようですが、「聖人君子」で何が悪いねん!と思います。誰しもかくありたいと思うじゃないですか。でもいろんな事情でそうはいかないことも多い。映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のアルフレードのセリフを借りれば「人生は、お前が見てきた映画の様にはいかない」ですよね。そりゃそうだ。でもだからこそ、人は物語を、小説を、文学を必要とするのだと思います。

 

 「下巻」はその身内の、近いうちに行われるであろう葬儀に向かう車中で、読もうと思います(涙)」

 

 

 

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