懐かしそうに昔の匂いは無いものかと辺りを探りながら、目と鼻を
うろうろさせてみたがもう何十年も経っているであろう祖谷の山々は
変わり果てて面影も残って無い様子に、栗栖はがっかりもしたが何か
さばさばしたようで、構わずどんどんと樹林の中を歩いた。
以前この辺りに可愛らしい綺麗な紅のヤマシャクヤクが群生していて
驚かしてはいけないと遠くからそっと眺めて花たちと静かな会話を
楽しんでいたものだが、それも束の間で街からどっと押し寄せて写真は
撮るは、踏み荒らすはして、可哀想に花たちは次々と消えて無くなった。
来栖が山を下る頃には土地の人たちの話では絶滅するのは近いと云っていた
が、眼の前には際限も無く闇を穿く冥界のようになっていた。
山頂に近づくにつれてあたり一面四方八方から登山道らしい道が交差して
以前は一本か二本の登山道であったのに、ずいぶん変わったものだと感心
して、闇の向こうから来る人に尋ねたところ何十年か前彼方此方で綺麗な
花たちが絶滅した頃と間なしに団塊の世代と云われた人たちによって無茶
苦茶に付けられ、山を台無しにしてしまったそうであるらしい。
栗栖は苦笑していた、道理で頭の上を闇が際限も無く流れて冥界である
ことを示唆していたわけだ。
祖谷の山々の風景や花々を密かに葬ってきたどうしがすれ違ったような
うすら寒さを背中に感じて栗栖は慌てた。
うろうろさせてみたがもう何十年も経っているであろう祖谷の山々は
変わり果てて面影も残って無い様子に、栗栖はがっかりもしたが何か
さばさばしたようで、構わずどんどんと樹林の中を歩いた。
以前この辺りに可愛らしい綺麗な紅のヤマシャクヤクが群生していて
驚かしてはいけないと遠くからそっと眺めて花たちと静かな会話を
楽しんでいたものだが、それも束の間で街からどっと押し寄せて写真は
撮るは、踏み荒らすはして、可哀想に花たちは次々と消えて無くなった。
来栖が山を下る頃には土地の人たちの話では絶滅するのは近いと云っていた
が、眼の前には際限も無く闇を穿く冥界のようになっていた。
山頂に近づくにつれてあたり一面四方八方から登山道らしい道が交差して
以前は一本か二本の登山道であったのに、ずいぶん変わったものだと感心
して、闇の向こうから来る人に尋ねたところ何十年か前彼方此方で綺麗な
花たちが絶滅した頃と間なしに団塊の世代と云われた人たちによって無茶
苦茶に付けられ、山を台無しにしてしまったそうであるらしい。
栗栖は苦笑していた、道理で頭の上を闇が際限も無く流れて冥界である
ことを示唆していたわけだ。
祖谷の山々の風景や花々を密かに葬ってきたどうしがすれ違ったような
うすら寒さを背中に感じて栗栖は慌てた。