「坊主、早う寝んか、明日は早いんだろう」7歳の息子に栗栖は声をかけた
が、とうちゃん何か話をしてよとせがまれて、そうだな、坊主には難しいかもな
と云いながら話し出した。
むかしむかし、そう遠くない昔だがな山のなかには綺麗な花々が仰山咲いて
仲良く生活して楽しく暮らしていたもんだ、花粉を運んで子孫を増やしてくれる
蝶や虫たちも花と仲良くしていた良い時代だったな。
それがあるとき、街からハイテクに包まれた蝶が来てな、群生している花々に
カメラでパチパチ写してインターネットに載せはじめたのよ、そしたらどうだ
我も、われもとどっと押しかけて来たのさ、中にか新聞でツアーを募集して
やってくる始末でな、あっというまに踏み荒らされて花の仲間が半分になって
しまったな、その場所から消えてしまった花たちが彼方此方で出始めたわけさ。
なにしろ、ハイテク蝶たちには花も太刀打ちできないよな、花たちはお願いする
しかなかった、どうかわたし達を表に引っ張り出さないでください、わたし達は
静かにそっと暮らしたいのですから、スポットライトを浴びて華やかになりたい
とは思いません。どうか見つけないでください、知れることなく静かな生を
送らせてくださいとお願いするしかなかったわけだな。
でもな坊主、そうは問屋は許さないな、貪欲なハイテク蝶は喰らいついたら
放す訳もないね、そんなわけで山の中から花々が消えてしまう時代がくるかも
しれんな。
栗栖は半分眠りこけながら「どうだ坊主眠くなったか、」
「とうちゃん、落ちがないよ、落ちがないと面白くない」
「そうだな、落語、漫才のような落ちは無いけどな、まあすべてのものには
死が待っているということだな。
坊主、間違うたらあかんぞ!生があるから死があるんじゃあないぞ
死があるから生があるんだぞ!」
7歳の息子はいつの間にか寝息を立てていた、たわいもない寝顔をながめながら
栗栖も眠りにおちた。
が、とうちゃん何か話をしてよとせがまれて、そうだな、坊主には難しいかもな
と云いながら話し出した。
むかしむかし、そう遠くない昔だがな山のなかには綺麗な花々が仰山咲いて
仲良く生活して楽しく暮らしていたもんだ、花粉を運んで子孫を増やしてくれる
蝶や虫たちも花と仲良くしていた良い時代だったな。
それがあるとき、街からハイテクに包まれた蝶が来てな、群生している花々に
カメラでパチパチ写してインターネットに載せはじめたのよ、そしたらどうだ
我も、われもとどっと押しかけて来たのさ、中にか新聞でツアーを募集して
やってくる始末でな、あっというまに踏み荒らされて花の仲間が半分になって
しまったな、その場所から消えてしまった花たちが彼方此方で出始めたわけさ。
なにしろ、ハイテク蝶たちには花も太刀打ちできないよな、花たちはお願いする
しかなかった、どうかわたし達を表に引っ張り出さないでください、わたし達は
静かにそっと暮らしたいのですから、スポットライトを浴びて華やかになりたい
とは思いません。どうか見つけないでください、知れることなく静かな生を
送らせてくださいとお願いするしかなかったわけだな。
でもな坊主、そうは問屋は許さないな、貪欲なハイテク蝶は喰らいついたら
放す訳もないね、そんなわけで山の中から花々が消えてしまう時代がくるかも
しれんな。
栗栖は半分眠りこけながら「どうだ坊主眠くなったか、」
「とうちゃん、落ちがないよ、落ちがないと面白くない」
「そうだな、落語、漫才のような落ちは無いけどな、まあすべてのものには
死が待っているということだな。
坊主、間違うたらあかんぞ!生があるから死があるんじゃあないぞ
死があるから生があるんだぞ!」
7歳の息子はいつの間にか寝息を立てていた、たわいもない寝顔をながめながら
栗栖も眠りにおちた。