初秋の風景も10月になって秋色が鮮やかになりかけたある日の夕ぐれ
霧に覆われた山道をとぼとぼと背を丸めて歩いているお坊さんがいた。
もう70歳は越しているあろうか、よれよれの袈裟を纏いながら長靴を
履いているのを見ると間違いなく雲上寺の宮の内和尚であった。
どうも里の江に下りてゆくようであったが、里の江という集落があったが
今では跡形も無く消えた集落になってしまっている。
だが、和尚はがんとして言い張った「里の江は今でもあるんじゃあ」というのも
一年半ばかり前に「江美」という名の綺麗な女の人が恋人の生まれ故郷である
里の江を訪ねて来たことがあった。
和尚は江美さんが今でも気になってしょうがないのである、
一度会っただけであるが、憂いを含んだ顔立ちは幸せ薄い子のような
気がしていたから、行く末が幸せであって欲しいものだと念じていた
からでもある。
そんな事を考えながら宮の内和尚は深い霧のトンネルに消えていった
はたして霧のトンネルの向こうには里の江はあるのであろうか?
それとも何も無い荒涼とした世界なのか、迷える子羊のように彷徨い
歩いて野垂れ死にするのであろうか、誰が知りえようぞ。
今日の世界のような?。
霧に覆われた山道をとぼとぼと背を丸めて歩いているお坊さんがいた。
もう70歳は越しているあろうか、よれよれの袈裟を纏いながら長靴を
履いているのを見ると間違いなく雲上寺の宮の内和尚であった。
どうも里の江に下りてゆくようであったが、里の江という集落があったが
今では跡形も無く消えた集落になってしまっている。
だが、和尚はがんとして言い張った「里の江は今でもあるんじゃあ」というのも
一年半ばかり前に「江美」という名の綺麗な女の人が恋人の生まれ故郷である
里の江を訪ねて来たことがあった。
和尚は江美さんが今でも気になってしょうがないのである、
一度会っただけであるが、憂いを含んだ顔立ちは幸せ薄い子のような
気がしていたから、行く末が幸せであって欲しいものだと念じていた
からでもある。
そんな事を考えながら宮の内和尚は深い霧のトンネルに消えていった
はたして霧のトンネルの向こうには里の江はあるのであろうか?
それとも何も無い荒涼とした世界なのか、迷える子羊のように彷徨い
歩いて野垂れ死にするのであろうか、誰が知りえようぞ。
今日の世界のような?。