忘年会に『にし料理茶屋』に伺いました。予約の電話をしたときに、お店の方から「では10800円のコースはいかがでございますか」とお勧めされたので、それをお願いしました。おそらくこの店の入門コースなんでしょうね。
予約時間に少し遅れて入店。いかにもにし茶屋街の芸妓さんというオーラ炸裂の着物姿も凛々しい 女優の木村多江さん似の美しい女性がお出迎え下さいました。2階のクネクネと細長い廊下の奥の部屋に案内されました。広さは6畳くらいの赤い壁の和室です。和室ですがテーブルと椅子です。
あらかじめ丸盆に 漆の平杯がセットされています。食前酒ですね、やちや酒造の「加賀鶴」です。右手の親指と中指で盃を持ち左手を下に添えて、恭しくいただきます。のっけから「茶屋街モード」全開です。
八寸からはじまり、つぎつぎに見目麗しい料理が出てきます。しかし料理がでてくるスピードが速く、テーブル上で「料理の渋滞」が起きてしまいました。というのは、僕らは 町の赤ちょうちんのノリで、仕事の愚痴などをにぎやかにおしゃベリしながら頂いているもんだから、どうしても料理を食べるスピードが遅くなります・・・。
っていうか、こんな店に来てまで職場トークをするな!って話ですよね。またく不粋なマネをしてしまいました。まだまだ人生修業が足りません。
不粋と言えば、もうひとつ、日本酒をたのむ際に、木村多江似の着物美人さんが、「天狗舞、手取川、加賀鶴、加賀鳶・・とございます」とご案内してくれたので、「じゃ 天狗舞の五凜おねがいします」と言ったら、憐れみのこもった笑みを一瞬浮かべた後「大吟醸をご用意してございます」とのお返事。「大変失礼しました。じゃ大吟醸お願いします」とオーダーした次第です。不粋の上塗りってとこですね。いかん、まだまだ人生修業が足りん。
でも 大吟醸が常に料理に合うとは 思わへんけどなあ~。料理はどれも大変おいしかったのですが、香箱蟹は、ここで茹でたんじゃなく、既製品でしょうね。しんなり水っぽかったです。揚げ物は まあ普通でした。
でも、そもそもこういう類の店は、料理の味が云々かんぬんではなく、この空間、この設え、この雰囲気、この堂々とした自信満々の接客、この街の歴史、これこそが何よりの「おもてなし」ですね。
さすがに仕事帰りにフリで入るって店ではなく、県外から客人が来沢した際にご案内する店です。そういう機会が訪れたとき、あたふた慌てなくてもいいように、あと4~5回は、この店で「人生修業」をさせて頂きたく存じます。
この日は 料理✕2、大吟醸1合✕3(天狗舞、手取川、加賀鶴)で 〆て28500円でした。酒は1合2000円って勘定かな。
夢のような体験をさせて頂きました。このような店が似合う男に 早くなりたいもんです。はい。
あっ あと 料理の写真をパチパチ撮るような「不粋なマネ」だけはしなかったことは 褒めてくださいね(笑)

